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超次元に踏み出したフィクションはリアルの序章か? part 1 ~シン・エヴァ編~

エヴァンゲリオン新劇場版(以下、シンエヴァ)で行われた「オカルトから最新科学への換骨奪胎」ともいうべき大手術、アディショナルインパクトについての考察を自分なりの視点で書いてみます。そこにどんな意味があるのか、表題のとおり高次元について最新の科学を踏まえた考察をしてみます。

庵野監督がシンエヴァに取り入れた2つの最新理論

あくまでも自分の想像ですが。最初に序を作った時に庵野監督がここまで取り入れるつもりで始めたとは思っていません。おそらくは序、破を作ったあとに色々な表現の検討を重ねる中でこういった要素を取り込もうと考えついたものと思います。その2つの理論とは

・超ひも理論
・ホログラム理論

です。どちらも現時点で確立したものではないですが、アインシュタインが考案した一般相対性理論と量子力学を統一する可能性のある有力な仮説です。どんなものかというと….

超ひも理論:ミクロに畳まれた宇宙

この世界を作る最小の単位というもの、として最初に思いつくのは原子と電子ですが、現代の科学ではそれをさらに細かくした素粒子まで発見・観測しています。ただ、素粒子が最小の単位かというとそういうわけでもなく、究極的には微小なヒモになるのでは?と言われています。それが超ひも理論です。超ひも理論については自分も全く理解できないのですが、超ひも理論が正しいとすると、この世界には11次元まであるということが予言されています。ものすごーく大雑把に言うとミクロな世界に行けば行くほど次元が上がっていくということで、次元のコンパクト化と表現されます。

ホログラム理論:我々人間自体が影だった?

超ひも理論もだいぶ突拍子もない理論でしたが、ホログラム理論はまともな感覚をもつ人には理解しがたい理論かもしれません。それは「我々が住む3次元空間は高次元に存在する情報が投影されたものである」ということです。ひょっとしたら神様がやってるシミュレーションの産物かもしれないとか、漫画のオチみたいですね。

エヴァQ以降で発生した大きな転換

序・破においてはかなりの部分が旧劇場版をなぞった作りになっていたのですが、副題である「破」が示す通り、破の最後で物語は大きく変わっていきます。その中でも自分は換骨奪胎のメインツールを以下の2つとしてとらえています。

・マイナス宇宙
・ゴルゴダオブジェクト

アディショナルインパクトの起こし方


先ほどあげた2つの要素が物語の中でどのような役割だったか確認してみます。

【ストーリーその①】
人類補完計画を阻止すべくトリプルAブンダーで南極に乗り込んだヴィレ一行。激闘も虚しくアディショナルインパクトの儀式が始まり、開かれた地獄の門、セカンドインパクトの爆心地カルバリーベース…。そこからしっちゃかめっちゃか色々あって(個人的には映画の中で一番好きなシーンなので端折るのは心苦しいですが)碇ゲンドウは初号機を抱えた13号機で地獄の門をくぐって、ヴィレ一行では手出しができない世界、マイナス宇宙へ行ってしまう…。

さて、ここで唐突に出てきたマイナス宇宙という単語ですがこれはいったい何を示しているのでしょうか?そもそも宇宙って地球の外なのに南極から下に潜ったら宇宙じゃなくない?という疑問がわきました。
答えは、リツコが持っていたスマホに表示された「▶◀」が示しています。これは、小さくなった先に広がる無限の広がりを表現したものです。つまりマイナス宇宙というのは、「超ひも理論で予測されたコンパクト化された次元」を指しています。
※量子テレポートという用語もミクロ世界であることを示唆しています。

【ストーリーその②】
オーバーラッピングによってマイナス宇宙に入れるようになった8号機に搭乗してシンジは父親である碇ゲンドウを追う。綾波レイの導きによって初号機に搭乗し、13号機に乗る碇ゲンドウと対峙する碇シンジが無限に落下するマイナス宇宙に存在する巨大?な物体を発見する。

ゴルゴダオブジェクトは超立方体

マイナス宇宙で初号機と13号機が対峙した際に唐突に出てきたゴルゴダオブジェクト、度胸星ファンの自分にはピンときました。これは超立方体だと。

度胸星に出てくる超立方体(黒いのは影)

高次元の物体だとして、それが作中で語られているように全ての根源であるのは何でか?「全ての始まり」「約束の地」「運命を変えることができる唯一の場所」そんな風に碇ゲンドウは 言っていました。マイナス宇宙にあるゴルゴダオブジェクトになんでそんなことができるのか…。
ここで先ほどのホログラム理論を思い出してみましょう。それによると「我々の住む3次元空間は高次元の情報がプロジェクターのようなもので投射されてできている」と言うことです。シンエヴァに当てはめると、自分たちの実体、3次元の世界そのものがゴルゴダオブジェクト(に移った文様)の影みたいなものなんです。そして影の実体を書き換えることで現実世界の改変をしようというのがアディショナルインパクトというわけです。

高次元を人間はどう知覚するか?

作中で碇ゲンドウが言っているように、人間は高次元を知覚することはできません。
ただ自分は一抹の手掛かりは存在するものと予想しています。
例えば蜘蛛とか昆虫って誰かに教わった訳でもないのに幾何学的な巣を作ったり、蛹になって変態したり、成虫になってすぐブンブン飛び回ったりしますよね?人間の感覚や思考からすると誰かに教わるとか、情報をどこかからゲットしないとそんなことできないようなことを何のコミュニケーションもなしに実行しています。そういったものも実は高次元から投影された情報に含まれているんじゃないかな~って思ったりします。
では人間は?
宗教とか哲学の中にその答えがあるのではないでしょうか。
例えばブッタは数十年に及ぶ修行の後に人間の意識をひたすら無にしても無くならないもの、「阿頼耶識」に気づいたというものがそれにあたるのでは?曼荼羅図とかもコンパクト化された次元、微細な世界にある無限の広がりを表現しているようにも見えなくもありません。

超次元に踏み出したフィクションに期待するもの


シンエヴァはもちろんフィクションなので、未来にこうなると約束されたものではないです。ただ、それでも超次元になるとこんな風になるんじゃないか?というイマジネーションが少しずつフィクションとして映像化され出してきたことにはすごい意味があります。
20世紀初頭、最初期の映画で表現された宇宙は荒唐無稽なものでしたが、そういった想像の巧拙に係わらず人間は70年ほどで宇宙に進出したわけです。シンエヴァが超次元を僅かながらでも表現してから今後数十年以内に人類がどこまで行けるか、我々はそんな歴史の転換点に立っているのかもしれません。
こういったことを書こうと思ったのは、シンエヴァが切っ掛けではあるのですが、他にも何点か気になるものがあるのでそれらについても記事にしていきたいなと思います。

つづく

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