【コラム】ピースオブエイトの距離適性について

ピースオブエイトの出資者として、ダービー出走は楽しみしかない。
ここで見ていただきたいのが、以前私がアルメリア賞勝ちの後、自身のブログに書いた「ピースオブエイトの距離適性について」という記事だ。掲載時点は少し古いが、今も評価は変わらないので、抜粋して掲載する。

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期待どおり、ピースオブエイトがアルメリア賞を勝ってくれたので、この記事を出すことができる。

まずはアルメリア賞の回顧から。
レースは見ていただくとして…
ゲートは不安があったとおり、やや立ち遅れたものの新馬戦よりはマシだった。新馬戦と同じで二の足が早く、楽に前に取り付けた。岩田望来騎手も語っていたとおり、「本当はもう一列前で競馬したかった」が、先行争いが激化し、共倒れになることを避ける形で、騎手が下げて、新馬戦より後ろの5番手追走となった。この下げた判断により馬が掛かる仕草を見せ、しばらく騎手が抑える格好となっていた。新馬戦とは違う競馬で鞍上が我慢させたこともあり、確実に次に繋がる内容となったことは好印象だ。

次にラップを見ていきたい。

12.7 - 10.7 - 11.7 - 12.2 - 12.1 - 12.0 - 11.6 - 11.2 - 12.1

勝ちタイムは1.46.3。11R大阪城Sの勝ちタイム1.44.8はかなり早く、そのレースと単純にタイムのみ比較すると9着相当。斤量56kgを考えれば、それなりに能力を裏付けた一戦といえる(できれば勝ち負け級の時計が欲しかったがあの掛かり方では厳しい)。道中59.4は少頭数にしては流れた方で、59.4-46.9の平均ペース。位置どりの有利不利ないフラットな流れ、直線向かい風、イン有利馬場でやはり好位勢が有利なレースだったと言える。ここで5/7番手からの差し切り勝ちは見事と言うほかない。個人的にはやや不利のあったジュンブロッサムとの着差はもっとつけてほしかった思いがあるが、8か月ぶりもあったし、道中掛かっていたことも影響しただろう。岩田望騎手も「調教の感じからもっとビュッと切れるかと思ったが〜」と語っている。まあ共同通信杯0.6差4着馬なので、それなりに敬意を表すべきだろうか。


さて、今回の本題はピースオブエイトの距離適性についてだ。アルメリア賞を勝ち、一躍クラシック候補と書かれている方も多いが、私は前回のブログでも書いたとおり、ピースオブエイトの距離適性はマイルにあると思っている。理由はいくつかあるので列記していこう。


①新馬戦→アルメリア賞のレース内容
新馬戦は前半5F63.4というスローペース。ここで末脚の持続力を繰り出し加速ラップで快勝。この一戦だけで距離適性云々は語れないが、次走アルメリア賞は前半5F59.4とそれなりに流れ、前走から4秒も早くなっているが、このペースに難なく対応し、更には掛かって前に行きたがる素振りを見せるほどで、スピード能力は相当に高いものがある。一方で、上がり3Fは11.6-11.2-12.5とラストの坂を考慮しても明らかにラップを落としてしまった。視覚的に見ても坂でジュンブロッサムと明らかに差を詰められている(坂上ではまた同じ脚になっている)ので、坂が苦手ということもあるかもだし、8か月ぶりで前半掛かった影響もあったかもしれないが、個人的にはL1の12.5は気に入らない時計だった。


②血統
父は言わずと知れたスクリーンヒーロー。アルゼンチン共和国杯からJCを勝ち、代表産駒はモーリス、ゴールドアクター、ウインマリリンなどがいる。中長距離で実績を残している産駒も多いので、距離適性はそこそこ持つと思われている方も多い。しかし、ピースオブエイトに最も血統背景が近い活躍馬は母系にSadlersWellsを持つモーリスである。出資の際もかなり意識したが、モーリスとはノーザンダンサークロスが同じ15.63%、HailtoReasonクロス6.25%も同じ。ピースオブエイトはそこにDanzigクロスも内包しているというところで、モーリスより更にスピードの増強が強い印象だ。また、母の全兄Approveは英国で芝1000、1200の重賞勝ち。母父が名スプリンターOasisDreamで半姉のZendaはかのスーパー種牡馬Kingmanを生み出している超一流のスピード一族である。母系はとにかくヨーロッパのスピード色が満載の血である。


③馬体
少し馬体を見れる人なら、ピースオブエイトが決して中長距離向きの馬体ではないのは分かっていただけるはずだ。スクリーンヒーローには似ておらず、首差しは太く、筋肉質な馬体であり、母系の血が色濃く現れている。走法も首が高い分、ストライドがそこまで伸びず、機動力に優れたピッチ走法である。なので、小回りのコーナーリングでも減速せず、小倉1800で加速ラップが踏める。今は相手が弱いので、能力でカバーしているが、将来的には確実にマイル前後だと思うし、これ以上距離が伸びて良さが出るかは個人的には疑問符だ。


というわけで、今後ピースオブエイトにはマイル路線を極めていただきたいと思っている。サドラー持ちスクリーンヒーローのモーリスをノーザンファームしがらきで鍛えていたのは非常に心強いし、晩成血統なのでまだまだ伸び代も十分だ。
(抜粋ここまで)

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この後の毎日杯でも坂で差を詰められ、そこから根性発揮の二枚腰でベジャールを退けた点はアルメリア賞と同じで、距離適性について意見を変えるつもりはない。ダービーともなると、色んな解説者や予想家さんが触れてくれるので、さまざまな見解を見てみたい。

まあ結論を言うと、東京2400で勝ち負けするには足らないものがいっぱいあると思うし、初遠征、初競馬場、初の大歓声など不安は尽きない。ここは無事に走り切って、秋ないし来年以降の飛躍に繋げてくれればいいなというのがいち出資者としての所感である。勝ち負け期待とかは言えない。自信がないかと聞かれると、そうですと言うしかないが、この馬の将来性には強い自信がある。

にしても、まさかダービーに出走できるとは思いもよらなかった。短距離向きで、晩成血統であると思っていたので。デビュー戦が1800というのも驚いたが、そこから3連勝とは奥村豊厩舎恐るべしである。私は奥村豊先生の夢に出資しているので、いつかのGⅠ勝利をどこかで挙げられたら嬉しい限りだ。

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