俺と林太郎③ 綿流し編

曲作りをするという事は当然どういうテーマで歌詞を書くか、を決めなければならない。
林太郎からオファーをもらって相談をしたが「二人で初めて曲やるんだし「二人で初めて曲やります」みたいなテーマでいんじゃね?」と俺から提案して林太郎も「そうですね」って感じで適当に決まった覚えがある。
俺も適当だがあいつも適当である。

都合良く言うとちゃんとしたテーマがあるのも勿論良いがざっくりとしたテーマで幅を持たせてそれをなぞりつつも今書きたい事を書く、というのも一つのやり方だと思う。というか最近の俺のスタイルがそれな気がする。問題はそれを林太郎と共有できるかだが「musica del oeste」の制作を通して思ったのは林太郎もおそらく似たようなスタイルなのだろう。

そしてビートを決めなければならない。
書いていいのかわからないので名前は伏せるがあるビートメーカーのビートが何曲か林太郎から送られてきて「この中からどれがいいですか?ワタさん決めて下さい」とのことだった。

基本的にFullmemberの制作はジュコからビートが一つ送られてきてこれでやってくれって感じなので複数のビートから自分好みの物を選べるのは新鮮で楽しい。迷ったあげく中でも一番派手目のビートを選んだ気がする。

ビートも決まりリリックも書けたので林太郎と8ronixのスタジオ、ブルペンラボでレコーディングをした。

客演でレコーディングをするという事は普段一緒にやっていない人のレコーディングを見れる貴重な機会でもある。(別録りの場合もあるが)
俺個人が呼んでもらったケースだとMIDICRONICAの894くん、Fullmemberの作品で絡んだケースだと…沢山いて書くのが面倒なので割愛するがいずれも自分よりみんなうまくて感心するばかりである。

作品を聴いていて大体想像はついたが林太郎もレコーディング巧者であった。
特に声の重ね方が効果的でうまいと思う。

全体的にも、俺がレックしている時も、思ったより林太郎がぐいぐいディレクションしてくれてやりやすかったしスムーズに進行したと思う。

蓋を開けてみるとこの曲は「Bajin side kick men」という曲名のようでBajinというのはFOGGYで長年共にパーティーをやっていたDJ澤田の事だ。馬面だからBajin(馬人)。今は仕事で地方に飛ばされてしまい会う事はもうない。後から曲名を知ったので俺は自身のリリックで澤田さんの事には微塵も触れていないがそうともとれる内容なのでまあいいだろう。

とにかく中々感触の良い曲ができその日のレコーディングは終了した。

そして後にこの曲が LaLapaloozas結成のきっかけとなるのであった。

帰りに車で林太郎を家まで送った。めちゃくちゃ近いわけでもないが同じ西東京、帰り道は同じ方向だ。道中あえて携帯に入っているアニソンプレイリストを車内で流し、合いの手を入れたり早口でアニメの解説をしたりしてみたがその場では平静を装ってた林太郎も後日ツイッターで「マジで気持ち悪かった」みたいな事をつぶやいててやっぱりこいつ見所あるなと思った。

そして次の曲が始まるのです。

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