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よく分かる風の魔法 風データ集 Vol.01 東京競馬場

今回は東京開催の真っ最中ということで、東京競馬場について詳しく調べてみます。
 先に言っておくと、有効なデータがあるかと言われるとちょっと微妙です。まああくまで研究の一環なので、そのあたりはプロセス含めてみていただければと思います。逆に「こんな仮説ありじゃない?」とかあれば送ってください(切実)

 まずは東京競馬場全体の確認から。

◆風向別

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 昨年は直線追い風と3,4コーナー追い風が多かったです。直線向かい風は異常値叩き出していますがダイヤモンドSのミライヘノツバサ始め単万の上振れが大きいのもあるかも。

◆風速別

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 弱いと稍弱は合算するくらいで考えて下さい。とはいえサンプル数は「猛烈」と同じくらい少ないですね……。昨年は全体的に風が強い印象でした。

 全体確認はさっさと終わって芝・ダート別で確認していきたいと思います。

【芝】

 当日の風だと風読みをしないと使えるデータにならないので、基本的に前走の風から考えていきたいと思います。

◆芝 / 前走風向別

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 前走3,4コーナー向かい風は単勝しか伸びていないので上振れっぽいですが、直線追い風は単勝だけでなく複勝も回収率が高く出ています。ということで少し見てみましたが…。

◆芝 / 前走直線追い風

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 単勝万馬券が3回出ており、上振れ感があったので特段面白みはなさそう。

 もう少し詳しく見てみたいですが、まず芝に関しては前走直線向かい風で上がりを使うも後方で負けてしまった馬→次走直線向かい風以外で好走、というパターンを検証したいので、そちらを調査対象に。

◆芝 / 前走直線向かい風 / 前走上がり1位~5位 / 前走初角6番手以下

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 単勝回収率63%、複勝回収率97%と微妙。

◆芝 / 前走直線向かい風 / 前走上がり1位~5位 / 前走初角6番手以下 / 単勝万馬券除外 / 風向別

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 単勝万馬券を除外して風向別に表示。この結果だけを見ると少なくとも実践に堪えるものではないですね。というわけでもう少し絞り込みを。

◆芝 / 前走直線向かい風(風速普通以上)

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 前走風の影響をちゃんと受けていそうな風速普通以上で試してみます。

◆芝 / 前走直線向かい風(風速普通以上) / 前走上がり1位~5位 / 前走初角6番手以下 / 単勝万馬券除外 / 風向別

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 これもシブい結果……。
 他にも前走上がり1位を抜いたり(前走上がり1位は過剰人気しがち)、前走着順を4着以下に指定したりしましたが、いずれも結果には大差ありませんでした。

 次は前走直線追い風からの傾向を検証してみます。

◆芝 / 前走直線追い風 / 単勝万馬券除外 / 前走初角5番手以内

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 向かい風系はばらつきあるものの単勝回収率は100%を超えており多少有用そう。と言っても3,4コーナー向かい風はサンプルが6例しかなく信用性という点でいくと何とも……。サンプル数の問題は多少出つつも、出来れば当日の風に依拠しない方法で出したいので、前走段階でもう少し絞り込みをかけます。

◆芝 / 前走直線追い風(風速普通以上) / 単勝万馬券除外 / 前走初角5番手以内 / 前走4着以下 / 風向別(直線追い風除外)

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 これは求めていた結果!と思ったのもつかの間……

◆芝 / 単勝万馬券除外 / 前走初角5番手以内 / 前走4着以下 / 風向別

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 あんま変わんなくて草。というか東京芝、「単勝万馬券以外の、前走初角5番手以内で前走4着以下だった」やつベタ買いしたら昨年プラスだったんですね……。「みんながどれほど東京芝は差しが届くと思っているか」がよく分かるデータでもあります。
 とはいえ、中身まで全く一緒というわけではないようで、

前走直線追い風・単回収 / 前走直線追い風・複回収 / 全風向・単回収 / 全風向・複回収
直向 212% / 89% / 59% / 73%
34追 127% / 93% / 62% / 79%
34向 272% / 50% / 83% / 57%
無風 22% / 115% / 241% / 168%

 と、全風向は当日無風での成績が良く、前走直線追い風はそれ以外での成績が特に良くなっています。
 まあ、前走直線追い風の方はサンプル数がやはり少ないので、どうしても上振れに見えてしまうというのはありますが。やっぱ1年分のデータだと足りないかなぁ…。

【ダート】

 芝はここくらいまでにして、次はダートのデータを見てみます。まずは前走直線向かい風から。

◆ダート / 前走直線向かい風 / 単勝万馬券除外 / 前走初角6番手以下 / 前走上がり2位~5位 / 前走4着以下 / 風向別

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 悲しくなるくらい仮説と違うデータが出てくる……。サンプル数の少なさからくるブレなのか、あるいは別の理由があるのか……。
 悩んでても仕方ないので例によって風速を絞り込んで再抽出。

◆ダート / 前走直線向かい風(風速普通以上) / 単勝万馬券除外 / 前走初角6番手以下 / 前走上がり2位~5位 / 前走4着以下 / 風向別

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 当然さっきよりサンプル数は減るわけですが、全体的に単勝回収率・複勝回収率も向上しています。
「前走ある程度の直線向かい風で後方から上がりを使うも差せなかった馬の巻き返し」という点ではある程度期待値が取れそうという感じでしょうか(とはいえ単複とも100%は超えていませんが)。

◆ダート / 前走直線追い風 / 単勝万馬券除外 / 前走初角5番手以内 / 前走4着以下 / 半周コース / 風向別

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 直線向かい風は9例しかないのでまだ分かりますが、直線無風の成績はかなり気になりますね…。
 しかしこれも全風向と比較すると単複回収率ともあまり変わらない成績に。まあそもそも直線向かい風の成績が出ていないのでその時点でアレなんですが。

◆まとめと考察

 以上、東京競馬場を芝・ダート、前走直線向かい風・前走直線追い風に分けて調べてみましたが…

・「東京競馬場の芝及びダートにおいて、前走直線向かい風で上がりを使ったものの差し損ねた馬が、今走直線向かい風以外での期待値が高い」という仮説は偽
・「東京競馬場の芝及びダートにおいて、前走直線追い風で先行した馬が、今走直線追い風以外での期待値が高い」という仮説は偽

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 原因はいくつか考えられます。外的要因2つ、内的要因2つ。

①サンプル数が少ない
 上でも散々言及しましたが東京競馬場に絞ったが原因説です。実際絞り込みをかけた場合にサンプルが2桁乗らないケースもありましたし、やはり2,3年で見る必要はあるかもしれません。一応3年分くらいのデータはありそうなものの、所々抜けていたり、そもそもまたあのポチポチ作業をやらないといけないのかと思うと少し気が進まない…。
 少なくとも今年の分からはちゃんと溜めずにレース印に入力していたりするので、来年あたりはもう少しサンプル数を増やした分析が出来そうです。それだと時流に遅れている気もするけど。

②風の打ち込みが間違っている
 可能性的になくはないですが、東京競馬場はどのレースもおおむね旗が見えるコースなのでそこまで間違っているとは考えづらいですね。

③風ファクターがそもそもマクロ分析に適していない
 この際だからはっきり言いますが、私は「風だけを見ていても何の予想の足しにもならない」と思っています。この言葉だけだと誤解を生む気がしますが、言いたいことは、「風は他のファクターと絡めることで初めて威力を発揮する」というものです。ラップはもちろんのこと、血統、展開、馬場といったファクターは密接に絡んできます。
 そういう意味で行くと、現在行っている検証は「風だけを究めても特段意味はない」ということを実証するという、なんともアンビバレントな分析をしているわけですね。私としては「特に得られるものがなかった」ということも一つの立派な情報という認識でいるので、もちろんこの分析は続ける予定です。

④東京競馬場が風の影響を受けにくいコースである
 可能性は低いですが挙げておきます。私の理論では「場所によって風の影響度は変わらない」としていますので、真逆の話です。ただ、例えば先週の土曜東京5Rではボーデンが芝1800mで1.45.2の好時計をマークしましたが、あれは「直線追い風下で前半のペースが速かったこと」が大きいと思っています(もちろんそれを差し引いてもボーデンは古馬2勝クラスくらいの時計を出している)。思えば世界レコードが出た2018年ジャパンカップ(勝ち馬はご存知アーモンドアイ)も直線追い風でした。
 ちなみに、「場所によって風の影響度は変わらない」ということをもう少し詳しく説明すると、「風の影響のコースによる違いは、あくまでコース形態の違いから生み出されるラップの違い」から生み出されるものであって、東京だから影響が少ない、中山だから影響が大きい、というのと厳密には結び付かない、ということを意味しています(文章で言いづらい…)。風は「スピードが大きいほど威力を増す」という性質を持つので、コースの起伏によるラップの変化に、風は敏感です。

 以上、理由(言い訳)をつらつら述べましたが、次回以降は競馬場ごとに絞ってもサンプルが少ないということで、短距離・中距離・長距離とか、そもそも芝・ダートとかもう少し大きい区切りで話が出来ればと思います。

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