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月光


まだ20代の頃、私は職場の同期と2人でサーフィンにハマっている時期があった。休みになると、朝暗い時間からサーフボードを車に積んで海へ出かけるのを繰り返しながら、彼女と同じ時間を一緒に過ごしていた。


彼女は本当に活動的な元気な女性で、いろんなことに興味を持ち、常に前を向いている女性だった。表情もとても豊かで、そんな彼女を見ているだけで本当に楽しかった。彼女の言葉が、行動が私をよくリードしてくれていて、私も心地よくそれを受け入れていたことで、その場の雰囲気全体を、明るい部分とそこからできる影の部分を感じることができていた。


そんな彼女と一緒にいる私に、ある人がこう言った


「彼女が太陽なら、君は月だね」


その言葉の真意をきくことはできなかったけれど、とっさに私は彼女を羨ましく思った。


太陽の彼女は、
彼女はみんなを元気にする
彼女は周りを明るく照らす
彼女はみんなに欠かせない存在


月の私は、
満ち欠けを繰り返しながら、そっとそこにいるだけ


当時はそう思っていた


でも、

スペインで見た月も、日本で見たそれと同じように
変わらず優しい光で夜を照らしていた

太陽の光を受け止めて、地上に反射された月の光は
私を優しく照らしていた


小さなスポットライトのように
私を照らして
自然と見つめるものは私自身になる


今なら、「月」だと思ってもらえた私が好き
それは、やっと自分に目を向けることができたからかもしれない


今日も最後まで読んでいただきありがとうございました
皆さまも、月夜に見る「わたし」が好きになりますように。


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