写真家・田村尚子さんのお話(4)
『からむしを績む』に収められた田村さんの写真では、人の姿はまったく映し出されていません。そしてまた、全体の半分ほどを締めるのは、一見すると、からむしとは関わりのないように思われる景色です。
からむしについて語られるとき、多くの場面で、素材から織りまで ”すべてが人の手によるもの” であることが強調されがちなのを思うと、本書のスタンスの独特さに気がつきます。人間だけでなく、 ”そもそもそこにある素材や自然との関係性があって成りたっているいとなみである” ということ。そうした点