てのひら小説26話「道」

突然道が二つにわかれた。
途方に暮れる僕の横を
沢山の人が通り過ぎてく。

出遅れたのを認めたくなくて
方向音痴のせいにして
目を閉じて
耳を塞いで
気づかない振りで時を過ごした。

ある日「やっほー」と声がした。

顔を上げたら
山の頂上に人影が見えた。

どちらの道でも良かったんだ。
上れば辿り着いたんだ。

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