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短歌の同人誌はなるべく出した方がいい

初めに

 今年の9月に個人誌「チャイナタウン・ビギナー」を発行しました。この文章では、作品の内容には触れず、それ以外の冊子が完成するまでの色々を書き記しておきます。もう忘れかけているところもあるのですが…
 それから、この記事の中でいちばん多くの人の目に触れる場所に通販サイトへのリンクを貼っておきます。どうぞよろしくお願いいたします。


チャイナタウン・ビギナーとは

 村上航の短歌がたくさん載っています。88首連作と30首連作。こんな感じ。

 連作が2つ収録されています。「チャイナタウン・ビギナー」と「絶滅」です。


素敵な表紙イラスト

 表紙のイラストはイラストレーターの水井軒間さんにお願いしました。色の付け方が特徴的なイラストを描かれる方で、絶対にこの冊子の”顔”として目立ってくれるだろうという確信のもと依頼のメールを送りました。ゲストも呼ばず、一個人の連作が二つしか載っていない冊子を多くの方に手に取ってもらうための良い決断だったと思います。素晴らしいイラストをいただきました。

 作ってて思ったのは、自分のやりたいようにできるので個人誌制作はとても楽しかったですね… 表紙を見た何人かに「個人の好みが出すぎている」と言われましたが、裏を返せばそれだけ自分の信じるものを押し出せたというわけで。


なぜ個人誌を作ろうと思ったか

 後輩に唆されたからです。良い唆しでした。
 あとがきには、東京文フリの興奮に中てられて~みたいなことを書いているのですが、それは個人誌を発表する踏ん切りがついた時の話。個人誌を作ろうと思ったのは、そのちょっと前。
 友人に誘われて、京都で角川短歌賞に向けての連作歌会に参加しました。そこへ連作「チャイナタウン・ビギナー」を持って行ったのですが、あまり手ごたえがなく… どうしようかなーと思いながら、酒を飲み、いい気分になったところで、同席していた後輩歌人から「村上さん個人誌出さないんですか」みたいなことを言われました。今までの自作を集めて、みたいな話だったのですが、ワタシ閃いちゃいまして。「さっきの連作を100首ぐらいに膨らませて個人誌にしちゃえばいいじゃない」と、ピンチをチャンスに、逆転の発想、七転八起☆至上主義!、どうやっても勝てない悪魔が女神の顔をしてちゃっかり (◎_◎;)、ということであります。

その日の鴨川にて

 とにかく、将来歌集を出す時の参考にもなるだろうということで、ぼんやり個人誌を出そうと決めたのが、京都大学を過ぎて銀閣寺方向に向かうローソンあたりでの出来事でした。


「絶滅」について

 「絶滅」は2023年の短歌研究新人賞に応募した連作です。びっくりするぐらいスムーズに完成したのをよく覚えています。
 結果がどうなったかな~と発表号を恐る恐る開くと、最終選考を通過していました。どひゃ~~~ 嬉しい嬉しい。早速ツイートする。

 このツイートより前からTwitterで個人誌出すつもりだという匂わせをしていましたが、明確に「9月の大阪文フリに出す」と言い切ったのはこの時。また、「絶滅」を個人誌に収録するのを決めたのも、実はこのタイミングでした。
 個人誌に加えた理由は、これ以上手を加えるつもりがなかったから。そして、多少の宣伝効果が狙えるからです。新人賞の選考に残ったというツイートは伸びるだろうという打算に基づいて、同じツイートで個人誌の詳細を告知しました。浅ましいですね… でも、実際大阪文フリ当日に「絶滅」が良かったので、と言ってくださる方がいらっしゃったので、間違っていなかったのだと思います。


InDesignに敗北した

 組版について。InDesignで頑張ろうとしましたが、結局Wordで行いました。0からIndesignを習得するのは結構大変です。もし、短歌の同人誌作るぞ~~って方がいらっしゃれば、よっぽど凝ったものにしない限りはWordで大丈夫だと思います。ページ設定を死ぬほど弄って、テキストボックスを酷使しましょう。
 ただ、そのあとの装丁を決める時間が個人誌を作ってみて一番楽しかったです。だって、オプションが山ほどあるんだもの! 悩みに悩みましたが、自分は本文用紙を”銀鼠”という色のついた紙に差し替えました。現物を見るまでちょっと不安でしたが、届いた時にはメロメロでした。カッコいいぞ…


K9という印刷所

 俺はGyakubaraaa’sという短歌ユニットに所属しているので、逆張りからは逃れられません。個人誌を作るにあたって、逆張り要素として皆とは違う印刷所にお願いしたいと考えていました。なんで皆、し〇や出版やちょ〇っ都製本工房ばっかりなんだろう…
 K9さんにお願いした理由は、オフセット印刷での表紙の仕上がりが綺麗で/オプションが多く/それなりの部数を頼めばお安いからです。仕上がりは上々。水井先生の素敵なイラストの威力を最大限発揮できていると思っています。もし次があればまたお願いしたいです。


vs文フリ大阪

 ようやく完成した冊子を引っ提げて、大阪へ。所属していた大学短歌会やサークルの一員として出店したことはあるものの、何の後ろ盾もない個人で参加するのは初。かなり緊張していましたが、ありがたいことに売れ行きは上々でした。失敗だったのは、一人での参加だったのでトイレにも昼食にもブース巡りにも行けないワンオペ状態になりかけたこと。危機を救ってくれたAmin君に感謝を。

当日の様子

 見本誌コーナーで読んで購入してくださった方もいて、普段作品が届きにくいエリアにもリーチできたのは大収穫。自分の場合は自作の発表の場がほぼネット上に限られていて、新しい読者をどう増やすかが課題としてありました。そんな中で勇気を出して冊子を出すことで少しでも自分の短歌を読んでくれる人が増えたのは幸福なことです。みんなも気軽に同人誌を出そう!


 同人誌や個人誌を出したいけど、踏ん切りがつかない人の助けになれば幸いですの文章でした。
 最後に、もう一回リンク貼っておきますね~✌️✌️✌️

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