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「無情」の極 シャングリラとは

エピソード2のラスボスとして登場


 デュエルマスターズの背景ストーリーはパック4弾ずつくらいで◯◯編というかたちで区切られています。

基本編
闘魂編
聖拳編
転生編
不死鳥編
極神編
戦国編
神化編
覚醒編
エピソード1
エピソード2
エピソード3


 この基本編からエピソード3までが同じ世界での出来事です。転生編から不死鳥編まで1万年空いてたりしますが、一応連続したストーリーとなっています。

 エピソード2は突如現れた世界の支配を目論む種族「ゼニス」と、それに抵抗する様々な種族、文明が集った旧来のクリーチャー連合「ゴールデンエイジ」との抗争を描いた物語です。

 ストーリーを要約すると、ゴールデンエイジを率いる主人公「鬼丸」はゼニスの力に覚醒したり、ゼニスになった兄貴を取り戻したりしながらゼニスを打ち倒して行きます。
 そして最終的にゼニスの頂点として君臨する『「無情」の極 シャングリラ』と対峙 、これを撃破しハッピーエンド、という感じです。

 ここまでだと「主人公が急に現れた侵略者を倒す」という、デュエマの背景ストーリーによくあるパターンです。しかし、ラスボスであるシャングリラというクリーチャーの目的、及びその誕生がどういうものだったのかを知ると、一段と話の重みが増します。


その目的

 序盤で「ゼニスは世界を支配しようとしている」と紹介をしました。これは間違いないのですが、厳密に言うと「シャングリラ以外のゼニスは世界を支配しようとしている」というのが最も正しい言い方になります。
 要はゼニスの王であるシャングリラだけは、世界の支配以上の目的を持っていたということです。

 ではその真の目的はなんなのかと言うと、「苦しみをなくすこと」でした。ここだけ聞くとめちゃくちゃ良い奴ですよね。しかしそれを達成するための手段が「世界をゼロにする」、「すべてを無にする」というあまりにも最悪なものでした。

 なぜ苦しみをなくしたいのか、なぜ世界を無くすなんていう過激な手段を選んだのか。その答えはシャングリラ誕生の経緯を見ていくと明らかになります。



その誕生

 シャングリラはガーディアンたちの「文明を問わずすべてを守りたい」、「外敵を排除したい」という愛と憎悪の心、そして「平和のために戦い続けなければならない」という矛盾した心から生み出されました。

 ガーディアンとは元々光文明の同胞を守護する種族です。しかし、転生編末期に大きな事件が起こります。それが進化クロスギア同士の衝突によって時空の裂け目ユニバースが発生してしまったことです。ユニバースはブラックホールのように全てを吸い込み、世界を崩壊させます。これに際し光文明の本拠地、シルヴァーグローリーは絶対防御態勢を取ります。この時ガーディアンたちは見捨てられ、天空から地上に落ちることになります。そして守るべき光の同胞が存在しない地上でも、その本能によってガーディアンは何かを守ろうとし、遂に光文明以外のクリーチャーをも守護するようになります。

 この頃からガーディアンには「文明を問わずすべてを守りたい」という心が芽生え始めたのだと考えられます。しかしそれは「敵も守りたい」、「守るべきものも攻撃しなければならない」という葛藤の始まりでもあり、シャングリラが誕生する遠因でもありました。

 争いが無くなり、戦うことが無くなればこのガーディアンの矛盾による苦しみも無くなります。しかしクリーチャー世界の歴史は戦争の歴史です。守護者たちの望む平和が訪れることはありませんでした。そのため、この苦しみは長い年月積もり続けてしまいました。

 その結果「愛と憎悪」、「戦争と平和」の矛盾の苦しみの果てに、「無情」となりゼロの力に目覚めた怪物が生まれてしまいます。
 この苦しみから生まれたクリーチャーはガーディアンたちを苦悩から解放してあげたかったのでしょう。苦しみを無くすには、争いが無くなればいい。争いを無くすには、争うものがいなくなればいい。そう考えたシャングリラは誰もいない世界、何もない世界、ゼロの世界を目指すという悲しい結論に至ったのでした。

 世界そのものが生み出してしまった世界の敵、それが「無情」の極 シャングリラの正体です。
 主人公やらラスボスやらがドンパチやってる中、ただただ犠牲になり続けた無名の、無数のクリーチャーたちの思念の結晶。それが最大最強最後の敵として立ちはだかる。正しく背景ストーリーの集大成とも言えるような存在ではないでしょうか。



世界をゼロにするために、その身を捧げよ。
すべてを無にすれば、苦しみもなくなる。


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