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「U-12ナイジェリア選抜優勝」~機会の提供~

ワーチャレin大阪

8月29日~9月1日に大阪でU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2019という、日本全国からそして世界各国から小学生年代の強豪チームが集まり世界№1を決める大会が開催された。

その中に大会を通して会場中を虜にし、最終的に優勝を飾ったナイジェリア選抜というチームがある。ナイジェリアでサッカークラブを経営する加藤さんやバヨさんや多くの関係者が尽力され、ナイジェリアの貧困地域から選手たちをセレクションし、幾多の困難を乗り越えて来日にこぎつけられた。

「幾多の困難」と一言で書いてしまったが、日本人である僕からすると信じられないようなエピソードばかりで、このエピソードを聞くだけで感動や驚きで身震いしてしまうほどだ。(詳細はぜひ加藤さんのTwitterやFacebookの過去ログをご参照いただきたい)

ナイジェリアの貧困地域とサッカーについてはぜひこちらの記事と動画を見ていただけるとイメージが湧くと思う。このイガンムFCが掲げているビジョンの延長線上に今回のナイジェリア選抜の来日があると思う。この記事は今回のナイジェリア選抜にもずっと帯同されていたカメラマンの岸田さんの記事だ。

なぜ僕がナイジェリア選抜のことをnoteにしているかというと、ナイジェリア選抜の来日プロジェクトに関するクラウドファンディングでほんの少額だけ支援をさせてもらった繋がりで、大会中に図々しくもナイジェリア選抜と触れ合う機会をもらえたからだ。快く招き入れてくれた加藤さんバヨさん始め関係者の皆様には本当に感謝を申し上げます。

大会中のナイジェリア選抜は予選を2勝1分けで勝ち抜き、決勝トーナメントに進出すると、ヨーロッパの強豪バイエルンや地元の大声援を受け勝ち進んできた大阪トレセン、そして決勝においてはトップチームではストイコビッチが監督を務める中国富力と強豪チームを次々となぎ倒し優勝してしまったのだ。これには現地で観戦していた僕もとにかく興奮した。

ナイジェリア選抜は一度ピッチに出ればとても勇敢で、小学生世代とは思えないような運動量、テクニック、身体能力で会場を魅了した。が、おそらく僕も会場の観客の多くも魅了されたのはいわゆるサッカーの上手さや強さだけではなく、楽しそうにサッカーをする姿やゴールを決めた後の屈託のない笑顔が随所に見られたからであろう。覗かせてもらった試合前のアップ中でも常に笑顔で独特のダンスを踊っていたのだ。この子たちは緊張しないのか?と感じたし、異国の地までやってきて、もしかしたら人生のターニングポイントになるかもしれない試合の前にどうしてこんな風に笑っていられるのだろうと思った。こういうピッチ外での姿も僕は魅了されてしまったのだ。もう完全に彼らのファンになってしまった。

ナイジェリア選抜優勝についての記事をいくつか貼っておきますので、是非見てみてください。読むだけでも魅了されてしまうと思います。

「今大会がなければ彼らは埋もれたままだったと思う」と加藤さんはおっしゃっていた。今回僕が知り得ただけでも本当に多くの方々がナイジェリアの子どもたちに機会を提供しようと尽力されていた。多額の渡航費用や滞在費用、ゲストハウスやバスやスパイクなどなど。ナイジェリアの選手たちにも魅了されたが、遠い異国の子供たちに機会を提供しようとする皆さんにもまた魅了されてしまった。

加藤さんやバヨさんにナイジェリアの子どもたちの話を聞かせてもらうと、日本に住み暮らす我々がいかに機会に恵まれてをいうことを感じざるをえなかった。(”我々”と一括りにしてしまいすみません)そしてそれと同時に、僕も誰かに機会を提供できる大人になったのではないかと思った。今回のナイジェリアの子どもたちには僕は何もできていないが、今自分なりにやっていることを更に、そして自分の身の回りや地元の、日本の、世界の誰かにどんな形でももっと機会を提供していきたいなと思った。もちろん単なる奉仕やボランティアといった意味ではなく、win-winな関係を築いて持続可能な形でということ。そう考えると今回は僕もまた子どもたちや皆さんから機会を提供してもらえたんだと思う。

印象的だったエピソード①

とある試合の後にナイジェリアの選手たちと一緒に写真を撮りたいと近づいてきた少年との会話。

少年「選手たちと写真撮りたいです」

加藤さん「英語はできる?」

少年は首を横に振った。

加藤さん「Please take a picture with meって言ってみたら皆写真撮ってくれると思うよ。」

モジモジする少年と背中をそっと押す加藤さん。

少年「Please take a picture with me!」

少年の一生懸命発した声にナイジェリアの選手たちが気づき、笑顔で少年を囲み記念撮影。さらに加藤さんが少年に質問を促し、色んなことを選手たちと会話をしていた。すぐ後ろで見ていて思ったのがこの少年にとって単なる選手とファンの交流ではなく、人種とか言語とか色んな意味で素晴らしい瞬間ではないかということ。そして貴重な機会の提供であるなと。

エピソード②

優勝した夜の祝勝会にこれまた図々しくもご一緒させていただいた。選手たちには高級なものよりもハンバーガーやピザの方が喜ぶと思う、とバヨさんが言うので祝勝会はハンバーガーとピザとポテト、そして大会が終わるまで控えていたというコーラやジンジャーエールなどの炭酸飲料。何もサポートできていなかった僕は飲み物を注ぐ係を買って出た。

準備に時間がかかったが、全員の手に食事と飲み物が行き渡り、さあ開始!と思いきや、バヨさんが口を開き、「沢山の人のサポートがあってここまで来ることができた。優勝できたのも自分たちだけの力じゃない。感謝しよう」と伝えた。そして乾杯!ナイジェリアには乾杯と言う習慣はないらしいが、日本式の乾杯で祝勝会の始まり。慣れない日本や移動、連戦で疲れていたであろう選手たちは飲み物を一気に飲み干し、一様に飲み物コーナーにいた僕の所に集まった。僕が慌てて注ごうとすると、バヨさんが「それじゃダメ。皆並んで1人ずつ!」と選手たちを叱った。「陽気な子供たちだし、僕は大丈夫ですよ」僕が言うと、「違う。こういう時でも我慢して並ぶことを覚えないといけない。ナイジェリアでは横抜かししたり、みんなで奪い合うのが当たり前。でもそうじゃいけない。サッカーで成功できなくても悪い大人にならにように。これはeducationなんだよ」と。

これを聞いて、ああ、これは単なるサッカークラブの運営やサッカー選手の発掘ではなくて、もっとずっと大切なことを学ぶことのできる機会の提供なんだなと。そしてサッカーという世界に通ずるツールを使って夢や希望を与えていくことなんだなと。

最後に

ナイジェリアの選手たちにも、そこに関わっている多くの日本の皆さんにも多くのことを学ばせていただき感動を与えてもらえたので、今後もずっと応援していきたい。皆様本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

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