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いつかの夏のセルフライナーノーツとかセルフ考察

皆様ごきげんよう。Watashiです。普段は音楽を作っている者ですがたまに映像も作ったりします。そんなたまにの趣味が高じて初めてBlenderを触って作った作品が「やがていつかの夏になる」です(楽曲映像全部作りました)
今回は拙作についてを語ってみよう思います。セルフライナーノーツというやつです。お付き合いいただけると幸いでございます。

作品の解釈は人それぞれ、自分が感じたことが全てであって正義だと私は考えています。本Noteには作者による解釈がふんだんに盛り込まれていますので、解釈が固定されちゃうよ!!いやだよ!!といった方には閲覧をおすすめいたしません。

本記事は染宮ねいろさん主催の
TOKYO6とかSynthVとかCeVIOとかVOICEPEAKとか Advent Calendar 2023
の参加記事です。
ねいろさん企画ありがとうございます!!
今回もクリスマス前に夏の話をします!!

結局この曲ってどんな曲なの?

昨年に書いた「いつか夏の記憶を」の前日譚にあたる作品です。続きでは?といったコメントもありましたが、今作はいつかの夏に至るまでを描いた作品になります。

登場人物は夏色と千冬の二人。(夏色花梨、花隈千冬ではない。同じ姿の別人だと思います)それぞれ別の理由で傷を抱え孤独だった二人があぶれ者同士で手を取り合い、ここでは無い何処かを目指し町を出ます。
逃避行ともいえるような自傷的な旅路ですがきっと彼女たちの中ではかけがえのない思い出になると思います。自分たちと現実を繋ぐスマートホンを捨て、凪いだ八月の海を横目にただひたすらに青い看板を頼りに海岸線を歩いていく旅です。何も無い片田舎でも「君」だけがいたから楽しかった旅にきっとなる事でしょう。
一部の方はお気づきでしたが、今作の舞台は日本海側の上越や親不知や雨晴のあたりです。実際に行ってみると町と町の間って何も無いんですよね笑
道も基本的に一本道でただ海風と波の音だけが響いている、みたいなところです。でもそんな何もない所が大好きなんです。

私は物語が好きです。特に音楽と物語の関係が密な作品が好きです。
今回はそれをやってやろう!と考えて、動画も物語が伝わりやすいように意識して作りました。その手段として今回は実写合成ではなく3Dを選びました。カメラが自由に動かせる所も画作りも楽しかったです

物語には終わりがあります。言わずもがな、この物語の終わりとは夏色と千冬の別れで、それが踏切のシーンになります。
きっと二人は相性が良すぎたのです。夏色が手を引けば千冬はどこへだって行けてしまう。何も無い場所でも二人が一緒にいる事で意味が生まれてしまう。しかしそれではこの夏の終わりが来なくなってしまう。二人でなら生きていけるが二人で無いと生きていけない、そうあって欲しくない。私はそれぞれが自立して欲しいと願ってしまいました。だからこそ最後に踏切で別れてもらった、。

本作での二人の別れは離別ではなく自立のための別れです。君とならどこへだって行ける状態、からこの旅を通じて一人でもなんとか歩いてやっていける状態になった事の表れが踏切のシーンにあたります。夏色は線路の向こう側へ、千冬は道を引き返しもしくは帰りの電車に揺られ元居た町に戻っていった(とおもいます)

繰り返しになりますが、時系列としては
やがていつかの夏になる→いつか夏の記憶を
の順番で後者は二人が別れた後の何年も後の話です。
ボーカルこそ夏色花梨ですが(発表当時は千冬のライブラリ発売前)
これは千冬視点の曲だと思います。
大人になり生まれ育った町を離れて生きている千冬が、もう一度あの町を訪れた時のお話。
あの夏で夏色と歩いた場所をふと訪れたら、二人が一緒に過ごした時間やあの時の記憶が自然と思い出される、という感覚のお話です。(なのでニコニコの動画説明欄には「風景全てに君が居た気がした。思い出すのはいつかの、夏の記憶」と書かせていただきました)
普段の生活の中では決して思い返されることの無い事でも、匂いや肌感覚や景色から思い出される事って結構ありますよね。それです。
夏の景色にあの時の姿のままの夏色が現れて、「あぁあの時はなんであんな事で悩んでいたんだろうな」とか「あのまま君と歩き続けたらどんな今があるんだろうな」とか考えるんです。けれども過去は決して戻らないしやり直せない。前に進むしかない。
私たちはやり直しの効かない過去と時間によって風化していくマイルドな後悔を抱えて生きていくしかないんです。
やがて~で自立を歌っておきながら、いつか~では「それでも私達は過去に囚われているよね」とセルフでアンビバレントな状況を生み出してしまいました。たまには昔のことを思い出してうわああああ!!!ってなったりクネクネしたりしてしまうのも人生だと思うんですよね。

自転車旅行祭テーマソングとして

実は(実は?)本作はニコニコ自転車旅行祭2023秋のテーマソングとしてご使用いただいております。
ちょうど曲を書き始めた頃、たしか1か2月頃だったと思います。主催様から、今回を最後に自転車旅行祭を終わろうと思う。祭や旅の終わりのような感じで作ってほしいと言われた時は「心を読まれている!?」と思いました。
テーマソングにしてはかなり湿っぽく物語性が強く使いづらい曲調だったとおもいますが、たくさんの方の動画で使っていただき感謝しきれません。
この場を借りてお礼申し上げます。

最後に

ここまで読んでくださった方々ありがとうございます。
いつもこんな後ろ向きな事ばかり考えて作品を作っています。今回そんな考えの一部を上手く伝えられているかは分かりませんがNoteにしてみました。
こんな人だったのか、と思った方、がっかりさせてしまった方にはすみません。本当はこんな人間です。
そしていつも作品を視て聴いて下さっている方々、本当にありがとうございます。
今回紹介した夏の物語の2作品ですが、実はあと何曲か関連した作品を作りましたand作っています。どこかのタイミングでコンセプトアルバム的な感じで発表出来たらなと考えています。アルバムが出るまでもう少しだけ夏色と千冬の夏の物語を見守っていていただけると幸いです。
これからもよろしくお願いいたします。
それではみなさん良いクリスマスを!

Watashi 拝



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