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プロフィール

Profile 

Stylist
Wataru Hasegawa

1985年⻘森県生まれ。都内服飾専門学校在学中、メンズスタイリストの下でアシスタントとして活動開始。


アシスタント時代は、
「LEON」
「OCEANS」
「MEN'S CLUB」

などのファッション雑誌の現場を通して、

クラシカルなスーツスタイリングやラグジュアリーブランドの知識、大人の男性に向けたコーディネートのノウハウ、ゴルフウェアにおけるお洒落のコツに至るまで、多彩な知識と経験を得る。

2009年フリーランススタイリストとして独立後は、ファッション誌
「Men’s JOKER(休刊)」
「FINEBOYS」
「street Jack(休刊)」
などの20代~30代男性にむけたリアルクローズのスタイリングを中心に活動。

また、ハイエンドなストリートファッションを提案する「SENSE」、ファッションやカルチャーを特集する「BRUTUS」といった媒体にも参加し、幅広い現場を経験。

さらに専門誌
「FINEBOYS plus SUIT」
「FINEBOYS plus 時計」
といった媒体では、

20代~30代のビジネスシーンにおけるスーツコーデのHow toや、TPOに合わせた時計選びのコツ・専門知識などを駆使し、

表紙を含めた多数の企画でスタイリングを担当する。

また、アーティスト・タレントのスタイリングも多ジャンルにわたり、オフィシャルアー写やCDジャケット、MV、ライブ、テレビ出演等いろいろなシーンのスタイリングを担当。


【これまで携わったアーティスト・タレント】

flumpool
King & Prince(神宮寺勇太)
ジャニーズWEST(小瀧望)
Snow Man
SixTONES(ジェシー)
MY FIRST STORY
SPYAIR
DEEP
Da-iCE
COLOR CREATION
FIZZY POP
KNOCK OUT MONKEY
ハルカトミユキ
JILLE        etc...

速水もこみち
賀来賢人
三浦翔平
山本裕典
千葉雄大
三吉彩花
新川優愛
飯豊まりえ
久松郁実
秋元才加
トータルテンボス
千鳥
チョコレートプラネット
ピース
しずる
パンサー
狩野英孝
ウーマンラッシュアワー
三四郎
メイプル超合金    etc...


【広告案件】
株式会社エスプリライン
三井不動産レジテンシャル株式会社
レノボ・ジャパン株式会社
フィールズ株式会社  etc...

【インディーズマガジン「ANRULE」のディレクションを担当】


 2018年創刊の新感覚ストリートファッション誌「ANRULE」では、全体統括のファッションディレクションとして参加。プロデューサーJULIAN氏とともにインディーズ出版を成功させる。
 「ANRULE」は、登場するすべてのモデルに“アーティスト”を起用するというコンセプトで、様々なジャンルのアーティストをスタイリング。アーティスト自身の個性も引き出しながら、企画・テーマに沿ったコーディネートで本人達の新たな表情を引き出した。
 2020年現在、Vol.2の出版に向けて水面下で始動中。

【尊敬する人物】

身近な人で言えば、月並みでありますが「父親」です。
父はとある電子機器企業の技術職としてサラリーマンをしています。
決して威厳のあるタイプの其れではなくどちらかといえば大人しいタイプなのですが、自分が大人になってから、その偉大さに気づかされました。
身近過ぎて分からなかった父の人間性、仕事への熱量、家族や親に対する慈悲深さ、人の気持ちを察する感覚...。
数え切れないほどに見習うべき部分が多く、父を超えるなんてことは一生無いだろうと思います。

スタイリスト界では、スタイリストを志すきっかけでもあった野口強氏。


高校時代に読んだMEN’S NON-NOやsmart、POPEYEなどの数多くのページ
で野口氏の男心をくすぐるスタイリングに魅了され、スタイリストという職業の格好良さを知りました。
ブレることなく、今でも信念を貫いたスタイリングを披露する野口氏をとても尊敬し、その才能とパフォーマンスに羨望の感情を覚えます。モードとリアルクローズの融合、まさに自分が信条とするスタイリングを第一線で表現し続けています。SENCEの表紙をスタイリストが飾るなんて、すごいですよね。
もちろん、スタイリスト界にはまだまだ尊敬する偉大な諸先輩方が多数おられ、そのクリエーションは常にチェックし、勝手ながら学ばせていただいています。

こうしてプロフィールを記そうと思ったきっかけ

 スタイリストの仕事を生業にしていると、こうやって文字で何かを書いたり伝えたりするということは、そうそうあることではありませんでした。

 SNSも、そんなに力をいれていなかったのも事実。

 そんな時、企画兼編集として携わっていた某雑誌の撮影で、「ami」さんと出会うことになります。

 どこか洗練された佇まいの彼からは、他のモデルにはない、何か満ち満ちたる自信というべきか、己の中で確立した信念というべきか、そういった類いのオーラのような物を感じました。

https://amisyou.com/profile/

 撮影しながらいろいろと話す中で、ファッションや美容についてパーソナルへ向けたコンサルティングをしているというamiさん。

 普段メディアに向けた仕事をしている自分にとってはほとんど触れて来なかった分野でした。

 その時ふと、これまで培って来た知識や技術をもっとパーソナルをターゲットに展開してみるのも面白いのではないか、と瞬間的に思いました。

 ファッション誌の企画も、読者に向けた内容です。ただ、そのリアクションは自分の手元には全くと言っていいほど届きません。

 活きた反応をもらえるのは、アーティストやタレントのスタイリングをした時くらい。そこからはひとつの作品に向けて作り上げる作業にすぐさま移行してしまいます。完結点があるものです。

 常日頃、思っていたこと。善し悪し含めて、自分のスタイリングに対してのリアクションがある現場は本当に有意義で、楽しくて、成長することが出来るもの。毎回そんな現場なら、どれほど満たされることだろう、と。

 amiさんと連携することが可能ならば、彼が展開するファッションコンサルティングの舞台において自分のスタイリストとしての能力を駆使しながら、お互いの力やセンスを共有・相乗させて、それを欲する方々へ届けることが出来る。

 それはそれは、可能性を感じるひとつのターニングポイントでした。

 その後、amiさんとコンタクトを取り、改めてお会いしてお互いの仕事の内容・内情を話す機会を設けます。

 全く時間が足りませんでした。

 amiさんはamiさんなりの、僕は僕なりの、手応えというか希望的観測というか、そんな感触を得ることが出来ました。

 そうして得体の知れぬシナジーを感じたのち、比較的トントン拍子で、こうしてまずはプロフィール作成をし、自分もファッションコンサルの舞台へと踏み込むこととなりました。

 

ファッションに目覚めたきっかけ~スタイリストになるまで


ここで、僕のファッション人生の岐路を少々書いてみようと思います。

明確に、「カッコつけたい!」「モテたい!」と思った瞬間は遥か昔、小学2年生の頃。母親が美容師という家庭に生まれたおかけで髪型にこだわりだしたのが、生意気にもかそんなちびっ子の頃でした。やはり、ファッションに熱を出す一番初めの衝動というのは、「格好良くなりたい」「モテたい」、これに尽きるのではないかなと。
それはそれはマセたもので、割り算なんてまだ習っていないうちから髪の分け目にこだわるという、クセの強いガキの誕生です。(天性の天然パーマによって分け目もなにも...でありました)

そこから、洋服を自分で選びたいという衝動に駆られて、ファッション誌を立ち読みしまくり、ド田舎ながらも某ジーンズショップで売られていたLevi’sを手に取り、いろんな種類を比べたりしながら洋服の選別(?)のようなことを始めます。

こっちよりもあっちの方が格好いいなぁ、あれよりもこれの方が好きだなぁ、サイズの違いでこうも大きさが変わるのかぁ、あんなブーツを履ける大人になりたいなぁ、なんて思いながら。

その当時のファッション誌では、
Levi’sやLeeをはじめとしたヴィンテージジーンズや、
CHROME HEARTS、LEONARD KAMHOUTなどのシルバーアクセサリー、
スニーカーではハイテクスニーカーやエアジョーダン、
はたまたアメカジブームの象徴のひとつでもあるRED WING
などが特集されており、到底小学生の時分では買ってもらえない金額のファッションアイテムを羨望の眼差しで読み漁っていました。

小学生4年の春、漫画SLAM DUNKブームの影響でバスケ部に入部します。
バッシュを用意しなければならないという千載一遇のショッピングチャンス到来な訳です。
その際、イオンに入っていた小さな靴屋さんになぜかポツンと入荷されていた“エアジョーダンI”の黒×赤カラーを見つけ、これまでに感じたことのない程の興奮を覚えました。「部活を一生懸命頑張るから!!!」と必死で両親を説得して渋々買い与えてもらいます。

その時のバスケ部部⻑が偶然、赤×白カラーの“エアジョーダンⅠ”を履いていて、「勢いある新入部員が来た!」と、それはそれは可愛がってもらったものです。(ただ、小児気管支炎持ちの低体力な僕は、半年後に退部してしまいました...。)

それからというもの、念願のLevi’sをゲットしたり(ロットは503Bというボーイズモデル。XXは高くて親にムチャクチャ怒られました。) 、流行りだしたアディダスのトラックパンツを誰よりも早く履いたり、エアマックスブームに
乗ってエアマックスを買ってもらったり(もちろん、AIRMAX'95なんて田舎では到底手に入れられませんでしたが...。)と、周りの誰よりも洋服にこだわる小学生でした。

もちろん、「お洒落」とは到底言えない仕上がりとなっていたのは言うまでもないのですが…。

だだひたすらに、オシャレを追い求めながら闇雲に駆け抜けた中学・高校時代はさらにいろんなブランドに興味を持ち、

周りのファッション好きとツルんでは休みの日に市内まで遠出して洋服屋巡りをしたり、

修学旅行の自由時間も観光スポットには目もくれず地元には無い有名ショップばかり巡ったり、

裏腹ブーム真っ只中であったためA BATHING APEを買い集めたりしていました。

当時、全国ストリートスナップ企画でまさかの⻘森まで来ていたMEN’S NON-NOとsmartに掲載されたのは、今でも良い思い出です。自慢です。笑

そんな僕は高校時代、一応地元では有名な進学校に通っており、周りに肩を並べるように勉強に励む毎日でした。詰め込み勉強がなぜか好きだったんですよね。ただ、それでも洋服好き。

周りにもファッション好きな友人たちが多かったので勉強とオシャレを両立出来ました。

成績も上位をキープしながらファッションも楽しみ、音楽好きな友人たちとバンドを組んではドラムを担当しライブをしたりと、とても有意義に過ごしていました。

ただ、進学校というステージにいる以上、漠然と進学というレールが用意されているという殺伐とした雰囲気になんだか嫌気が差し、その頃ファッション誌を賑わせていた「スタイリスト」という職業に突然として興味を持ち始めます。

「洋服を仕事にするのってデザイナーや販売員だけじゃないんだ。」
「人をコーディネートする、なんて楽しそうな仕事なんだろう。」
「自分も頑張ればこんな風になれるのかなぁ。」
「芸能人にも会えるなぁ。」
「いろいろなブランドの洋服に囲まれた大人、なんて格好いい仕事なんだ。」


「やってみたい」


高校3年の初夏、父親を交えた高校生活最後の三者面談という土壇場で、それまで提出していた志望校リストや進学したい学部、模試の判定結果の資料などを目の前にして、僕はすべてを覆す暴挙に出ました。

「スタイリストを目指して専門学校に進学したい、というかする!」

翌日からは学年の教職員中が騒然となり、必死に説得されるも聞く耳持たず。
親もやんわりながらも厳しくたしなめようとするが、聞く耳持たず。
(とは言え、両親は僕のやりたいことならば応援すると、バックアップしてくれました。このことは今でもとても感謝しています。)


そりゃそうだ、もう自分の脳内はスタイリストになることでいっぱいなんだから。

こうして、晴れて僕は上京し、都内の小さな服飾専門学校へ入学します。
そこで学ぶことは、それまで理詰めで勉強に精を出していた自分にとって、キラキラと輝くものばかりでした。

ただ、専門学校という場所にありがちな、「馴れ合い」とやらがたちまちクラス内にたちこめます。
就職斡旋実績90%越え、なんてのを売りにしていた学校とは思えない空虚感。
もちろん、各々の努力が一番大切なのだが、専門学校というステージの上ではそういう意識は霞む一方です。

ここにいて、このまま言うこと聞いてたら、ダメだ。

そう気付いてからは早かったように思います。
よく足を運んでいたいくつかの馴染みのセレクトショップに行って「アシスタントを探しているスタイリストさんがいたら教えてください。」と、言って回りました。


机に座って、講師たちの下で服飾の勉学に励むよりも、現場に出ないと始まらない。そう思っての行動でした。

それからいくつか月日は経ち、ひとつのショップの方から「2人ほどアシスタントを探しているスタイリストさんがいるけどどう?」と連絡が入ります。
すぐ話を聞きに行き、その方々がどんな媒体で仕事をしているのか、どんな条件で募集しているのか(その当時は、無給でアシスタントをするというのは全く珍しくありませんでした。)などを参考に、ひとりのスタイリストさんと
コンタクトを取ります。


「どうもはじめまして、明後日○○○っていうスタジオで撮影しているから、
そこで顔合わせしたいんだけど来れる?」

こうして、僕のスタイリストアシスタントとしてのキャリアがスタートしました。

右も左もながら、学業とアルバイトとの両立をしながら続けること半年。
専門学校卒業後もそのまま、正式にアシスタントとして活動します。

そこで気づいたこと。


やはり、すべては現場にありました。
スタイリングや撮影以外にも様々な事務作業、雑務。
何よりも、人とのつながりと礼儀の大切さを学びました。
苦悩やつらさも経験しました。
やめたくなる日も多々ありました。
でも、諦めることだけは絶対しないと。
そうして、約3年のアシスタント期間を経て、いよいよ独立へと至ります。

2009年夏、フリーランススタイリストとして独立する運びとなりました。


スタイリストという仕事について


スタイリストという職業・ワードがメジャーになったのは、2000年前後の時期だと思います。メンズファッション雑誌のページに顔出しするスタイリストが増え始め、私物紹介なんかもあったり。

スタイリストはアーティストやタレント、モデルの衣装をコーディネートする仕事ということで、華やかなイメージを持っている方がほとんどではないかなと。
もちろん、そういった側面も持ち合わせておりますが、実際のところはあくまでも“裏方のポジション”であることは間違いなく、地味な作業もあれば決まった時間軸でのサイクルが無いことからブラックな部分も、正直それなりに存在します。

とは言え、洋服というツールを使ってひとつの作品を作り上げたり、着用者に喜ばれるスタイリングをするということは、とてもやりがいを感じられる仕事です。

では、スタイリストってどんな風に仕事をこなしているのかについて少しお話し致します。

ひとつの案件が飛び込んできたら、まずそれに対してどんな洋服を用意すべきかを考えます。
その案を固めるためには、常にそのシーズンの各ブランドのイメージや方向性を把握しておくことが必要ですし、どこに行けば何があるかを認識しておかなければなりません。


そのためには、足を使って積極的にリサーチをしたりします。


また、各ブランドのサイズ感であったり価格帯であったりも必要不可欠な情報です。スタイリストとは、世の中に存在する洋服に関する情報の収集家と言えます。

次に、使いたい洋服のブランド・ショップに対して、リース可能かどうかの相談をするために広報担当者へ連絡をします。
そうです、スタイリストは基本的に洋服を“借りて”仕事をしています。
ブランドが商品を作るために用意した商品サンプルからリースする場合が多いですが、もちろん商品からリースする場合もあります。使用媒体によって、着用環境によってその対応は様々です。


リースには無償と有償と、両方のケースが存在します。ファッション雑誌で使用するために借りる際は、そのブランドもアイテムのプライスや問い合わせ先店舗が掲載され宣伝効果が生まれるため、無償で貸し出しをしています。


ですが、アーティストやタレントへの貸し出しについては、まず先に着用者とのイメージマッチングがあるかどうかでリースの可否が決まります。
貸し出しの許可を得たとしても、使用媒体によってはリース料金が発生します。テレビ番組の最後に流れるエンドロールに【衣装協力】としてブランド名やロゴが流れる時がありますよね?

そういったクレジット掲載がある場合は、リース料金は基本的に発生しません。
しかし、CMやMVではどうでしょう?
何のブランドやメーカーの服が使用されているのか、見ている側は情報を得ることが基本的には出来ません。
こうしたケースにおいては、貸し出しに対しての対価としてリース料金が発生します。
ブランドとしては使って欲しいものの宣伝効果が薄い、だからリースに対しては一定の料金を払う必要が出てくるということです。

もちろん、買い取りがマストになってくることもありますし、そもそもリースをやっていなくて買って用意しなければならないケースも多々あります。

その案件ごとに、仕事のやり方・衣装の集め方が全くもってバラバラなのです。

洋服を用意したら、コーディネートなど撮影への準備を行います。
膨大に用意した洋服からクライアントイメージや企画に沿ったコーディネートを組んでいきます。
足りないことがないよう万全の体制で用意しなければならないため、リースの時にはとことん頭を回転させます。
そうしなければ、コーディネート作業が不可能なほどの事態が発生してしまいます。


そして撮影前の準備には、アイロンやスチーマーでシワを取るという基本的なものから、パンツの裾上げ、ボタン付け、靴底が傷付かないようにするための裏張り、靴ひものチェックなどなど、細々と一着一着必要なものが分かれます。
現場での作業をスムーズにこなすために、とてもとても大切な作業です。

衣装集めと準備を終え、いよいよ撮影現場で着用者に用意した衣装を着せつけます。
この時も、数パターンのバリエーションを用意して、現場でフィッティングしながら決め込んでいくので、1コーデだけ用意すればOK!なんてことは、ほとんどありません。
見た目の違いの他にも、サイズ感の違いや素材感の違いなどで提案出来るいくつかのバリエーションを準備しておかなければならないのです。

着用した際の細やかなニュアンス付けやフィット感の微調整なんかも、細やかにチェックした上でようやく1着のスタイリングが完成します。


無事撮影が終わった後は、洋服を各ブランドに返却する作業が待ち受けます。ただ単に持って行けばそれで終わり、ではありません。
借りた時の状態にきちんと戻して返却します。
例えば、ワイシャツといえば大抵ピチッと畳まれてパッケージングされて店頭に並んでいますよね?スタイリストは着用のためにそのパッケージからワイシャツを取り出し、シワをきちんと取ってから着せつけます。
そして、また元のパッケージングされた状態に戻さなければならないのです。
どんな洋服もすべて、リースした時の状態に現状復帰させて返却します。汚れもNGです。

リース~撮影~返却、これがひとつのコーディネートをモデルに着せるための一連のフローです。

雑誌のスタイリングにおいては、さらにもうひとつ、事務作業として「担当編集者へ使用コーディネートのアイテムクレジットを送信する」という工程が待ち受けています。


雑誌のコーディネートの隅っこで目にする「ジャケット○○○○○円/ナイキ(ナイキカスタマーセンター)」といった内容の文面、あります。
アレ、スタイリストがその情報を集約し編集者へ伝えているのです。
プライスの間違いはもちろん、ブランド表記のミスなどがないように精査することも必要です。

これを行うことを前提に、洋風を貸して頂いているわけです。こういった事務作業も、スタイリストの大切な仕事のひとつなのです。

ざっくりと、スタイリストの実務についてつらつらと書きましたが、これを定時や勤務時間などといった時間の制限を設けずに徹夜したりしてこなさなければならないのが現実です。
イメージされる華やかさとは打って変わった現状が、そこにはあります。


それでも、やはり好きなことを仕事にしている以上、やりがいのある実務ばかりです。
なにせ、毎回違った洋服を目の前にしながら作業出来るのですから。


新たな発見もあります。


いろんな人とコミュニケーションを取りながら、毎日違うひとと仕事をすることもできます。


思いもしなかったコーディネートの意外な組み合わせが生まれたりもします。


服が好き、そうして始めた僕にとって、苦を感じることは今も昔もありません。

そう感じ始めたら、それはスタイリスト失格、でしょうね。

得意なジャンル

あまりジャンルにこだわって得意・不得意を区分けるようなことはしないのですが…。


幸運なことに、アシスタント時代には大人の男性向けの雑誌媒体の企画に多く携わることができ、メンズのドレススタイル・スーツスタイルのルール知識・ラグジュアリーブランドの素晴らしさ・大人の男のお洒落とは、そういった分野において膨大な経験値を得ました。

若輩者ながらも、若い男性に向けた現場ばかりを通ってきた同業者よりは実力を備えていると自負しています。

スーツやジャケットスタイルは、一定のルールとTPOという、崩すことのできないデフォルト的な要因が存在しますが、それをしっかり守った上でのお洒落の仕方というものを提案すること、それが重要です。

How toとレベルアップ、その両方を可能にします。

カジュアルなコーディネートにおいて個人的な好みを加味して言うならば、
モノトーンでタイトな、クールな男性像を作り上げるスタイリングには自信があります。元々バンドを組んでいた(実はそこそこ力を入れていました、個人的には。)こと、ロックが好きだということ、それも影響しているのかなと思
います。

音楽とファッションは、実に密接な関係ですから。

そこにモードさを加え、あくまでもリアルで現代的なスタイリングへと昇華させること。これが男性の魅力を引き出す近道でもある。そう思います。


独立後、若いメンズ媒体やアーティストスタイリングを経験し、さらにカバー出来る年齢層やテイストへのエクスペリエンスを手に入れました。
ドレスとカジュアル、モードとリアル。万能型、そう在って然るべきかなと思います。

スタイリストならば。


スタイリスト目線でのお洒落とは?


初めて知り合う人に職業を伝えると、たまに言われるのが
「へぇースタイリストさんなんだ!なんだか服装をチェックされてそうでコワいなぁ~あはは…。」
確かに、常に周りの人のファッションチェックは日常のごくごく当たり前の習慣として、無意識のうちにしてしまっています。


けれども、そのすべてが【あら探し】ではありません。

個性という最強の武器を大切にしたいと思うがゆえ、人それぞれ思い思いのファッションを肯定し、良さを見つけています。

その中でも、この人お洒落だなぁと思う人たちの共通点は何か。

それは、「その服を選んだ理由や背景がコーディネートに滲み出ている」という点。


服装にこだわりの無い、いわゆるファッションに無頓着な人の服装からは何のメッセージ性もありません。


でも、お洒落だなと思う人の服装からは、

「なるほど、この人はこのテイストが好きだからこの靴を選んだのね。」
「この人は体型をカバーするためにもこのシルエットのパンツを履いているの
かな。」
「あれはきっとあのブランドの物だけれど、合わせている物も相性が良く考え
られているなぁ。」
「この人、きっとアレも持っていそうだし、アノ色のソレも持っていそう。」
「このテイストが好きなら、たぶんあのブランドも買ってるんだろうな。」

そんな、お洒落だなと思わせる理由というものが何かしら感じられます。

そういった人は、「お洒落が好きな人」なんだなと。

ファッションが得意が不得意か、それよりも

「ファッションが好きで、楽しんで洋服を選んでいること」の方が重要だ

と、僕は思います。

「好きこそものの上手なれ」とは、良く言ったものです。本当に。


着せられた感のある洋服、無理をし過ぎたコーディネート、こだわりの感じられないバッグ選び...。

そういったものは、ファッションを楽しむというパワーが払拭してくれる。

ファッションは、自由であって然るべきですから。

★お洒落のルール、法則★


ルールは、あります。
殊にスーツを着るシーンにおいては。
はたまた、TPOという重要ファクターもあります。
これは覚えておかなければならないルールです。

法則、それに近いものもあります。
コレにはコレ。
この色ならば、あの色はNG。


ただ、それに捕らわれている人ほど、お洒落とは言えない人が多い。
凝り固まっている人、法則から抜け出せない人、あちらこちらに見かけます。

唯一、お洒落でいるための法則として覚えてもらいたいのは

「お洒落は、終わりのないものである」

ということ。

誰かにお洒落をレクチャーされ、コツを覚え、自信が付いた!
よし、これで私もお洒落の仲間入りだ!
...良いことです。

ただ、

そこからの毎日がアップデートの連続だ

ということを肝に命じない限り、

お洒落で居続けることは不可能です。

常々アンテナを張り、ファッション誌やウェブマガジンで情報を手に入れ、いろんなお店に入って洋服を見ること・着てみること。

これは、

センスをアップデートし続ける

というとても重要で、お洒落にでいるために必要不可欠なプロセスでもあります。

僕も、毎日がアップデートだと意識しながら日々生活をし、日々仕事に“挑んで”います。

お洒落への近道・コツ


よく聞かれます。本当に。
そんな時は必ずこう返します。

近道なんて無いし、コツなんて人それぞれだよ、と。

仮にそんな風なものがあったとして、それでファッションセンスが劇的に変わるのであれば、もうこの世の中はファッショニスタで溢れかえっています。


コツみたいなものを誰かから教えてもらったとしても、

“それが自分に適しているかどうか”

それは不確かです。

スタイリスト目線ではありますが、お洒落への近道・コツを敢えて言うならば

「高級な洋服とそうでない洋服を見ること、比べること、袖を通すこと。」


であると思います。

これは、今日実践して明日にはクリア出来ることではありません。


ですので、近道とは言い難い。
ですが、これが近道です。

ハイブランドの良さをその目でその肌で体験して、ファストファッションも手抜きせずにしっかりチェックする。

もちろん、その両極端のみならずいろんな価格帯のブランドを比べてみること

それが必要です。

アイテム単品で見ることに加えて、マネキンに着せられたそれぞれのブランドがプッシュするコーディネートをじっくり見比べてみるのです。

ハイブランドだとしても物怖じせず、財布の中身と不釣り合いだとしても堂々と、そのショップで気になったものをどんどん試着してみてください。


こうすることで良いものとされる物と、言い方は良くないのだがそうではない物、それぞれに存在する理由や要因を把握することが出来ます。

それにより、

ハイブランドのクリエーションに触れることがセンスを磨く結果を生むこともあれば、

ファストファッションではコスパに加えトレンドカバー出来るパフォーマンスに気付き、

さらにセンスを磨くきっかけを作り出すこと
が出来ます。

これを習慣化していくと、

自ずと審美眼が養われ、買い物の失敗を無くし、

コーディネートの引き出しを増やしてくれ、

凝り固まったファッションへの偏見であったり抵抗であったりは揉みほぐされ、

より素直に“お洒落を楽しむこと”が出来る様になっていきます。

決して裏ワザのようなテクニックではありませんしそれなりに労力が要りますが、

⻑い目で見れば、こんなに簡単で誰にも迷惑を掛けないお洒落への近道は他にはない、そう思いませんか?

お洒落になりたい、モテたい男性たちへ

 このふたつは、隣り合わせであると常々思っています。

 お洒落なひとは、女性にモテるし

 女性にモテる人は、お洒落にも気を使っています。

 女性だって、そうに違いない。

 僕個人としては、ファッションに興味を持ち始めたときはそこまでモテるということを意識したワケではありませんでした。

 しかし、どんどんファッションにのめり込んでいくうちに、やっぱり周りの女性からは「お洒落だね」「かっこいいね」などという言葉をいただき、果ては「あそこの高校にすごくお洒落な人がいるらしいよ」なんて、その余波は外へ外へと伝わっていくということを実感しました。

 今までお付き合いした女性にも、お洒落だから一緒に出かけることが楽しいと言ってもらえて、その女性自身もさらにファッションや美容に力を注ぐという相乗効果を感じたり、損を感じたことはなかったように思います。

 現在、自分は結婚していますが、その出会いのキッカケもファッションが深く関わっています。スタイリストをしていて、アパレルブランドの友達が増え、そのつながりからレディースブランドで販売員として働いていた現在の妻と出会うことになりました。

 お洒落は、そのひとの人生をも彩る。

 本当にそう思います。

 僕は、それを自らの職業にまでしてしまいましたが・・・。

 お洒落になりたい、モテるようになりたい。

 そう思っているそこのアナタ。

 ファッションはそれを存分に可能にするし、目の前の人生をもっと明るくしてくれる。そしてそれは、誰しもが体験・体現出来ることです。

 自分に自信がなくても、洋服という身近なアイテムがそれを補ってくれます。

 そしてそれは、なにも難しいことではないということ。

 それを、たくさんの人に実感してもらいたいと思います。

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