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クロームブック、手に入れたのでレビューします

 クロームブック、というPCをご存じだろうか。
 簡単に言うと、クロームOSが入ったノートPCのことである。
 ではクロームOSとはなんだろうか。それはグーグルクロームを動かすこと「だけ」に特化したOSのことである。

つまり、クロームブックはグーグルクロームしか起動しない、と考えていい。

「そんなPC、存在価値あるの?」と初めて聞いた人は思うだろう。実は私もそう考えていた一人だった。しかしよくよく考えてみると、ほとんどのPC作業はネットサーフィンやYouTubeだったりする。となると、意外とクロームブックも悪くない選択かもしれないな、という考えが芽生えた。

 こうなると、ウィンドウズPCでしかできないことは、書籍の自炊と自炊データの管理くらいのものだろう。もちろん、他にクリエイティブ系の作業だとMacやウィンドウズでしかできないことはいくらでもあるだろう。でも大半はそこまでバリバリとクリエイト作業をするわけでもない。国民全員がクリエイターやプログラマーではないのだから。
 そう、ほとんどの人はブラウジングとYouTubeが見れたら「だいたいそれでOK」ではないだろうか。

 というのは実は建前である。言い訳と言ってもいい。実際に買う前にクロームブックについて情報を集めまくった。一週間くらい情報を集めていて気付いた。

こんなに情報集めに時間使うくらいなら、いっそ実物買っちゃった方が早くね?!

 優柔不断な性格は自覚している。
 先にも書いた通り、クロームブックはグーグルクロームを動かすだけなのでスペックも低くて十分。よって値段も安い。今回買ったクロームブックも3万7千円のものだ。
 だが、3万7千円でも、けっこうする。ましてや今、PCはもっているのだから、そこまで必需というわけでもない。
 買うまでにまだ少し悩んだが、3,4万くらいで新しいOSを試してみるのも悪くないことだと思い、思い切って買うことにした。こんな機種である

Lenovo Chromebook S330 - ビジネスブラック

 けっこうダメ元で買った感じだが、買ってみた感想としては「悪くない」といった印象。意外と使い勝手はよく、これはこれでありかな、と思える。
 以下に簡単にスペックをまとめてみる。
 1.14インチ、アンチグレア仕様の液晶。FHD画質。
 2.USキーボード。キーピッチは19ミリちゃんと確保されている。
 3.メモリ4G、ストレージはEMMCの64G。
 4.CPUはMediaTek MT8173C、2.10GHz(なんかよくわからんけど)。

 以下、良かったところと悪かったところを列挙していきたい。

 良かったところ
 1.サクサク動く
 ブラウジングに特化してるだけあって、ブラウジングは快適そのもの。起動も早い。しかし、起動に関しては最近のウィンドウズPCでもかなり早くなっており、そこまで差はない印象。キビキビ動くと言っても、ウィンドウズもキビキビ動く。しかし、価格4万弱で10万以上の格上PCと互角、という点はコストパフォーマンス的には優れていると見ていいだろう。こっちはEMMC、最近のPCはSSDが主流だ。SSDの機体とそこまで遜色ない、というのはかなりのスピードを誇ると思う。

 2.ウィルスバスター不要
 ウィルス対策を特にしなくていい。もちろん、絶対安全というわけではないけど十分ではある。しかし、これも最近のウィンドウズPCも意外にセキュリティーを強化しているので、ウィルスバスターの類はそこまで必要なかったりする。しかしまあ、余計なソフトを入れなくていいというのはうれしい。てか、このクロームブックであまり変なサイトを見たりしないから、大丈夫なんだけどね。
 なんて思ってたら、普通に「ラッキービューワー」とかいう嘘くさい広告に引っ掛かりかけたけどね……

 3.電池持ちがいい
 性能は低い代わりに、それをグーグルクロームを動かすことに特化しているので、動作が軽いうえに、電力消費も抑えられている。surfaceプロ(第五世代)をメインに使用しているが、かなり発熱する。しかしクロームブックはそこまで発熱しない感じだ。ちなみに電池持ちがいいと言っても、輝度中くらいでYouTubeのHD画質の動画で10時間弱くらい再生できる感じだ。劇的に持つわけではないが、通常使用には十分といった感じだろう。

 4.代わりはいるもの
 ローカルのストレージをほぼ使わない仕様なので、買い替えが楽、という点が挙げられる。実際に買い替えたわけではないが、同じグーグルアカウントでログインすれば、どの機体でも同じ設定で始められる。機種買い替えの時のあの面倒なデータ移行が何もない(そもそも移行すべきデータ自体がないのだが)というのは、気楽に使えるという点でも素晴らしい。さらに他人のクロームブックであっても、自分のアカウントでログインすればほぼそのまま使える。友人同士で違うクロームブックを買って、貸しあうというのも面白いかもしれない。そんなことはクロームブックでしかできない。

 うん、実をいうと、クロームブック独特のいいところってこれくらいしか思いつかないんだ……以外に少ない。他にもいいところは存在する。USB-Cで充電できるとか‥…しかし、それって最近のPCなら大体みんなそうなって来ている。別にクロームブックに特有の長所というわけでもない。USキーボードも、別にこいつだけの長所というわけでもないし……
 そもそもクロームブックって「特に良くもないけど、悪くもないよね」という感じなのだ。シンプルにやりたいことだけできる、そんなOSになっている。

 一つの大きな長所になる予定だった、「アンドロイドアプリを使える」という点も、実はそこまで長所にならないことが判明した。特に今回購入したクロームブックは、2In1ではない。タッチパネルはついていない。アンドロイドアプリというのは、ほとんどタッチ操作前提である。ということは、タッチ操作ができない本機ではマウス操作になってしまう。しかも横画面に無理やりスマホのような画面を広げた感じになる。
 さらに、文字を打とうとすると、なぜか日本語になってるはずなのに、英語入力に……アンドロイドアプリに文字を打ち込むときは、ショートカットで日本語⇔英語の切り替えはできず、シルフ(いわゆるメニューバーのこと)から変換することになる。

これが滅茶苦茶めんどくさい!

 おかげで、一瞬でアンドロイドアプリを使おうという気が失せてしまった。
 このように、長所もあるんだけど、そこまで生かしきれてない印象。タブレットにもなるクロームブックなら印象は変わってくると思われるが、結局そこまでいくと値段が上がってくる。
 値段が高いなら、何のためのクロームブックなの? ということになってしまい、本末転倒となってしまう。この文字変換の一番の犠牲者はツイッターであろうか。アプリ版は以上のような事情で、とてもではないが実用性に欠けると思う。幸い、ツイッターはブラウザ版があるので、普通にそっちでやれば十分である。

 あと、ブラウザでコピー、アプリにペースト、ということもできなかった。例えば、ネットで適当に調べて、見て欲しいURLをコピー、それをlineアプリに貼りつけ、ということができない。それがクロームOS上の仕様なのか、この機体だけの仕様なのかは分からない。しかし、できない以上、結局スマホやPCでいいや、ということになってしまうんだが……lineもブラウザ版はあるが、ブラウザ版は通話ができないなど制約がある。だったらPC開いて、PC版アプリを使えば、PCを通じて通話もできる。

 あと、本機のグーグルクロームの拡張機能に広告ブロック機能を追加した。これによってネットサーフィンは快適そのものになったのだが、なぜかYouTubeをみると動画がたまにカクつくようになった。これも地味なストレスである。
 あと、動画を5秒スキップするときに、スキップした直後に硬直時間が発生して結局スキップした意味がない、ということにも。根本的な性能が低すぎるのかもしれない。surfaceだとスキップしても硬直時間はなく、そのまま飛ばしたか箇所から流麗に動画が流れる。さすがsurfaceである……

 あとはFnキーであろうか。ウィンドウズのようにFキーではなく、それぞれに音量調節、輝度調節、リロード、などの便利な機能が割り当てられている。しかし、文字打ちしているとどうしても押したくなるのがF7キーである。
 これは虫眼鏡のマークがついたキーを押しながら、7個目のFnキーを押せば同じ機能が使える。使えるが、よくあるのがその虫眼鏡キーを叩いたときに、間違ってアプリ一覧が表示されてしまうことがある。これは操作になれればなくなっていくのだろうが、ウィンドウズならそもそも一回キーを叩くだけでいいのと比べると、遥かに億劫だ。クロームブックを触ってから、ウィンドウズに戻ってくると「なんて快適なんだろう」と感動するほどである。ただ、これは慣れの問題が大きいことは分かっている。分かっているけど……
※文字入力中は、全角カタカナの機能が自動的にオンになるようだ。使っていて気付いたので訂正する。一応文章は残しておくけど。

やっぱりウィンドウズって使いやすいよ。間違いなくね。

 そう、高いものには高いだけの機能性や理由が往々にしてあるものだ。安物は安いだけのものでしかない。

 あともう一つ致命的だったのは、外付けストレージをつないで利用するのが非常にやりづらいということだ。

要するに、エロ動画が見れないんだよなぁ……

 何らかのアプリを入れればいいのかもしれないので、そこらへんはまだまだ開拓の余地はあると思う。でもそれ以前に、外付けのデータを読み込む段階で難あり、としか言いようがないんだよなぁ……
 それからクリックしても、何の映像も表示されない。なんだか釈然としないが、ここら辺は色々試してみたい箇所ではある。
 あと、写真などのファイル整理に関しても、そこまでやりやすくはなかった。ただ、シンプルっちゃシンプルなので、そこまで大量に保存しなければいいと思う。本当はこういうのも全部クラウドを使ってやるんだろうね、グーグルの思想的には。

 あとは外観などについて。
 特に変哲のない、黒のプラスチック系の素材である。その割に1.4キロと微妙に重いのはご愛嬌。まあ、 持ち運びに際してはそこまで重くない。別段軽くもないけど。
 外観に関しては、安っぽさはあるものの、嫌いではない。
 あと、キーストロークは少し浅めで、これもそこまでよくはないけど、悪くもない感じ。個人的にはキーストは深い方が好みではあるけど、本機の感触はそこまで悪くない。特にマックブックよりはキーストはしっかり確保してある。

 ディスプレイだが、画面が微妙に白っぽく、目に眩しい感じがする。特に普段使っているsurfaceと比べると、画素数を超えた格段の差がそこに存在する。ディスプレイは使い勝手に直結するので、ここはもう少しどうにかして欲しかったところ。しかし、これも14インチでFHDならそこまで悪くはないんだよな……

 ぶっちゃけると、長所はそこまで多くない。短所もたくさんある。しかし、もうちょっと手元に置いて、色々試してみたい、と思えるのは、やはり起動が速いのと快適なブラウジングができる、ということだろう。
 でも、そこだけなら安いウィンドウズでも別にいいんだよな……今は安物でもブラウジング程度なら快適にできるの多いし。ひょっとしてクロームブックは失敗だったのかもしれない、という不安をごまかしながら、とりあえず使っていくつもりではある。

 いっそアップル農園の肥料になっちまうかな……(ボソッとした声で)

 しかし、意外に取り出して使うことは多いことが判明。実質二画面構築できるため、例えばsurfaceで執筆しながらクロームブックで資料となるページを表示、ということもできてしまう。例えばクロームブックではYouTubeを流して、surfaceでは作業、などもできる。つまりサブ機としては最強なんじゃね?という感じではある。(この程度の使い方ならディスプレイ買った方がいいかもしれないが)
 サブ機として何か求めている方は、ぜひ検討してもいいんじゃないだろうか。

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