見出し画像

デジタルキャンプファイヤーを振り返る - 実装編 -

こんにちは。

前回はデジタルキャンプファイヤーを作った弊社の事情、社会情勢などを振り返りました。

今回はコンセプトと実装内容が決まっていった課程について話していこうと思います。

ターゲットは「リモートでコミュニケーションをするチーム」に

我々は創業期からオフィスレス&フルリモートです。業務はドキュメントを丁寧に作り、チャットでフォローできれば回ります。ですが雑談は圧倒的に少ないですし、会話は要件基点、成果主義となるので、非常にドライでクールな組織とも言えます。リモートワーク特有の孤立感というものに慣れることができなければ継続が難しい環境というのも事実です。

串カツ

とは言ってもコロナ禍以前は、毎月1回は都内で集まり、月次報告会をして『串カツ田中』で好きなだけ飲み食いするというのがお決まりの流れでした。月1回直接会う、同じ釜の飯を食うという重要な体験ができなくなりましたが、それは他社でも同様だったと思います。

そこでデジタルキャンプファイヤーのターゲットは、我々ダフトクラフトと同じように、『リモートワーク環境下でのチームビルディングの障壁を感じている人』に設定しました。

リモートで人間関係を構築するのは一筋縄ではできないです。ましてや新しい仲間を迎えるのは非常に難しいです。なので仲間と離れていても繋がれるオンラインコミュニケーションには人間味・温かみが必要だと考えました。 

とにかく乾杯がしたかった

人が自然体になれるコミュニケーション環境を実現するため、「焚き火を囲む」というコンセプトは固まりました。そこからさらに、語る場と「食」をかけ合わせたらいいのではないか?というアイディアも追加しました。食事の時間は人にとって幸せや安心を感じる時間ですし、自然体で質の良い会話をする時は、会話だけに集中するのではなく、何かを食べたり飲んだりしていることが多いと思ったからです。

何よりも、僕は無類の酒好き人間です。今は日本酒が中心ですが、一時期芋焼酎にハマっていたときは、本格焼酎を飲むために鹿児島までバイクでツーリングしたことがあるくらいです。そして国産でこんなにお酒のバリエーションがある国は、世界でも日本だけだと思っています。

そんな日本らしさの一つであるお酒と、「離れた場所にいても近くに仲間の存在を感じながら酒を酌み交わせるシステムを開発をしよう」なんて考えてしまうダフトらしさを組み合わせた結果、VRコントローラーにセットすることで350mlのお酒の缶を手に持つことができる「缶アダプター(通称:乾杯ホルダー)」の制作が決まりました。

3Dプリンターをふんだんに活用して試作品を複数作り、この形にたどり着きました。

最近発売されたVive Flowのような薄型のHMDならば問題ないのでしょうが、Quest 2は、意識しないとHMDと乾杯してしまいます(笑)

東京都墨田区にいる私と、横浜市にいる担当エンジニアと乾杯のデバッグが成功した時の感動は良い思い出になっています。乾杯ホルダーは初代QuestとQuest2の2種類+メンバーの分を用意して、21年の新年会はオンラインで全員集まって行いました。

バーチャルの音・振動・演出とリアルのビールがリンクして、久々にみんなで乾杯した串カツ田中を思い出し、あの時のような暖かい気分に浸れました。

バーチャル世界なのに「肩書き」って要る? 

さて、人が自然体になれるコミュニケーション環境を実現するための工夫として、もう一つ設定を決めました。それは、「デジタルキャンプファイヤーを外見や肩書きにとらわれない場所にする」ということでした。

『人は見た目が9割』という本が話題になったように、現実世界は外見で判断されてしまう社会です。さらに組織内では、外見に加えて社長・上司・部下などの「肩書」による判断基準も存在します。

デジタルキャンプファイヤーでは魂、心、人間性の部分を焚き火の炎で照らし出し、外見や肩書にとらわれない自然な会話を生み出したい。ここに集まった人が自然と優しい気持ちになれるようにしたい。そう考え、可愛くディフォルメされた動物のアバターを採用しました。

デジタルキャンプファイヤーのターゲット層が決まり、食とかけ合わせるアイディアや肩書きのない世界観を設定したところで、時は2021年06月になっていました。コロナの状況はあまり改善しておらず、相変わらず不安定な状態。

そんな中、私は入社から数ヶ月経った21年新卒の社員にこのデジタルキャンプファイヤーの開発を任せてみることにしました。

<つづく>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?