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美味しいタバコの吸い方

 以前の記事で美味しいタバコの吸い方をレクチャーすると書いたので、今回は美味しいタバコの吸い方お教えしたいと思う。年配のヘビースモーカーからしたら「まだ30にもなっていない若造がタバコの美味しさを語るなんて」と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、筆者は成人してすぐにタバコを吸い始めたので、喫煙歴は10年近くになるため、タバコの美味しいまずいは分かるつもりである。もちろん、独自のタバコの吸い方を編み出している方もいるので、これから筆者の書く美味しいタバコの吸い方に異議のある人もいると思う。
 が、筆者のいう美味しいタバコの吸い方とは、15世紀にタバコがヨーロッパ文化圏に到来して以来の、伝統的なタバコの煙の楽しみ方である。よって、君のいる場所は500年前にすでに我々は通過している。
 「タバコの煙を肺に入れなければ吸っているとは言わない」みたいなのがそれだ。「酒は一気飲みしなければ飲んでいるとは言わない」というような暴論である。確かにタバコは吸いたいように吸えば良い。しかし、酒の飲み方を教える時に美味しく飲める方法を教えるように、タバコも最初は美味しく呑める方法を教えられるべきだ。この記事では、タバコに興味のある入門者向けに、どのようにタバコを吸ったらよいかということを、これでもかというくらい丁寧に説明している。

・タバコ選び
 まずタバコを吸ってみたいと思い立った入門者にとっての関門は、「どのタバコを吸えばよいのか」である。なぜタバコを吸いたいと思ったかという動機にもよるのだが、今回は筆者の記事を読んでタバコを吸ってみたいと思ったことを想定する。タバコを買う場所は敷居の低いコンビニを想定する。
 筆者がここでおすすめするのは「ピース ライトボックス」である。

 なぜこのタバコをおすすめするかというと、まず第一に使用しているタバコ葉の種類がバージニア葉という、数あるタバコの中でも最も多く使われているタバコ葉の種類だからである。癖がなく、多くのタバコの基本となる味だからである。第二の理由に着香(多くのタバコはタバコ葉に香料で香り付けがされている)がそれほど強くなく、最も多く使われているバニラ着香だからである。
 ビールで例えるならサッポロビールみたいなものである。もちろん、好みがあるので別系統のタバコも紹介する。

 タバコを吸っている人の隣を通り過ぎた時に甘い香りを感じたことはないだろうか?筆者がタバコを吸いたいと思った理由が、バイト先の店員さんが吸っているタバコの煙が甘くていい香りだったからだ。甘い香りは興味をそそられる。「ピース ライトボックス」の味が好みではなかった場合は、こちらも試していただきたい。筆者がおすすめするのは、「ウィンストン・キャスター・ホワイト・5」である。

 コンビニの店員さんには「キャスターの5mgをください」と言えば通じるはずである。筆者は長いことこのタバコを吸っていた。とても甘い香りがあり、まろやかで、後味もスッキリしている。マダカスカル産バニラを使用していて、バニラの香りがとても高い。甘い香りが好きな方にはおすすめできる。カクテルで言えば、カルーアミルク的なポジションである。

 初めて煙草を吸う方にはこのどちらかをおすすめしたい。これ以外のタバコだと雑味があったり、着香がキツすぎたり、煙の量が多すぎてむせこんでしまったりする恐れがあるからだ。このタバコを美味しく吸えて、他にも興味が出たら吸えば良い。無理していきなり芋焼酎を飲む必要はないのだ。

・火をつける前に
 さて、タバコは買えただろうか。さあ吸ってみようかとなる前に、火をつける前のタバコの香りをぜひ嗅いで欲しい。タバコは吸うだけのものではないのだ。タバコの葉の香りも楽しんで欲しい。ピースの方は牧草のような、少し酸味のある香りがするはずだ。バニラらしいバニラの香りはあまりしないと思う。ピースの着香はバージニア葉の香りを引き立たせるための着香であり、この香りがタバコ本来の香りと思ってもらって差し支えない。少し話が逸れるが、パイプ煙草のバージニア主体のタバコ葉も、ブレンドされている葉が異なるため若干異なるが、ベースはピースとよく似た香りである。同じバージニア葉を使っているので当然といえば当然なのだが、タバコ葉の香りの基準として覚えてもらえると良いと思う。

 一方でキャスターはどうだろうか。キャスターは説明の通りバニラの香りが特徴的である。ピースとは異なり、香料を全面に押し出した香りだ。まるでバニラ味のクッキーのよう。

・火をつける前に準備するもの
 火をつける方法はいろいろあるが、100円ライターでかまわない。ジッポーライターなど無理して揃える必要はまったくない。あれは完全により上位の趣味の領域である。タバコが好きになって、タバコアイテムを揃えたくなったら買えば良い。
 灰皿も用意しよう。灰皿もわざわざ買う必要はなく、ツナ缶の空き缶みたいなのでかまわない。底が浅く、金属製であることが望ましい。間違ってもプラスチックの入れ物を灰皿にしないように。家に灰皿になるものが見当たらない場合は、コンビニでタバコを買うついでにホテイの焼き鳥缶でも1つ買って食べてしまうと良いかもしれない。余談だが、種類にもよるけれど、タバコと焼き鳥は合うと思う。

・火をつけてみよう
 タバコ、ライター、灰皿の三種の神器が揃ったところで、喫煙の儀に移りたいと思う。タバコの火の付け方は、①まずタバコを咥える②ライターに火を灯す③ライターの火をタバコの先端に触れるまで近づける④ごく少量の空気を吸い込む(この時間違っても吸い込んだ煙を肺や喉の奥に送ったりしてはいけない。息を吐いて煙を捨ててしまおう)。これでタバコに火がついたはずである。
 さて、いよいよタバコを吸ってみよう。タバコを咥えて思いっきり息を吸い込んで煙を大量に吐くのは美味しくない吸い方だ。それを美味しいと感じる人もいるだろうけれど、その吸い方を初心者がしてもむせるだけだ。イメージとしてよく言われるのが、「熱々のスープをスプーンで掬ってそれをすするようにタバコを吸う」というものだ。具体的に言えば、頬のを片方だけ息で膨らませる時に必要な空気の量くらいしか息を吸い込んではならない。そして吸い込む時も、タバコの炎の温度が上がりすぎないように注意する。息を大量に吹き込めば焚き火の火が大きくなるように、タバコの火も息を吸い込めば大きくなる。ゆっくり吸い込もう。この時、肺に煙を送ってはいけない。そして口の中に煙をとどめておこう。そして口の中で煙を転がして、吐き出そう。

 どんな味がしただろうか。煙の扱いに集中しすぎて味わうどころではなかったかもしれない。味を説明するのはとても難しいことだし、「タバコの味」とは食べ物の味とは全く異なる味、どちらかと言えば風味である。鼻の奥、のどちんこの上らへんに感じる味、煙を吐いた後の口の中の唾液の味、そういったものがタバコの味といえる。苦味・辛味をあまり感じずに何らかの味を感じ取れて吸えたのであれば、それが煙草の味だと思って構わない。「あ、甘い!」と思えたら、それはとても上手に吸えている証拠である。

 この喫煙方法はパイプ煙草や葉巻では一般的な吸い方である、いわゆる「クールスモーキング」という手法である。クールスモーキングをすることでタバコの味はマイルドになり、肺に入れないことでむせることなく吸うことができる。もともとタバコは肺に入れて吸うものではない。戦争中、時間に追われた兵士たちが急いで満足感を得るために編み出した方法が肺喫煙だと言われている。なるほど、サラリーマンや学生の皆さんは、確かに戦士だとは思うのだが、このnoteを読んで煙草を吸おうと思っている方は、この時間だけは戦士であることを忘れていただきたい。

 偉そうにいろんなことを書いたが、最終的には、自分が最も美味しいと思う吸い方をすればいいと思う。タバコの銘柄やそれは喫煙具も同じで、最も好きなものを扱えば良いのだと思う。それくらいタバコは自由なのだ。美味しいと思うのならタバコをそのままむしゃむしゃ食べても良い。噛みタバコというものもあります。ぜひいろいろなタバコを楽しんでもらいたいと思います。

よき喫煙ライフを!

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