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小説

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#ショートストーリー

絵ものがたり『眠る犬のビジネス』

ねむったままで お金を もらえる ほうほうって ないのかな だって、 ぼくは ねむるのが 大すきだから あいちゃいけない フタのうえに のっておく おしごととか どうかな どんな すてきな おんがくよりも ぼくの いびきを きくのが すきって ひとは いないかな おなかの したで たまごを あたためる おしごととか どうかな ・・・ ・・・・・・ はっ! いい におい! ありゃ、 かんがえてるうちに ねむってしまってたよ きょうも いいほうほうが おもい

ビジネスアイディア小説ショートショート『パーテーション居酒屋で合コンを』

合コンしたいけどさ、 怖いじゃない。 だって、3密だし。 初めて会う人が、どんな感染症にかかってるかわかんないじゃない。 合コンでマスクしてるのもアレだし。 衛生観念のしっかりした、そんなアナタにおススメなのが、 当店自慢の、パーテーションスペースでございます。 ひと席ひと席、透明なビニールシートで、しっかりと区切られていますので、 飛沫感染のリスクは極小。 乾杯の際に使用する大きめのアームカバーも各席にご用意。 接触や、他者のグラスに直接触れることはございません。

ビジネスアイディア小説ショート・ショート『KAWAIIデリバリー』

好みの異性をスマホ画面から選べば、 その子がお弁当を届けてくれるサービスがあるらしい。 昼休みに食べる弁当なんて、 そこそこの美味しさで、腹が満たせりゃ十分だ。 それなら、 可愛い子が、とびっきりの笑顔を浮かべながら到着して、 弁当をバッグから取り出す間、二言三言たわいもない会話ができて 「午後のお仕事も頑張ってくださいね♥」 なんて言ってくれりゃ、 なによりだ。 コンビニで買うより高いのは当然だけど、 週に一回くらい、 そういう贅沢ってもんをしてもバチは当たらないって

絵とショートストーリー 『人類最後の司会者』

さあ、今日も始まりました! ラースト・ヒューマン・ショー! 司会はわたくし、 ジョニー・タナベ・モーリソン、でっす! スポンサーは、 わたくし、 ジョニー・タナベ・モーリソン。 さあ、 今日もリスナーからの質問に バンバン答えていっちゃいますよ! おっと、 その前に、本日のスペシャルゲストのご紹介! お越しいただいたのは… 人類最後のゲスト、 ジョニー・タナベ・モーリソン。 どうぞよろしくお願いしまぁーす! どうぞよろしくお願いしまっす! では、 改めて、一

絵とショートストーリー 『デリカシーがない男』

あの時、 君は何て返してほしかったんだろう 僕は 今も時々 問いかける 答えは出ない なんて当然わかってる あなたは デリカシーがない 伏し目がちに 微笑しながら 君は つぶやいた そりゃあ 間違ってない 僕は たしかに デリカシーがない でも、 あのタイミングで そんなことを 言い残せる 君は きっと もっと デリカシーがない

小説 『202X年 びょういんで はたらく パパ』

202X年の朝、 勤務先の建物は、関係者入り口まで列が続いていた。 ガラス扉の向こう側、ビニールシートで区切られた待合スペースはもちろん満席。 昨夜の健康情報番組で、あんな話題が出たから当然か。 うちもそろそろ当日受付は止めて、 完全予約制にしてほしいものだ。 でもそういうことは経営者が考えること。 自分は目の前にいる一人一人に対し、 できることを淡々とやるだけだ、 それがプロフェッショナルというものだ、 そう言い聞かせてエレベーターに乗った。 消毒室を抜けて、ロ