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強いハンドとは?(初心者向け)

前回(EquityとEVについて)の続きです。
強いプレーヤーの方と話をしていると、「強いハンド」というものに初心者の自分との認識の違いを感じることはありませんか?数字が大きく、初心者目線では強そうに見えるのに、強いプレーヤーは状況に応じて使いたがらないハンド。あるいは初心者目線ではさほど強くないのに、強いプレーヤーがこれも状況に応じてですが好んで使うハンド。こういったハンドの存在を感じたことはありませんか?
今回はEquity(勝率)とEV(期待値)の違いに注目しながら強いハンドとは何なのかについて私の考えを紹介します。

まだ私がポーカーを始めたての頃、とある日本の大きな大会で準優勝の経験を持つプレーヤーとお話させていただいたのですが、その時「どんなハンドが強いか」ということについて聞かせていただきました。
「A5oとかAXo(Xはミドル以下のハンド)ってたぶん初心者の人が思っているほど強くないんだよね。だって、ボードでAが落ちてそんなに嬉しい?相手のポジションにもよるけど、相手もAを持っている可能性が高いよね?Aがヒットしたところで君のキッカーは弱いでしょ?自身を持ってバリューを取りづらいんだよね。しかもAと5の間の数がボードに並んで相手から強く打たれるとAが今後ターンやリバーで落ちるかもしれないけれど降ろされてしまうし。」
当時、単純にAがハンドに含まれていれば強いと思い、またそれがヒットしたとなればトップヒットだと喜んで打ちまくっていた私にとってはとても印象的でした。

しかし、のちに3 betについて勉強していると多くのレンジ表でA5s(先ほどのA5oではない)が3 betの候補に挙がっているではありませんか。というか、4 betレンジにさえ少し含まれているではありませんか。違いといえばsかoかの違いですが、スーツがそろうことにそこまでの違いはどうして起こるのでしょうか?

私はこの理由の1つに、スーツがそろうことで狙える「フラッシュ」という役が数字の大きさが関わる1ペアや2ペア、3カードといった役より上であるという性質が関わっていると思います。
A5oの場合、先ほど説明したようにAがヒットしても自身のequityを最大限に活かせませんし、相手もAを持っていれば、そもそも自身のequityはとても低いです。(2ペアが完成したりとかしない限り勝てないですよね。)

それに対しA5sはどうでしょう?もちろん A5sはAがヒットしてもA5oと同程度には嬉しいですが、A5sにはナッツフラシュが完成する可能性があり、完成した際は自信を持ってバリューを取りに行けますね。またさらにフロップの時点で自身のフラッシュ完成のequityがおおむね判断できるという違いがあります。

A7oの場合と比較してみましょう。
A7oの場合、「フロップの時点ではローカードばっかりだけど、2オーバーだし、相手ヒットしてるか怪しいし、相手のベットについていくか…とは言ってもたとえAや7がヒットしても必ず勝っているとは言えないし自身のequityがはっきりしないからバリューをどこまで取り切れるか…」といった悩みを持ったことはありませんか?
A5sの場合このように悩むことはあまりありません。絡まなければ自信を持ってフォールドできます。当然フラッシュの他にストレートの役も同じように説明できますね。
A5sとA7oがプリフロップからall inした場合A7oのほうが圧倒的なequityを持ちます。しかし、プリフロップからリバーまでのストリートのなかでA5sはequityに比較し高いEVを持つのです。

そのハンドが強いかどうか。それは初心者の目線ではプリフロップでAll inした際のequityに相関していると思いますが、強いプレーヤーは「そのハンドのequityの実現のしやすさ(=EV)」まで考慮しているのです。したがって当然そのハンドの強さは状況に応じて変化します。SPRが小さく、プリフロップやフロップの時点で勝負が決まりそうであればその分ハイカードの価値は上がりますし、逆にSPRが大きければスーコネの価値が上がるわけです。
また、そのプレーヤーのレベル自体がハンドの強さに関わってきます。初心者でequityを実現させづらいプレーヤーは、なるべくequityの実現をしやすいハンド(トップヒットしやすく、キッカーもそこそこ強いハンドやAXsなど)にプリフロップレンジを狭めるべきだと思います。何も最初から攻め方もわからず、強いプレーヤーの使っているレンジを覚えてプレーする必要は無いと思います。

ちなみにここまで読んでくださった方の中には
「それならAXsどれでも3 betをしたらいいのではないか?なぜ、わざわざA5sなんて5という小さなキッカーのものを選択するのか?」
と疑問を持たれた方もいらっしゃると思います。A5sでの3 betが推奨されるメインの理由は当然単に「スーツがそろっているから」ではありません。「ATsで3 betしたときと比較するとA5sで3 betした際に降ろせる自分より強いハンドの割合が大きいから」です。ATsで3 betして自身より弱いA9oが降りてもさほど自分にとっては嬉しくないばかりか、降りなければよりバリューを引き出せた可能性があり、むしろ降りられてもったいないと思います。でもA5sの3 betでA9oが降りてくれるのは、自身のequityが格段に上昇しており、とても利益的ですよね。(ATsの3 betが良くないとは言っていません。ポジションがBBでopenがBTNなど、相手の弱いハンドからのコールがもらえそうであるならばポットを膨らますために3betすべきだと思います。)
これはbet する意味を考える際に重要となる「equityの否定」という考え方で、詳しくはまた別の機会に説明しようと思います。

今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。ご意見等お待ちしております。

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