ASMRという癒やし

 読者は「ASMR」という単語をご存知だろうか。"Autonomous Sensory Meridian Response" の略であり、グーグル翻訳をかけると「自律感覚経絡応答」と訳されるが、定着した日本語訳は今の所存在しない。簡単に言うと、「脳がとろけるような癒やされる感覚」のことである。例えば耳に息を吹きかけられると、脳がとろけて全身にしびれるような快感を感じるが、「耳に息を吹きかけられる音声」を聞くだけでも近い感覚を得ることができる。そのような音声をASMR音声という。ASMRというジャンルは2010年頃から見かけられるようになったが、それ以前から「音フェチ」「安眠音声」などといったジャンルで存在していた。筆者は2007年頃からこのASMR音声を愛好しており、同人作品販売サイトやyoutube、個人サイトで公開しているものをよく聞いていた。

 筆者が最初にASMR音声を聞き出したのはいつだったかは定かではないが、どのような音声だったかは覚えている。アニメのキャラクターになりきった人が囁きながら添い寝をして寝かしつけてくれるというものだった。筆者はそれを聞くと心が落ち着くようになった。それ以降、様々なASMR音声を聞くようになって、ある時から「耳かき」音声にすっかりハマることになった。最初に聞いた耳かき音声は、秋葉よいこさんが出演した音声同人作品(18禁)で、勝手に「これが耳かき音声ブームの火付け役だ!」と思っている。この作品以降、DLsiteでは耳かき音声が急増し、同時に「耳舐め」というジャンルも確立された。ASMR音声愛好家にとって耳かきと耳舐めは外せないジャンルであろう。筆者もほぼ毎日耳かき、耳舐め音声を聞いて癒やされている。

 2018年現在、youtube上では空前のASMRブームである。海外ユーチューバーはもちろん、VtuberもASMR音声を投稿したり、ライブ配信を行っている。中でも突出しているのは、やはり耳舐め音声であろう。良質な耳舐め音声の動画は1週間以内には10万再生を超える印象がある。「耳舐め」はR指定のない環境において、もっともエッチなジャンルだと思う。ぜひ18歳未満の人たちも聞いて欲しい。単純に股間が刺激されるだけではなく、脳がとろけるような癒やしをもたらしてくれる。

 こういうエッチなジャンルは男性向けと思われるかもしれない。しかし、よく見てみると「女性向け」と書かれた音声も見られる。ライブ配信においても男性が囁いたり耳舐めをしたりして、多くの女性を虜にしている様子が見受けられる。男性配信者の配信を見ると欲情した女性たちのコメントで溢れかえっているのを見ると殺意を覚えるレベルである。それくらいASMR音声は多くの人を虜にしているのである。

 ASMRのライブ配信は金になる。良質なASMR配信を行っているユーチューバーは多数いるが、1万単位のスーパーキャットが飛び交うコメント欄を見るとリスナーの狂気すら感じる。それだけASMR音声の癒やしを求めている人が多いのだろう。DLsiteで販売されている最も人気のある耳かき、耳舐め音声は1万DLを超えている。その音声は864円で販売されているので、単純計算で864万円の売上を出していることになる。もちろん手数料等引かれるのだろうから、手取りはそれよりもずっと少ないのだろうが、年に数回1万DLとまでは行かなくても1000DLを超える音声作品を出し続けていれば、そこらのサラリーマンよりはよほど稼げるかもしれない。

 音声作品だけで食べていく人もこれからは増えていくだろうし、自分もあわよくば参戦してみたいという欲望も湧いてくる。筆者がASMR音声に出会ったときには全く予想していなかった状況である。ASMRユーチューバーとしてデビューして、月2~3万でも稼げたらとても楽しいだろうなと思う今日このごろである。

この文章が面白いと思った方は少額でもいいのでぜひご支援ください。筆者の励みになります。