【解説】なぜ緊急事態宣言が出ないのか?

東京都が1日の感染者1,300人超を記録し、東京都の小池知事がついに政府へ「緊急事態宣言」の要請へと踏み切った。

このタイミングで、政府にボールを投げた、小池知事の政治的手腕は色々な意味で「さすが」という意味であろう。

一方で、本日のYahoo ニュースでは、「緊急事態宣言より、特別措置法の改正を優先する」という見出しが。

おそらくあまり政治に関心がない方々は「緊急事態宣言より特別措置法の改正ってどういうこと??(何を言っているのかよくわからん)」と思うだろう。

そもそも「なぜ特別措置法を改正する必要があるのか」「特別措置法とは何なのか」という疑問を持っている方もいると思うので、ちょこちょこっと解説していこうと思う。

① そもそも緊急事態宣言の効力は?

4月に安倍総理(当時)が、緊急事態宣言を発令したのは皆さん覚えているだろう。実はあの緊急事態宣言は「特別措置法(新型インフルエンザ等対策特別措置法)」に基づいて、発令をしたものである。

※今思えば、安倍前総理は発信力や決断力は日本の政治家の中でも、早かったなあとしみじみ...

なにか政治家が「政策を実行」する際には、かならず「法律」に基づいて行う必要性がある。※「法律」とはある意味、政治家が好き勝手やらないよう(独裁)に定めた規定なのだから。

上述したとおり、4月の緊急事態宣言の内容も「特別措置法」の法的根拠に準拠して発令されたものである(ここ大事)。この時、欧米や中国では交通機関の停止や外出禁止令など、いわゆる「ロックダウン(都市封鎖)」が行われたが、日本では緊急事態宣言が発令されたものの、ロックダウンは行われなかった。

ここでこう思う人がいるだろう。「なぜ、日本ではロックダウンが行われなかったのだろうか?」

→それは、ロックダウンを行う法的根拠が「憲法」になかったからである。そして、特別措置法も「あくまで要請」であり、「強制力」はなかったため、緊急事態宣言自体もあくまで「要請」という内容だった。

※憲法は、日本で一番偉い法律と考えてください

欧米諸国は「私権(例えば、自由に行動する権利)を制限」が法律に準拠されている。ただ、日本はそうした私権を縛る内容というのは、憲法に規定されておらず、欧米や中国のように人々の往来を禁じるのは現場難しいのである。

※そう考えると、欧米と比較しても日本はけっこう自由な国だったんだなとしみじみ..

② なぜ緊急事態宣言より特別措置法の改正なのか?

上述したように、現行の特別措置法だとあくまで「要請」ベースのものであり、「強制力がない」ことがあげられる。そのため、現行の特別措置法の内容のまま、緊急事態宣言を出しても、

「強制力がないため、国民の行動は宣言前より変わらず、効果を出しても希薄である」ことが危惧されている。

例えば、時短要請を守らない店があっても、罰則はない。

そのため、まずは「特別措置法」を改正し、ある程度強制力のある内容(例えば、時短要請を守らない店があったら、罰則を与える)に変える必要性があると政府は考えている。

ならばこの喫緊の事態に、「特別措置法の改正はどれくらいの時間がかかるの?」と思う方もいるだろう。結論から言えば、現在のスケジュールで言うと1/18以降であろう。

「え?なんでそんなに時間がかかるの?」と疑問に感じる人のために、解説をすると、法律を改正にするには、議会=国会での審議と承認が必要となる。

日本の国会は、衆議院、参議院があり、両院の商人が必要となる。且つ、現在の日程でいけば、次の国会開催は1/18で、法律を改正するなら、それ以降になってしまう。日本は国会開催の期間は決まっており、どうしてもこのようなスケジュールになってしまうのだ。

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※参議院ホームページより(出典:https://www.sangiin.go.jp/japanese/kids/html/shikumi/houritsu.html)

もちろん他にも緊急事態宣言を発令すると、経済的損失が甚大だということも、政府が同宣言の発令をためらう理由であろう。

③ 筆者の思い

結論から言うと「あまりにも、色々と後手後手で対応が遅すぎる」という思いだ。

そもそも今、「特別措置法を改正する必要性がある」と政府が言うならば、前回の国会で法案を提出、審議するべきだった。冬になればコロナウイルスが活発化するのは目に見えていたし、希望的観測にのっとり特別措置法を改正しなかったのはあまりにも痛手すぎる。

この「希望的観測にのっとり」というのは、先の大戦での日本政府、旧日本軍と何も変わっていないのだなと、非常に悲しい思いすらある。

※この本は、歴史に興味がなくてもビジネスパーソンとしては是非読んでもらいたいところ。ああ、ここうちの会社の欠点だ..というところが、本書を読めばぼろぼろでてくる..

ともあれ、ここまでの記事はあくまで1/3時点での報道をまとめたものである。もしかしたら、政府も法律を改正しないまま、緊急事態宣言を出す可能性もある。今、医療機関の方々も必死で対応しているし、社会人も報酬が少なくなっても、経済を回すため、自分たちの生活を営むため、働いている。

そんななか、要請を出しているはずの平気で政治家は、5人以上の会食をしており「もう要請を出した職業の人が、要請を守らない」という混沌した世界になりつつある。

何より一つ明らかになったのは「自由と感染症の相性は非常に悪い」ということである。コロナウイルスは今後の日本の国会体制、個人の権利等大きな問いを投げかけることになるだろう。

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