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【千秋楽】2018年の大相撲をエンジニア視点で振り返る

今年のNewsPicksアドベントカレンダーも、最終日となりました。
エンジニアやデザイナーの技術的な話からエモい話、組織風土、チームビルディングなど多岐にわたったコンテンツで、手前味噌ですが読み応えがあったと思います。
是非、フィードバックもらえると嬉しいです。

さて、最終日と言えば千秋楽、千秋楽といえば大相撲ですよね。

そこで、私NewsPicksエンジニアの木下が、千秋楽に2018年の大相撲を振り返ろうと思います。
なお、今年はどうしても角界にはネガティブな話題が多くありました。その話題についての思いももちろんありますが、私はあくまで現役で頑張っている力士にフォーカスを当てていきたいと思います。
NewsPicks・ユーザベースのカルチャーとしても、渦中の友を助ける、という言葉がありますが、私は個人的な友ではありませんが渦中の力士に少しでも敬意を示したいと思っています。

その前に自己紹介

何やら唐突すぎて意味がわからない事になっていると思うので改めて自己紹介します。

私は2014年にNewsPicksにJOINし、現在はBrand Design Teamという広告・求人事業を主に行っている部署の開発リーダーをしています。自分たちのサービスであるNewsPicksを利用することも日課にしていて、日々できるだけコメント含めてサービスに触れています。

NewsPicksは記事に対してコメントという形で違うインサイトを得られることを一つの武器としていますが、次第に私が趣味である大相撲の記事に対して行っているコメントに対して、いいねを頂けることも増えてきました。

大相撲の魅力を語りながら、それをプログラミング言語で表現する、そんな異なるジャンルの交流―。それはメディアでありプラットフォームでありコミュニティでもあるNewsPicksの魅力を伝える方法として最適ではないだろうか?

そんな想いから書いたブログです。大相撲もプログラミングも一言で表現するのはとても難しい世界です。あくまで入門編として、気になる力士からプログラミング言語を選んだり、好きなプログラミング言語から応援する力士を選ぶ手助けになれば嬉しいです。

1. 栃ノ心 x Swift

さて、2018年、大躍進を果たした力士としては、栃ノ心の名前が挙げられるでしょう。

ジョージア出身で角界のニコラス・ケイジ、などとも言われる栃ノ心。怪力であり、見た目からもわかる上半身の筋肉の強さで右上手を取ったら敵無しとして知られていた力士ですが、三役止まりの印象も多かった力士。
それが今年の一月場所で才能を大爆発させての平幕優勝。
関脇に昇進してからも堅実に2桁勝利を重ねて大関昇進を果たしました。

彼は一度は大怪我で幕下に落ち、引退を考えたこともありました。どん底からカムバックした姿は多くのファンに感動を与えました。
大関昇進後また怪我で苦戦していますが、年間最多勝に輝いたように地力は十分。今年見せてくれた力強さが戻ってくれば、横綱昇進すらも可能性を感じさせてくれました。

プログラミング言語に例えると、iOS開発におけるObjective-Cのような存在だった栃ノ心。
間違いなく用途における強みはありましたが、言語としての支持は少なかったかもしれません。
それが、今年Swiftへ進化したと考えてもらえれば間違いないですね。

2. 阿炎 x JavaScript

2018年、最も人気を伸ばした力士として、阿炎(あび)に触れないわけにはいきません。

長い手足のリーチを活かした突き押し相撲は師匠の寺尾関を彷彿させますし、取り組み前の美しい四股は、毎日歓声が湧き上がります。もともと先の細さを感じる体型でしたが、最近は厚さを増してきていて、実力の向上がうかがえます。

また土俵を離れたところでは、二桁勝利をして三賞狙ってます、といったビッグマウスな発言をしたり、NHKのインタビューでカメラにVサインをするような新世代な振る舞いを見せるところも魅力。
いわゆる今時の若者?と思いきや、白鵬関に勝利したインタビューでは「お母さんに報告したいからもう帰っていいですか」と母親思いの発言をしたり、かつて付け人として世話になった尊敬する鶴竜関に勝ったときは涙を見せたような情の厚さも魅力です。

体重も軽量なことから例えるならLightweightな言語でしょう。
時にモダン、時にサーバーサイド、時にレガシー、様々な魅力を見せてくれるJavaScriptのような力士ですね。

3. 貴景勝 x Kotlin

今年の角界には暗い話題もずっと続いていましたが、そんな中貴乃花親方の引退に伴い千賀ノ浦部屋に移籍し、その場所で優勝を果たした貴景勝は来年2019年の期待の星と言えるでしょう。

22歳とは思えない落ち着いた雰囲気と、低い身長ながら真っ向勝負の突っ張りが魅力の力士です。
22歳での初優勝は史上6番目、小結という地位での優勝は18年ぶり9人目。
これらの記録からも未来が期待されます。

本名の佐藤貴信の「貴」の字を貴乃花から取って名付けられ、埼玉栄高校在学中に貴乃花部屋に入門したほど貴乃花に縁がある力士。
貴景勝という四股名も(決して花田景子さんやお兄ちゃんこと花田虎上氏も関係なくて)、貴乃花が敬愛する上杉謙信の跡を継いだ上杉景勝が語源です。前師匠の貴乃花を継ぐような、そんな想いが込められた四股名です。

プログラミング言語で言えば、上杉謙信=Javaの資産を引き継ぎながら確固たる地位を築いているという意味で、Kotlinをイメージしてもらえれば間違いないでしょう。Android・貴乃花部屋での活躍から、サーバーサイド・千賀ノ浦部屋へ、活躍の幅を広げていく貴景勝から目が離せません。

4. 御嶽海 x PHP

2018年は角界は世代交代の波を感じる年でした。
大関以上には30代以上の力士が増え、コンタクトスポーツの宿命とも言える怪我を抱え休場も増えています。
初優勝の力士が年三人もいた一年でしたが、その中でも安定して三役に定着し、世代交代の騎手として期待されている力士が御嶽海ですね。

長らく大相撲不毛の地として知られた長野県から突如現れた新星。東洋大学卒業後、付け出しデビューから順調に出世を果たして、今年とうとう初優勝を果たしました。長野県は本当にお祭り騒ぎで、両国国技館や名古屋場所には大応援団が駆けつけることが恒例化しています。(私は長野県出身なので、気持ちはよくわかります。昔、小錦の付け人してた昴という力士の取組結果をニュースで文字でしか見られなかった…)

また、彼は高い実力を持ちながら、ベテラン力士や評論家から「稽古不足だ」とやり玉にあげられることも多い力士です。しかし、本人はあくまで本場所で結果を出すことが一番、と自分流の調整を貫いています。
押し相撲の力強さと、天性の才能とも言えるような体の使い方の上手さが光りますね。

新しくプログラミング言語を学ぶ人の入り口になりやすかったり、Webという世界で確固たる実力を見せる、まさに相撲界のPHP。エンタープライズ先輩に批判されることがあっても、決してその実力は軽視できるものではないでしょう。

5. 稀勢の里 x Ruby

ここまで、今年活躍した力士を中心に2018年を振り返ってきましたが、話題という意味では彼に触れないわけにはいかないでしょう。
第72代横綱、稀勢の里。

2017年、涙の初優勝、横綱昇進、昇進後の3月場所で大怪我を負いながらの優勝とドラマを作ってきましたが、その怪我を未だに引きずり2018年は復活を期待されながら結果を残せなかった稀勢の里。2018年、1年間多くの人が、期待と諦めの間でやきもきしてきたと思います。

なぜ稀勢の里はこんなにも人気がある力士なのか―。最大の魅力は、もう駄目だ、と思われる状況で信じられないくらいの力を出してしまう、その不思議な存在感にあるのではないでしょうか。今回の怪我も、冷静に考えれば、もう復活を期待するのは難しいかもしれません。しかし、そういう追い詰められた状況、絶対に無理だと思われるときに、なぜかとんでもない力強さで勝ってきたのが稀勢の里です。(逆に言うと、ここ一番でバタッと崩れてしまう脆さも持っているのが魅力であり欠点でもあるのですが)

個人としては、力士の国籍や出自で魅力を評価するのは好きではないですが、とはいえ稀勢の里の人気に日本出身という要素があるのも、また否定できない事実です。力士が登場すると出身地がアナウンスされ、古くから「江戸の大関より、土地の三段目」などとも言われるように地元愛が応援の源泉になってる大相撲。今、生まれを強く意識してしまうスポーツとしては、高校野球と双璧をなしているでしょう。

そう考えるとやはり、日本で生まれたプログラミング言語Rubyに喩えるしかありませんね。平成の30年間、日本ではバブル崩壊から始まり長期間の経済の停滞が生まれ、大相撲ではハワイ旋風からモンゴル勢の台頭と、日本という国の力の衰えを感じることも多かったです。そんな中、Rubyと稀勢の里の存在は、一筋の期待になっていたともいえますね。

その他

もちろん、ここに触れられなかった多くの力士がいます。東京オリンピックまで現役でいる宣言を全うできるか、出場すれば全てが記録になる大横綱、白鵬。器用な取り口で2018年2度の優勝を果たした鶴竜。ライバル貴景勝の活躍に内心穏やかではいられないであろう阿武咲。まだまだ土俵を沸かせてくれる大ベテラン、安美錦、豪風、嘉風。付け人を続けながら新十両で優勝を果たした新星・友風。大怪我からの復活なるか、三段目優勝を果たした宇良・・・ああ、もうこれ以上書くわけにもいかない。2019年どんな力士が場所を沸かせてくれるか、それはどのような言語特性を持つ力士か、楽しみですね。

終わりに

NewsPicksは5年後、世界で最も影響力のある経済メディアになるという目標を掲げています。そこには大相撲のように日本の伝統をうまく取り入れながら「らしさ」を表現しつつ、変えるべきものは変えていく柔軟なスタンスが求められると思っています。また、個性の強いメンバーがそれぞれの良さを活かしながら活躍する、そんな姿も力士に喩えられるかもしれませんね。

2018年NewsPicks Advent Calendarを御覧頂いたみなさま、ありがとうございました!

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