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未来の報酬を夢見る

前回の記事で、私は「やりたいことを優先しよう」と人生の指針としていたように思いますが。
実際、がんの告知をされてから手術を受けるまで、私は「やらなくてはいけないこと」と「この先どうなるかな」という感情に、やっぱり囚われていました。仕方ない、大袈裟な表現をすれば、生きるか死ぬかなんだから。

とか言いつつも、ぼんやりとする時間をあまり作りたくないばかりに、私は結構いろんな漫画や小説をKindleで読んでいたのですが、そのうちのひとつである「アフターゴッド」(著者・江野 朱美さん)で、ちょっと、かなり、いや、結構響いたことがありました。
まずは引用します。

江野 朱美「アフターゴッド」3巻P.46~P.47
江野 朱美「アフターゴッド」(3)より

「あ、自分は今、遠い日のことを考えてないな。」と、これを読んだ時に気がついたのです。仕方ない、大袈裟な表現をすれば、生き(省略)。

「報酬」というと大袈裟ですが、「ご褒美」というと女子感が盛りだくさんでしょうか。少しだけ未来に「お楽しみ」を用意しておいて、それを励みに生きるというのは、今だからこそ意識してよい気がしたのです。
そもそも、だいたいの人間ってそうやって生きていくものだと思うし。
あるじゃないですか。海外旅行のお金をためたくてバイトするとか、欲しいものがあるから仕事頑張るとか、親しい人の喜ぶ顔が見たくて頑張ってみるとか。あれだって、少し先の「お楽しみ」の一環だと思う。

そんなわけで、私は先々に点々と「お楽しみ」をばらまき始めました。
退院して、抗がん剤も終わったところで、新車を買おう。私は車での旅行が好きなのです。(ちなみに本当に注文したら、半導体不足のあおりで納車まで10ヶ月近くかかりました。ちょっと予想外に先過ぎた。)
前々から思っていた部屋のリフォーム。併せて断捨離。これも計画を立て始めました。体力戻り切ってないこともあり、若干スローペースです。
そして、旅行。行き先はどこでもいいけど、行ったことがない場所がいい。いつ行くかだけ決めておいて、直前に場所も決めました。

よし、私はこの楽しみにたどり着くまで生きられた。頑張れた。
そんな風に思いながら、過去の自分のばらまいた「お楽しみ」を受け取り、未来の自分へばらまいています。
結構、メンタルによい感じなので、これは続けて行きたいですね。

最後ですが、アフターゴッド、というか著者の江野 朱美さんの作品、どれも面白いのでおすすめです。設定もぶっ飛んでますけど、人の心の琴線に結構触れてくるので、面白い著者さんだと思う。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた、次の記事で。