人生は苦ばかりですか?⑥
信雄は家に帰ってからずっと一人考え事をしていた。今の仕事を続けながらだと、月子と会う機会がない事に悩んでいたのだ。新たに仕事を探すかどうかを、じっと茶の間の壁を見つめて考えていた。
(あまり時間をかけてはいられない。月子さんともっと話をしたい!誰にも渡したくない!)心でそう思っていると、木本を抑えられなくなった信雄は、大きく息を吸い込むと大声で叫んだ。
「よし!決めた!」それに驚いた三喜雄はお茶おこぼし、民子は皿を落として割った。「俺、バスの運転手になる!」三喜雄と民子は驚きのあまり声も出なかったが、信雄の輝く瞳を見たら静かに笑った。
翌朝、信雄はさっそくバス会社へと出かけていった。
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