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「線スケッチ」の立場で美術展を鑑賞してみた

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訪れた美術展の感想文です。ただし、美術展全体の紹介や感想ではなく、「線スケッチ」の視点で鑑賞した内容に焦点を絞っています。視点としては、モチーフ、構図、線描、筆さばき、配色など技…
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#美術展

国宝障壁画展示《楓図》《桜図》(智積院・宝物館):茫々60年、あれは夢・幻だったの…

(長文になりますのでお気を付けください) はじめに このnoteのどこかの記事で、私がいかに…

展示「国宝 松林図屏風」(東京国立博物館)その1:知識、経験が変われば見方も変わ…

はじめに 昨年東京国立博物館で開催された<やまと絵>展を訪れた時に、博物館の広報を読ん…

「北宋書画精華」展(根津美術館):水墨画鑑賞2023年の振り返り、白眉を飾る北宋山水…

はじめに 昨年は、水墨画の勉強に始まり、水墨画の美術展の鑑賞にほぼ注力した年でした。 …

「小村雪岱」展・補遺2:泉鏡花「日本橋」の装幀画は仏画の三部構図だった?

はじめに 本稿は、昨年訪問した清水三年坂美術館の「小村雪岱」展の記事の中の、小村雪岱の…

「小村雪岱」展・補遺1:春信は知っていた!「線遠近法」とその「ハイブリッド描写」

はじめに 昨年末、12月31日付で「小村雪岱」展(清水三年坂美術館)の訪問記を投稿しました。…

「小村雪岱」展(清水三年坂美術館):白黒挿絵の改革者雪岱。配色は鈴木春信へのオマ…

はじめに 11月2日付の下記の記事の中で、清水三年坂美術館の「小村雪岱」展が開催されている…

東京国立博物館<やまと絵>展:おそるべし雪舟!あなたは桃山障壁画の祖か?なぜ樹木・草葉をそこまで突き出して描くのか?

はじめに 前回の記事で、東京国立博物館で行われている「やまと絵」展で典型的な「やまと絵」《浜松図屏風》と、これまた典型的な「水墨山水」《四季山水図屏風》が並列展示されていて、二つの屏風を対比して見ることでこれまでピンとこなかった「水墨山水」の本質に触れることができたことを紹介しました(下記を参照ください)。  「やまと絵」展は、全期間を4つに分けて作品を入れ替えます。残念ながら1回で全てを見ることが出来ません。ただ4回も見るのは大変なので、第二期の大きな目玉である《伝源頼

東京国立博物館<やまと絵>展:「やまと絵」展なのに「水墨山水」の本質を体得したか…

はじめに 先月、国立博物館の「やまと絵」展が始まった次の日に訪問してきました。本格の感…

<マティス展>東京都美術館:これでよいのか?人生最高傑作のヴァンス礼拝堂;なぜデ…

前回の記事その1から続きます(最終です。長文になります)。 2巡目の最後に予想外の事実が…

<マティス展>東京都美術館:これでよいのか?人生最高傑作のヴァンス礼拝堂;デッサ…

 今回、東京都美術館で開催されている「マティス展」を訪問しました。その結果、予想外の心の…

<アンディー・ウォーホル・キョウト展>京都市京セラ美術館:思いもかけずウォーホル…

はじめに 昨年末、関西の実家に行ったとき、京都を訪れました。街歩きスケッチのためですが…

<木島櫻谷ー山水夢中展>泉屋博古館東京:とにもかくにも写生帖の樹木表現に注目! …

記事(その1)から続きます。 (2)感想:「山水画」と木島櫻谷  前回の記事の「はじめに…

<木島櫻谷ー山水夢中展>泉屋博古館東京:とにもかくにも写生帖の樹木表現に注目! …

はじめに 実は日本画家の木島櫻谷(このしまおうこく)の名前は完全に忘れていましたが、作…

<ポール・ジャクレー展>太田記念美術館:フランス感覚と思いきや江戸浮世絵版画の色? そして歌麿の継承者?

はじめに 表題の美術展に6月21日(木)と7月12日(水)に訪れました。  ポール・ジャクレーは、フランス人の「新版画」作家です。この作家の作品をはじめてみたのは、2009年に江戸東京博物館で開催された「よみがえる浮世絵、ーうるわしき大正新版画展」でした。  その中で、一連の「チャモロ族の女性」(横浜美術館蔵)の作品を目にして、一瞬のうちにそのエキゾチックなテーマだけでなく、日本人の感覚に無い色彩センスと配色に魅せられました。  他の作品を見たいと思っていたのですが、その