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老人の歯は命

本当に毎日命を脅かす暑さだと思っているのは中高年だけなのだろうか。
毎日「暑いね」と言い合うしかできないことに悲壮感しかない。テレビドラマのような夏の思い出なんてもう作れっこないんだ。。。

後期高齢者の父が北国で独居している。
北国も暑い毎日だが、クーラーが苦手と言う父には設置するお金もないが、気持ちもない。身を案じる娘として怖いのは、就寝中の脱水症状だ。最近は、北国の天気を見ては父が死んでいるかもしれない。と覚悟を決める。でも私も暑くて朦朧としていて電話する気にもなれない。

先日、食あたりをおこした父は、入れ歯ごとトイレに嘔吐してしまい、そのまま入れ歯をトイレに流してしまった。

たまたまその日は、通院の付き添いで兄弟が父のもとに来てくれた。話をしていて、様子がおかしいと思って顔を見たら、父の上の歯が無かった。そのうえ、暑さで食欲無くて体が細っている。

この日の通院は、肺がんの可能性があって治療をするかどうかを判断するための通院だった。結果、肺がんの可能性は下がったが嘔吐が原因で軽い肺炎を起こしているとのこと。本人は自覚症状ない。このところの暑さで、食欲も無いし、家にはクーラー無いし、歯も無いし。医者は入院を勧めてくれたが点滴打って自宅に帰ってきた。入院してくれた方が安心なんだけど。。。

歯が無いと食えないのに、入れ歯は命だろうが。
なんで救出しなかったかな。。。
暑さでどうでもいいと思ったんだろうな。でもお盆休み直前だ。直ぐに歯医者に行っても父の口の中に入れ歯は戻ってこない。そんなことまで考えられるわけないよな。

この日、誰も来なかったらどうするつもりだったんだろう。間一髪で命すくわれたのかもしれない。

それなのに、歯が無いまま、暑い家で倒れずに生きていられるのだろうか。肺炎を診てもらうのは1週間後。肺がんはこの際置いておいて、この間、歯がない父にとって生きるか死ぬかの1週間だ!

”Death or live!” そう思って気を張っているのは私だけなのか?
当の本人、電話口では生きていかなくてはいけないから、ちゃんとご飯食べると言う。「(残った)下の歯と上歯茎ですり潰しながら食べてるよ~」死期迫っている人とは思えない呑気な声だった。
嗚呼。
入れ歯代は誰が払うんだろう?

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