若手の登竜門

 「私、昔からこのバンド好きだったんだよね〜」とそのバンドが売れてすぐにこう言い放つ人がいるとする。すると、「みんながそう思ってたから売れたんだ」と言い返すことができる。いつもここからの暴走族のネタでもあるくだりだ。
 これはお笑いに関しても言えることである。
 今や、若手の登竜門といえる番組や賞レースは多岐にわたる。なので、影響力の強さというのにも差が出る。
 元日に放送されているぐるナイの「おもしろ荘」は影響力が強く、優勝者だとブルゾンちえみやちゃんぴおんずがブレイク、優勝しなくても爪痕を残せば、やす子やぱーてぃーちゃんのようにブレイクできる(やす子はゴチのレギュラーに就任)。
 ガキ使の「山-1グランプリ」や正月の「さんまのまんま」で今田耕司が芸人を紹介するコーナーでも、出演した芸人が後にブレイクした例は数々ある。しかし、それがきっかけでブレイクしたというのは聞かない。
 2009年の山-1グランプリでは永野が優勝しているが、この時はまだ今のような水色の衣装は着ておらず、ブレイクするのはまだ先である。
 正月のさんまのまんまのネタ見せコーナーでも、これまでにインディアンス、蛙亭、カベポスター、ハイツ友の会などが出演しているが、これらの芸人が世に知られるきっかけになったのは、M-1・KOCといった、正規の賞レースである。おそらくこのコーナーで知られるようになったのはキャツミぐらいである。

 何が言いたいのかと言うと、山-1やさんまのまんまのネタ見せコーナーは影響力が弱いため、若手の登竜門として売れそうな芸人に大ブレイクのきっかけを作る役割というより、お笑い好きみんなが売れると思ってる芸人をテレビで見せるだけの役割のような気がするのだ。

 因みに、ZAZYは上記全てに出演していたが、ブレイクのきっかけになったのは、紛れもなくR-1グランプリであろう。

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