2022年の活動まとめ

M-1をウエストランドが、FIFAワールドカップをアルゼンチンが制し、いよいよ2022年も終わりに近づいている。 
思えばこの1年は己の内部的に、あるいは外部的にも翻弄され続け、なかなか気の休まらない日々を過ごしてきた。
次々に生まれる課題に身を任せては、日々の出来事をただ置き去りにしていくばかりで、たまにはこうして立ち止まり、振り返ることをしないと記憶は錆びついていくものだ。
今回はWatasinoとしての1年の活動についてまとめていこうと思う。

2022年リリース作品

まずは今年発表した作品の紹介から。

2月10日『真​・​事​故​物​件 / 本​当​に​怖​い​住​民​た​ち soundtrack』

2月18日に公開された映画『真​・​事​故​物​件 / 本​当​に​怖​い​住​民​た​ち』サウンドトラック。

『真・事故物件』はスプラッタありのホラー映画であるため、本作では普段のWatasino的なサウンドは1ミリも発揮されておらず、アブストラクトなテクスチャーやロック系統に傾倒している。
全体としてはギターやシンセなどの素材提供が主だが、何曲か作曲も行っているので、ビートメイカーとしてのWatasinoしか知らない人は一度聴いてみると面白いかもしれない。

なお本作はbandcampでの公開後、VIDEO VIOLENCE RELEASINGさんの尽力によりCDでも発売された。
CDは以下のページで購入可能。


4月25日『Narrative』

こちらは2021年11月から2022年1月にかけて公募されたビートコンテスト「Roland presents KM BEAT CYPHER 2021 supported by OTAIRECORD」の決勝進出者16名によるコンピレーションアルバム。
私自身は優勝を逃してしまったが、KM氏という日本トップクラスのプロデューサーから拙作を選んで頂けたことは非常に光栄だった 。

このコンピレーションアルバムはCDにもなっていて、一時売り切れていたものの現在はAmazonで購入可能な様子。


6月24日 『Over and over』

実は『Narrative』の制作以降、大変なスランプに陥っていた。
そんな中で半ば無理やりリリースした曲がこの『Over and over』である。

やけくそ気味に作ったこともあり非常にラフな仕上がりなのだが、この曲を発表することで作曲から先へ少しずつ行動できるようになったので、結果的に出す価値のある曲だった。


8月5日 『LOST SOULS』

スランプの真っ只中で制作され一度破棄したものの、数カ月後に聞き返したら「意外と悪くないんじゃないか?」という気になりリリース。
すると自身としては初のSpotify公式プレイリストインを果たし、今年の自分を代表する1曲になったと思う。

スランプ、というか自意識のこじれは己の審美眼を曇らせると強く実感した出来事だった。


8月31日 『green lemonade』

こちらも『LOST SOULS』と同時期に制作され、やはり破棄されていた曲。
とにかく曲を出さないことにはWatasinoの存在意義はないと思っているので、こちらも半ば無理矢理に発表した形。

非常にシンプルなビートだが、これまでになくコズミックな雰囲気を上手く表現できたと思っている。


10月28日 『Dialogue』

日本発の新鋭レーベルJapanolofi Recordsさんよりリリースした作品。これが自身としては初のレーベルリリースとなる。アートワークはyusuke氏の製作。
今年の頭に某コンペ用に制作した曲だったのだが、あえなくお蔵入りとなっていたので拾って頂けてありがたかった。

Japanolofi Recordsさんとの出会いで少しずつ状況が好転してきた感があり、関係者の皆さんには本当に感謝している。


スランプについて

先述したが、1月に『Narrative』を制作して以降は深刻なスランプ状態に陥ってしまい、がむしゃらに曲を作ってはボツにするという期間が何ヶ月も続いた。

決定的だったのは4月にリリースされたこのアルバムである。
これを初めて聴いた時、自分がやりたかった理想の音楽を更に1段階押し上げた作品だと直感した。
その結果、完全にやる気を失ってしまい1ヶ月以上曲を作ることすらできなくなってしまった。
今思えば延々とこの作品を聴き続けたのも良くなかったと思う。

スランプの根本的な問題は自意識過剰にある。ようするに自分の力量以上にハードルを上げてしまうのだ。
自分に期待していると言えば聞こえは良いが、自分で超えられない壁を設けるのは力量を見誤ってるとしか言いようがない。
そういう意味で『Over and over』以降曲を小出しにしていたのは、正しく自分と向き合う機会を設けることにも繋がって良かったと思う。

いやしかし何より、Watasinoの楽曲を聴いて下さった皆様と、関係者や同業者の皆様との関わりが支えになってなんとか苦しい時期を乗り切れました。
これは本当に皆様のおかげです。ありがとうございます。


2023年の抱負

まだスランプが少し尾を引いている状態ではあるのだが、来年はもっとコンスタントに曲を出せればと考えている。他には、

  • LoFi/Chill系大手レーベルからのリリース

  • 複数楽曲のSpotify公式プレイリストイン

  • Spotifyで最低1曲は10万回以上再生

を主な目標とする。

あとはオンライン上でコミュ障が過ぎるのをなんとかしたいので、もう少しSNSやチャットで他人と気楽にやり取りできようにしたい……。


ちなみに

以前より各種サービスで配信していた1stアルバム『Golden Fruits』とEP『Mellow Mood』の2作品がディストリビューターとのトラブルで9月から配信停止の措置を受けていた。

第三者より著作権侵害の訴えがあったとの連絡が来たのだが、具体的に何がどのように著作権侵害しているのか、どこの誰が訴えているのかなにも開示してくれなかった上に、こちらが送付した声明文は無視されてしまった。
いずれの楽曲も自作曲でかつ自分で演奏・録音した作品(違法なサンプリングなどなし)なのでこちらとしては全く身に覚えがなく、大変遺憾である。

何故このようなことになってしまったのか未だに理解できていないのだが、とにかくディストリビューターの対応に不満があった為、これらの作品のディストリビューションサービスを乗り換えることにした。

『Mellow Mood』に関しては12月9日より再配信済み。

『Golden Ftuits』は1月13日に再配信となるので、機会を改めてまた報告する。


告知

真・事故物件パート2/全滅

2022年12月23日に『真・事故物件パート2/全滅』が公開予定。

前作に引き続き中村修人さん主導で劇伴制作に携わっており、なんと公開同日にサントラCDも発売決定。
前回と違い配信は一切しないので、気になる人は是非CDをご購入願います。


WABI TO SABI 2023

2023年1月1日にリリースされるJapanolofi Recordsさんのコンピレーションアルバム『WABI TO SABI 2023』に1曲提供した。

このコンピが2023年のローファイシーンへ日本から布石を打つ一作になるんじゃないだろうか。まだ他の曲は聴けていないが、きっと素晴らしいコンピに仕上がっていると思う。


おわりに

スランプの印象があまりに色濃い1年だったので、たったの6作品ではあるが、むしろ6作品も出せたのか、と驚きながらこの文章を書いていた。
今年の後半は徐々に前向きになっていく期間だったこともあり、少なくとも今はポジティブな状態に属している。終わり良ければ全て良し、という感もなくはない。

それでは、2023年もWatasinoを何卒よろしくお願いいたします。

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