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研究計画を立てるまでの最低限のステップ

先月くらいに部門勉強会で「研究計画を立てるまでの流れ」というテーマで発表をさせてもらいました。

今回はその時のスライドをちょっと簡潔にしてnoteにしました。

これまで僕が何度か研究を行ってきた流れ・大学院で研究を行うために自分で学んだことを言語化したものになっています。

ので、まぁ当然無料ですし、大した内容ではないです。

でも知らない方もいるかもしれません。うちのスタッフが知らなかったので。

どなたかの参考になれば幸いです。

研究計画立案までnote.001

まぁとりあえずタイトル載っけておきますw

研究計画立案までnote.002

研究計画を立てる流れとして、3つのステップがあると考えています。

スライドは4つになっていますが、研究計画書作成は立案できた後のお話です。

STEP1.クリニカルクエスチョンを見つける

STEP2.先行研究を読み漁る

STEP3.リサーチクエスチョンに仕上げる

この3stepです。

STEP1-1.クリニカルクエスチョンを見つける

研究計画立案までnote.003

まずはクリニカルクエスチョンを見つけていきましょう。

スライドにも書きましたがクリニカルクエスチョンとは、

セラピストが臨床で抱く疑問や問題点

という風に言われています。

直訳で"臨床疑問"ですから、そのままですね。

研究計画立案までnote.004

研究のスタートはここからだと思ってます。

本当に今の介入方法でよかったのか?

よかったなら何でよかったのか?

最良の介入方法が他にあったんじゃないか?

などです。こういった疑問を検証していく作業が研究だと思っています。

またクリニカルクエスチョンには4つの視点(種類)があると思います。

思ってますが続いてしまいました...w

STEP1-2.疑問があるテーマからクリニカルクエスチョンを見つける

研究計画立案までnote.005

1.どのくらいの割合で〇〇が生じるのか?

例えばこちらの文献ですね

ヒト腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)の筋線維構成について

これが割合に関しての研究です。

2.〇〇はなぜ生じるのか?

手取り早く文献提示できないので、例を出しますけど、

THA術後に脱臼が生じるのはなぜか?

というクリニカルクエスチョンです。(もう報告されてるのは許してください。)

3.〇〇が生じた要因は何か?

というのが三つ目です。

先ほどの例で言うと、

THA術後に脱臼が生じた要因は何か?

ということになります。

2.では脱臼肢位をとってしまうから、

とか、関節弛緩性が、とか、だと思ってます。

3.はなぜその脱臼肢位を取ってしまったのか?

寝返り動作・起居動作指導に不適切な場面があったのか?

脱臼肢位の説明不足だったのか?

というのが2と3の違いです。(ちょっと分かりにくですかね。ごめんなさい)

4.〇〇が生じてしまった要因にどう対処するか?

2や3で生じた現象に対してどのように対応するのがベストなのか?

ということを検証していくのが4つ目になります。

脱臼肢位を考慮した起居動作を指導する、

後方組織の柔軟性を高めないようにする、

などです。(スライドはTKAですがTHAの方が例を出しやすかったので...orz)

STEP1-3.興味関心のある内容を組み合わせる

研究計画立案までnote.006

もう一つの方法が、興味関心のある内容を組み合わせてクリニカルクエスチョンを見つける、という方法です

「〇〇さん、来年の学会に演題出してね」

なんてこと言われるんじゃないですか?

すぐにクリニカルクエスチョンが出てくればいいですけど、出てこない場合ですね。

組み合わせるのは例で出しているスライドの通りです。

複数の内容を組み合わせてクリニカルクエスチョンを見つけるのも一つの方法だと思っています。

STEP2-1.文献検索

きっとここまでの流れでクリニカルクエスチョンを見つけることができるようになったかと思います。

クリニカルクエスチョンを見つけた後は、そのクリニカルクエスチョンがすでに研究として実施されていないか?ということを探していきます。

そのために行うのが、文献検索ですね。

文献検索の目的はスライドの通りです。

研究計画立案までnote.007

はじめてこのスライドで新規性という言葉が出てきました。

新規性というのは、今まで誰もやっていない研究をしましょうね、ということです。

研究を進めていくにあたって、

「その研究の新規性は?」

なんて言われます。僕は言われました。

すでに報告されていることをまた同じように研究するのは、ちょっと...

って感じですから。

STEP2-2.文献検索データベース

さて過去にどういったことが報告されているかを知るためには、文献検索データベースを利用します。

研究計画立案までnote.008

文献検索のデータベースはたくさんあります。

他にもたくさんありますので、文献を探しながら、データベースも探してみましょうw

STEP2-3.文献を読む

目的となる文献を見つけたら読んでいきましょう。

よく"批判的吟味"なんて言われますが、今回はそこは割愛しましょう。

批判的吟味を行うためのチェックリストはwebに転がっています。

参考にさせてもらいましょう。

The SPELLというサイトにチェックリストが豊富に掲載されていたのですが、このnoteを書いているときにアクセスが出来なかったので、ご自身でググってみてください。

さて、論文を読む際に最低限目を通すのは以下の4つだと思っています。

研究計画立案までnote.009

特に大切になってくるのは、"研究の限界"の部分かな、と思ってます。

研究の限界はその研究で明らかにできなかった内容が書かれていることがあります。

その内容はもしかしたら誰もやってないかもしれないですし、

もしかしたら他の人がやっているかもしれません。

なので、その内容も踏まえて文献をさらに探していくのもありかと思います。

STEP3-1.クリニカルクエスチョンをリサーチクエスチョンにする

さて最終STEPまできました。

最後はリサーチクエスチョンを作るということを行っていきます。

研究計画立案までnote.010

リサーチクエスチョンを作っていく際に、

PECOもしくはPICOを用いて作っていきます。

P:Patients

E:Exposuer(I:Intervention)

C:Comparison

O:Outcome

となっています。

介入研究ではPICOを、観察研究などではPECOを用いるかな、と思います。

このPICO or PECOを用いて、クリニカルクエスチョンをリサーチクエスチョンに変えていく作業を行います。

研究を行っていく過程をより明確にしていくのがこの段階だと考えています。

STEP3-2.リサーチクエスチョンのチェック

PICO or PECOを用いてリサーチクエスチョンを立てることができたら、最後はチェックしていきます。

そのリサーチクエスチョンが研究に値するのか?

というイメージです。

ここではFINER or FIRM2NESSを利用します。

研究計画立案までnote.011

チェックするには2種類ありますが、FINERでも問題ないと思っています。

From ideas to studies: how to get ideas and sharpen them into research questions

Formulating a good research question: Pearls and pitfalls

Formulating a researchable question: A critical step for facilitating good clinical research

などなど、リサーチクエスチョンの段階までくればいろんな論文があります。

参考にしてもらえるといいかな、と思います。

これを読んだからといっていますぐに研究できるとは言いませんが、

研究テーマを作るのには役立ってくれるかな...

なんて思います。

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