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極寒神戸体験記〜プロローグ〜

「いったあああああああああ、よっしゃああああ」

こんな興奮したのいつ以来だろう。僕は人生最大級に体が熱くなるのを感じながら東京ドームのライトスタンドにいた。3点差となり負けを覚悟した8回裏ノーアウト1、2塁、ヤクルトの3番山田哲人の一振りは、神戸に行きかけた日本シリーズに、待ったをかけた。

僕は思わず立ち尽くし、「マジか!やべえ!」を連呼していた。もう視線の先のマウンドには投げていた山岡泰輔の姿ではなく、1時間後の高津監督のバースデー胴上げの姿がはっきりと見え、誰が勝負を決めるかのシュミレーションが脳内で始まっていた。

その矢先である。サヨナラに備えてトイレに行き、戻ってきたその瞬間だった。レフトポールを巻く白球の姿をはっきりと僕の眼が捉えた。少し遅れてレフトスタンドの歓喜が聞こえた。

6-5。オリックスファンの「神戸に戻ろう」という願いが現実味を増す。

一縷の望みを託した9回裏、先頭西浦が出塁したものの、代打の神様の一振りは惜しくもライトの範囲内に収まり、塩見青木も塁に出ることはできず、スコアボードには「0」の文字が刻まれた。

つい30分前まで目の前に見えていたはずの高津監督のバースデー胴上げがなくなったどころか、山本由伸、宮城大弥が待ち受ける神戸に戻ることが決まった。

正直試合後に飯田橋で食べたラーメンは何味だったか、美味しかったかと言った記憶が全くない。写真を見てようやくつけ麺だったことを思い出した。

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かくして、人生初で最後(?)であろう神戸燕征が決まったわけだが、問題はここからである。ドームで決まると信じていた僕は一切の旅行計画を立てていなかった。帰りの電車の中でまだジェットコースターのような試合展開を受け入れられずにいたが、決まった以上は行くしかないし、日程を立てなければならない。慌ててネットで調べ始めた。

これが困った。大阪行きのバス1万円だと…???高すぎる…ヤクルトの貯金が増えるに従って減り続けた僕の貯金が遂に借金突入しちゃうじゃん…

最安求める限り幾多の困難乗りこえ完成したのが

東京⇨(夜行バス)⇨名古屋⇨(近鉄)⇨大阪⇨(阪急?)⇨神戸

とかいう謎すぎる旅程。でも、行くしかない。

次回、神戸編本格スタート!

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