エネルギー予算

私以外にはあまり面白くないんじゃないかと思う。



二、三年周期で躁と鬱がやってくる。

と書いてみたものの、全然違う。
躁鬱でもなんでもない。診断がつくようなものでもない。
ただ、「大きな気分の変化」という意味ではたしかに躁鬱に似た波が存在する。


去年までの数年、自分から人付き合いの場に行き(元々人付き合いをすること自体が異例なのだ)、服を買い、居酒屋にも行くことができた。年に五回旅行に行った。駅から会社までたまに走った。
そのかわり、家で毎日文章を書くことはとてもできなかった。そして多動の癖に困っていた。
今の会社の上司や同僚が知っているのはそっちの私だ。

しかし、数ヵ月前から一気にそれが変化してきたのがわかる。
人に会えなくなってきた。グループ旅行はそろそろ無理だ。服屋は実店舗に行くモチベーションがない。音の刺激が強いので、居酒屋どころか映画館も厳しい。
しかし、多動の癖は出なくなった。文章が抵抗なく書けるようになった。そしてアマプラに入って一日中映画をみるようになった。
これはこれで楽しい。

困ったことには、これが具体的なきっかけのある病的なものでなく、単に私が「そういう波をもつ生き物」であることを、説明するためのエネルギーがない。
そのため、近年知り合った人たちから心配されはじめている。

エネルギー予算。そう。エネルギー予算なんですよ。まさに。
この二年周期の気分の波というのは、総エネルギー(少ない)が増減したのではなく、予算配分が変わったのである。
いわば二年毎に与党が入れ替わるのである。

もうひとつ困ることは、このダウナーな期に入ると行動が一般的な人間から遠ざかることだ。
前回のこの期では、アドレス帳の中身が6件(父母祖父母友達大学)になったり、あらゆる外活動を退会したりした。試験の日に電車に乗るエネルギーが底をつき、大金はたいてタクシー呼んだ。そしてバカ高いヘッドホンとパソコンと大量の本を買って料理に凝った。


今一番怖いのは、ここから二年の間に会社を辞めて退職金でしばらく暮らすという決断をしかねないことだ。次の周期まで就活はろくに出来ないので、決断を早まることだけは避けたい。

ということでここに書いておく。

いいか、会社だけは辞めるな。
辞めるなら今から一年半より後にしておけ。

これはなんとしても守ってもらわなくてはならない。
なんせ、どちらの期でも共通しているのは、「金使いがめちゃくちゃ荒い」ことなんだから。

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