見出し画像

VCや銀行に頼らぬロシアの女性EC起業家の素顔

異例の女性起業家、コネなし出世

ロシアの起業家であるタチアナ・バカルチュクはロシアのなかでは異例の起業家といえる。男性優位のロシアのビジネス界で、女性の起業家というのがまず異例だし、女性であれ、男性であれロシアのビジネス界での成功はクレムリンとの結びつきに左右されることが多い。そんななか彼女はロシアで初めて自力で億万長者になった女性起業家といえる。

画像1

2004年に産休中にモスクワのアパートで創業したロシアEC大手ワイルドベリーズ(Wildberries)は、ベンチャーキャピタルや政府が支援するライバルを寄せ付けず、ロシアを代表するeコマースサイトに成長した。

内気な元英語教師のタチアナ・バカルチュク氏は、44歳で、同氏のサービスはすでに物流網をロシア全土に張り巡らせ、ロシア人の多くが使うサービスにまで成長している。ワイルドベリーズは2019年の売上高は88%増の2235億ルーブル(30億ドル)、純利益は18.8億ルーブルから70億ルーブルに増加し、ロシアの急成長する300億ドルのeコマース市場における主役企業のひとつとして存在感を発揮する。 顧客の1日の注文数は75万件で、前年の2倍となった。

外部投資家なし、銀行やVCに支援も断り続けた

最初の注文は自宅で自分で処理していたバカルチュク氏は、現在、外部投資家なしで、パンデミックの間に急増したビジネスに対処するために雇われた12,000人の追加スタッフを含む48,000人の従業員でビジネスを運営している。

その間、彼女は、ロシアのプライベート・エクイティ・ハウスであるバリング・ボストクや、寡頭政治家ウラジーミル・イエヴトゥシェンコフのベンチャーキャピタルであるシステマからの融資をことごとく断ってきた。信用をえるためのわずかな融資を除いて同社の経営ははほとんど外部資金に依存していないという。そしてバカルチュク氏は現在でも会社の100%を所有している。 


このアプローチは、政権や官僚、財閥のオリガルヒばかりが優遇されるロシアのビジネスのなかで、ロシア人の新たな希望とみなされている。

https://www.ft.com/content/b5d2cfc8-62c2-11ea-abcc-910c5b38d9ed

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?