また行き止まり

会社の人事と面談をした。私が退職を検討している、というと気を利かせてなのか休職した経緯と原因を聞いて何かサポートできることがあればします、と言ってくれたのだ。私はそこで何か変わるかもしれない、という希望を持ってしまい内定を蹴って今の会社に留まることにした。
本来の希望である異動復帰を目指して。

長くて暗いトンネルに少しだけ光が差し込んだような気がしていた。
けれどそれは儚く散った。

私はこれまで話してこなかった休職までの経緯を事細かく話した。
本当は思い出したくもないし、人に話したってきっと大したことないと思われるし、うまく伝えられる自信もなかった。
それでも何か変わるなら、というわずかな希望を胸に、泣きそうになるのを堪えながら全て話した。

人事は親身になって聞いてくれた。
まるでカウンセリングルームのように。

けれど、その解決策として出されたのは
「私たちがその原因となった上長に間に入ってお話を伝えることはできますが、どうしますか?」だった。

私があなたたちのせいで鬱になりました、どうしてくれますか?と本人たちに訴えたところで、何も変わるわけがない。仮に改善されたとしても私がこういうことに傷ついて、これが嫌だった、ということを知った状態で戻りたくない。
腫れ物扱いされるのも目に見えているし、そう簡単に変わる人たちじゃないことも知っている。そんなことされたら余計に戻りたくなくなるに決まっている。

けれど、その人たちには異動権限がないという。きっとそのチームで休職者に対してはこういう対応をしろというマニュアルがあるのだろう。

親身なようで全く親身ではない。

人事が悪いわけではない。個人がいくら動いたって、会社のルールは変えられないことは私でもわかっている。

分かってはいるけれど、どうして社会ってこんなに冷たいんだろう、と思う。
ただ普通に働きたいだけなのに、こんなにも多くの部署が存在するのに、私には元の部署に戻るという選択肢しか与えられていない。

一体何の時間だったのだろう、と思った。

「この話を上長に伝えることはできますけどどうしますか?」と。
「そういうのは求めていません」と返した。

わがままなのだろうか。自分が弱いだけなのだろうか。
きっと私なんかが一人退職しようと会社にとっては何のダメージもない。
だからこういうマニュアル通りの対応しかされないのだろう。

せっかく進んでいた転職先の選考も蹴ってしまったし、
これから先の未来がまた見えなくなってしまった。

ただ、お金と時間だけが減っていく。
もう無理かもしれない。


大企業あるあるのマニュアルと決められたルール通りの対応。
部署が細分化しすぎて自分達の対応外のことについては「私たちでは対応できかねます」の一点ばり。
一見親切に見えた対応が、私からしたらただのロボットがしゃべっているかのようで途中で怖くなった、というかなんか虚無になって諦めモードになってしまった。

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