自伝


まずは、お手に取って頂きありがとうございます。
ご挨拶が遅れました、わたしは「忠犬立ハチ高(ちゅうけんりつはちこう)」というお笑いコンビの王坂といいます。この度、知り合いの出版社の方からお話を頂き、獄中ではありますが自伝を発売させていただくことになりました。新宿の紀伊国屋書店さんでもサイン会を開く予定です。

みなさんは報道等でご存知の通り、わたしは5年前に当時気に食わなかった方をマンホールに落として蓋をしてしまい、懲役7年の判決をうけました。

あと2年で出所できるわけですが、お笑いをこれから続けるかは分かりません。相方のノムラフッソさんには子どもが5人いて、彼女を再びお笑いの道に引き入れるのは簡単にはできません。しかし、『ノムラとお笑いで天下をとる』という目標を叶えるために、これからの人生心を入れ替えて頑張っていきたいと思っています。申し訳ありませんでした。


第一章:心からの反省

ノムラフッソさん、大変申し訳ございませんでした。そして、本当にありがとう。
相方のノムラフッソ(以下:ノムラ)とは、現在もコンビ関係を続けてもらっています。本当にありがたいです。今でもノムラは2週間に1回面会に来てくれ、わたしが途中まで飼っていたコリドラスという長生きな魚の写真とノムラの子どもの写真を持ってきてくれます。わたしはそれを毎日日記帳に液体のりで貼っていまして、変な話が自慰行為の時に身体に液体のりを塗ってはがす、ということもありましたね。


第二章:禁断の愛

わたしは繁殖力が異常に強い熱帯魚のプラティのごとく、刑務所の中で色んな人を好きになりました。わたしは最初万引き主婦の人たちと牢屋が相部屋だったのですが、牢屋に入って絶望していたわたしに「お母さんのおっぱいだと思いな」と言っておっぱいを吸わせてくれる人がいました。わたしは長女で4つ下に妹がいたので実はほとんど母乳を飲んだことが無く、その人から実際に母乳が出ていたかは分かりませんでしたが吸いながら泣いてしまったのを憶えています。捕まってよかったと思いました。

第三章:被害者への思い

この世に死んでいい人など一人もいません。しかし愚かだった私は、正義と大型クレーンで人をつまみ上げて垂直落下させる技術によって大切な人の命を奪ってしまいました。この世に死んで欲しい人など一人もいません。被害者の方は私がクレーンで持ち上げている時、優しい笑みと恐ろしい剣幕を共存させた表情で和解を申し出てくれ、わたしは感情移入して泣きながら許したのですが、許して安全なところに持っていこうとしたところでクレーンの操縦を誤り、【切】のボタンをなぜか押してしまったためクレーンの電源が切れて落ちていってしまいました。正直じゃあ最初から許さなければよかったなとふと思いましたが、これをまた裁判で間違えて言ってしまい刑が重くなりました。もういいですが弁護士さんが舌打ちをしていました。


そんなこんなで裁判の後に弁護士さんにむちゃくちゃ怒られてしまい、その愚痴を今度は嗅ぎつけてきた新聞記者の女の人に面会で全部喋ったらそれを連載コラムにされて毎月1000円入るようになったのでよかったです。何新聞だったかな


最後に、これからはチョコレート工場を経営しながらノムラさんと地方を中心にお笑いを頑張っていきたいです。


2028. 5. 6 福島刑務所にて いつもありがとう

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