ZETA DIVISION vs DRX Ascent分析


はじめに

今回は先日行われたVCTPacific LeagueのDRX vs ZETA DIVISIONから1map
目であるAscentを分析してみる。
Ascentを選んだ理由としては、結果としてDRXの快勝に終わったわけだが前半はかなり上手くZETAがラウンドを取っていた。また、各ラウンドわかりやすく相手に対応する動きをお互い見せる場面が多かったためどこの部分で差が出たのか多角的な観点から分析してみたいと考えたためである。
また、今回はDRXを主観的に分析を行なっていくことを付け加えておく。

今回分析するにあたって重要視するデータ、考え方

DRX ZETA共にFBは9ラウンド

・全18ラウンド(DRX ATK12ラウンド、DRX DEF6ラウンド)の内ZETA、DRX共にFBは9ラウンドずつだった。(上画像はDRX、ZETAのATK、DEFのFB取得回数)

画像2(retakeとATKの勝率)
画像3(mapごとのretake率。ここでは1番下のAscentのデータのみ使用する)

・画像2,3より、人数状況が同じのretakeはATK側の方が有利である。

・ZETA、DRXが共に使用していたソーヴァ、kay/oのシグネチャー・アビリティーのクールタイムが40秒であることから最初のリコンボルト、ゼロポイントを使用してエントリーしていく攻めを1巡目rush(1:40~1:20)、再度シグネチャー・アビリティーを使用してエントリーすることを2巡目(1:00~0:40)、その間の攻めを1.5巡目とする。

画像2の補足

画像2はretakeとATKの勝率を示したものだが人数状況が同じであってもretake(DEF)側の方が勝率が少ないことを示している。
しかし一言でretakeとは言っても裏取りができている、できていない、残ったエージェントにスモークがいる、いないなどで勝率は大きく変わっていくだろう。そのためこの数値は実際に有効値であるかというのは1つ疑問に残る。そのため一度retakeシチュエーションの中でも勝率が高いシチュエーションと低いシチュエーションの代表例を挙げておく。

~retake成功率の高いと言えるシチュエーション~
・retake(DEF)側にコントローラーがいるかつスモークスキルを使用できる場合
・retake(DEF)側がATK側のプラントのタイミングでretakeを開始できる場合
・ATK側が解除しやすい場所にプラントをした場合
・ATKのスキルの数<retake(DEF)側のスキルの数の方が多い場合

~retake成功率の低いと言えるシチュエーション~
・retake(DEF)側にコントローラーがいない
・ATK側に解除遅延スキルが多くある場合
・オープンプラントに成功した場合
・retake(DEF)側にOP、ジャッジなど運用の難しい武器がある場合

ざっとこんな感じだ。他にもあるだろうし細かいシチュエーションに関してはキリがない(有効値の範囲外)になるため根拠の明確ではないものは記載しない。これは違うだろ!!というのはぜひコメントでご教授いただきたい。
基本的にコントローラーがいれば極論1v5でも解除の通る場合がある(いわゆるガチ解除)ためretake側(もうDEF側って注意書きするの疲れた)はretakeにはコントローラーがいた方が勝率は上がりやすいだろう。
また、OP、ジャッジなどの特殊な武器でのretakeを成功させるのは単純に難しいと言える。(OPは置きが強い、またコッキングが発生する間は無謀なため多人数vs多人数に向いていない)ジャッジに関しては射程範囲を好むため。
単純なスキルトレードがDEFが多ければそれだけkillにつながりretake成功確率は上がるだろうし相手がretakeに備える配置につけているのか、いないのかによってもまた違ってくる。ただたくさんの状況を収集しデータとして集めたものが画像2になるため各ラウンドごとによっては数値が有効でない場合もあるが基本的には参考に値する数値である、というのは収集してくださった方への敬意を表するためにも必要であろう。データだけで語ることができないのがFPSの奥深さになっているのだ。

retake側の勝率が低くなるのはなぜ


この理論がわかっている人は飛ばしていいと思います(by筆者)
ではなぜretake側の方が難しいの?となるわけだがvalorantのような爆破系5v5FPSはATK側がプラントすると攻守が交代する。ATK側はスパイクを守る側になるしDEF側は取られたエリアを取り返し解除しなければならない(retake)。
このゲームの勝利条件はATKもDEFも公正なようにできているようでできていない。わずかではあるがDEF側に有利にできている。それはなぜか、何もしなければDEF側が必ず勝つからである。
ここで感のいいガキならもうお気づきであろう。このゲームの勝利条件は

・5人倒しきる(共通)
・時間内にスパイクを設置し守りきる(ATK)
・時間内に設置されたスパイクを解除する(DEF)
・時間内にスパイクを設置させない(DEF)

勝利条件の中に設置させなければ勝ちというルールがある。これがスパイクを設置したATK側からすると(スパイクを設置したら相手が解除さえしなければ勝てる)という条件に変化すると捉えると先ほど述べたスパイクを設置した後は攻守交代する、という意味がわかっただろう。このようにATK側はプラントをすることでDEF側にタスクを多くさせることができるため、単純にDEF側のretake成功率は例え人数が同じでも低くなるのである。


ZETAの守りDRXの攻め お互いのラウンド運びについて

序盤はかなりいい守りとなった。1ラウンド目はうまくトレードを重ねての2v3を制して(このラウンド負けてたらcrowのトレードできない部分が痛かったと講評していたが)2ラウンド目も積極的なエリアコントロールでBメインプッシュ。
3ラウンド目はmidでのトレードからある程度割り切った寄りをして武器が不利ながらも取得できたラウンドだった。この頃からDRXのセットに対する基本的な考えとしてサイトに多く人数をかけること、早めのリテイクを仕掛ける、詰めは複数人で行う、スキルを返しで入れてく、というのがチームのコンセプトとして現れていた。

続く4ラウンド目、早いrushに対してAメインを1人ずつ勝負を仕掛けてしまい3v5。その後3v3とし、ロックダウンを使うもののサイトのstaxに上手く耐えられてしまった。
5ラウンド目は4ラウンド目に対する対応。Aメイン3配置にしAメインコントロール、midにオペレーターで上手く守ったラウンドになった。
ここまでのZETAはDRXの早いメイン取りに即座に対応するなどいい防衛が展開できていたと言える。
6ラウンド目。武器不利なDRXは1ラウンド目で見せたようなBへのrush。上手くトレードするがTENNのカバーに入ったDepが味方からのカバーをもらえずに2v2。そのままDRXがラウンドを取得した。ここがターニングポイントとなったと思う。

7ラウンド目はA shortにオペレーターがいる配置となったがソーヴァドローンでクリア→A short挟みでヘブンまで取る、というような攻めになったがDRXがZETAを対応した形になった。
序盤はZETAが行ってきた人数をかけて行うメイン取りを詰め待ちしドローンでjettの位置を確認。6ラウンドでA,Bの配置がわかっていたDRXはjettが浮いたポジションであることがわかり削る→エントリー、の流れとなった。
対してZETAはAはエントリーのタイミングでソーヴァultで遅延+サイトでの耐えという算段。Bメインはリコン、ドローン、タレットでクリアし続けコントロールする配置だったがjett殺しのためkay/o ultがかなり刺さったラウンドとなった。
このラウンドはZETA→オペレーターの位置が簡単に割れてしまい楽にケアされてしまった。mid &Aメインの情報をcrowが取れなかったため最終AかBかわからなかった。ultのケアができていなかったことが挙げられる。
対するDRXは開幕A,B両サイドのメインをクリアできていたためサイト内に人数をかけているのがわかった。相手がスキルを返しで入れてくるため開幕情報取り→二巡目での攻め、kay/o ultを効果的に指すことができたラウンドとなった。DRXがしたことを100%行うことができたと言えるだろう。

8ラウンド目はZETAのエコラウンド。開幕A前目スモーク、BメインDep TENNがリコンでpushしクリアしたがRbがB pushにアラームボットまで置いていたためpushしきっていないというのがわかった。DRXはBメインのタレットが壊されたためmidのエリアを広げマーケット制圧からB pushをしていたDep TENNを倒しそのまま流れラウンド取得。pushで人数をかけるとわかっていたDRXは相手にせず別のエリアを広げることでマップコントロールしラウンドを取得した。

9ラウンド目、ZETAはmidに人を集めエリアをキープしきる作戦。killトレードで優位に立ちスパイクドロップ、2v4までいくがその間にBサイトに入っていたRb、Makoがultでスパイクを拾い設置、RbのultにTENNが返すがultを壊されてしまいDRXがラウンド取得となった。
このラウンドはDRXの動きをZETAが対策しにいったラウンドだったがDRXとしては人数がmidに固まっていることがわかりRbがBを進行、前に出過ぎたLaz(おそらくスパイク保持をしたかったのだろう)をMakoが落とせたのが大きかった。その後のUltも壊しにいくところを警戒できてはいたのだがMakoの壊しにいくタイミングが完璧だった。答えは簡単で壊しにいくMakoを抑える動きを誰かがする以外なかっただろう。

10ラウンド目、ZETAのタイムアウト明けのラウンドだがBはサイトで耐える、Aはリテイクという配置になっている。B rushでエントリーしたFoxy9を落とすもDRXは一気にA側に流れる。全員寄っていたZETAはDepがはやめに戻るも7ラウンド目で見せたようなヘブン取りでDepを落としラウンド取得。
ZETAはタイムアウトでラークがほとんどないこと。早めのリテイクで取り返すためrushに対して即座に寄ることを話し合ったと思うがDRXはBに4人いることがわかりローテート、それにZETAは対応できなかった形だ。

11ラウンド目mid Bメイン詰め、DRXが開発した動きでBメインとmidのエリアを確保するがAに入られそのまま敗北。

12ラウンド目midをとりに行く動きのみみせA shortからの挟み、ZETAはFBをとるも人数差を活かせずラウンドを落とす形となった。

DRXの12ラウンドを見越した動き




左下は早いセットの動き、FKからの動きが速いことを指している
DRX vs TLNのDRX ATK時のFKとspike

上グラフはFKからspike設置までの時間を示したグラフだ。vs ZETA vsTLNと二種類出している。このグラフからわかるのはDRXはFKの発生からプラントまでの時間が非常にはやい傾向がある。セットが多いのが要因の1つだがFKを取られずエリアを広げ、最終的に攻める場所を決めるプレイが得意なようだ。また2つのグラフの点の位置がかなり似ているという点もDRXが12ラウンドを通した攻めのうまさが現れている。
基本的なDRXはセットで攻めるチームだがそれまでのエリアの広げ方、攻めるタイミングに様々な緩急がついていることがグラフでわかる。DRXのセットは5人で攻めることを前提としているため攻めの際、FDがセット前に行われるのを基本的に避けているのだがグラフではFD,FKタイミングから攻めまでが非常にはやいことがわかる。また、FDを取られたとしてもエリアの多さなどで相手より優位に立つ場面が多い。ZETAが時々人数かけたメイン守りやpushがあったときは必ずmid、どちらかのメインのラインを上げていた→エリアトレードができていた。

20秒で考えたDRX対策

DRXにさせたいことをさせないためにはエリアを人数をかけずに区切ること→スキルで常にメインを取ること。
セットをさせない1pickの取り方。
緩急をつけてきたタイミングでのスキル温存やpush。

編集後記

また微妙なタイミングで出してしまいました、、もっと高度な記事を次は書けるようになります!!







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