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昔昔あるところに

さーくんというこがいました。
さーくんはいつも一生懸命で
何をするのにも真剣でした

あるとき、さーくんがだいじにしていた
ミニ四駆をどこかの知らないおじさんが
ぶちっ、と踏みつぶして、しれっと
そのまま立ち去ろうとしました

さーくんは、ものすごくかなしくなり
なみだでこころがいっぱいになったけど
でも、だまってたらきっといけない
そう思って、じぶんがはいていた靴の片方を脱いで
おじさんのほうにむかって

まてーい!!!

と、いいながら放りなげました

さーくんはとてもコントロールがよかったので
さーくんの靴は、おじさんのちょうど目の前に
ぽこっと落ちました

おじさんは、ん?

という顔で振り向き、これきみの?

と、話しかけました。

さーくんはどなりたいきもちで
いっぱいでしたが

もしぼくがおこったら
おじさんはにげちゃうかもしれない

そう思って

えっとえっと、おじさん
ぼくの・・・ぼくの・・・これ・・・

と、いいながら、ミニ四駆を指さしました

すると、おじさんは

あれ?こわれちゃってるね・・・・
ん?もしかして、おじさんがこれ、
踏んじゃったかな?

さーくんは、だまって目に涙をいっぱいためて
歯をくいしばっていました

すると、おじさんは

ごめんな・・・おじさん、急いでて
ふんじゃったんだね・・・
これおじさんの住所だから
あとで電話くれるかな?べんしょうするよ

そういって、名刺をさーくんに渡してくれました

さーくんはそのことをおかあさんに言うと
あんたが、そんなとこでミニ四駆やってるから
いけないんでしょ

といって、おじさんに電話をしてくれませんでした

さーくんは悲しかったけど
なにも言えませんでした

またいつもの公園で、別のラジコンであそんでいると
このあいだのおじさんがあらわれました

や!きみ!連絡まってたんだよ。
こないから、どうしようかなと思って
毎日ここでまってたよ。

はい。これ。

といって、さーくんが持っていたのと
同じミニ四駆を渡してくれました

え!!!これ、もらっていいの?

さーくんは目をおおきくみひらきました

するとおじさんは

もちろんだよ。おじさんはミニ四駆わからなかったけど
色と形を息子に言ったら教えてくれてね。
それで一緒にお店に行ってくれたんだよ。
君から連絡がこないから、どうしようかなって言ったら
息子が、公園にいたら、きっとまた
その子が来るかもしれないって
そういってくれたから、ここで待っていたんだよ

さーくんは、とてもうれしくなりました。

おじさんのむすこって、何年生?

そうたずねると

おじさんの息子はもう大人だけど
車がだいすきなんだよ
レーサーになりたいって言ってる

そうなんだ!きっとなれるよ!
おじさんの息子さんにありがとうって
言ってください!

お、ありがと。
きみのなまえは?

さとしです。

そっか、さとしくんか。
ぼくのむすこは、豪っていうんだ。

豪君!こんどどこかで会えるといいな。

そうだね。こんど、この公園に遊びにくるかも
しれないよ。そしたらいっしょに遊んでくれるかな?

もちろんです!


おじさんとさーくんはあくしゅをしてわかれました。

さーくんが大きくなって、おとなになって
はいった会社ではなんと、豪君がいて、いっしょに仕事を
することになりました。

そこはおもちゃ会社で、おもちゃを考えて作るところです。
ふたりは、協力し合って、こどもたちが喜ぶおもちゃを
考えて、今日も試作づくりにはげんでいます。

さとし君とGO君は今もとっても仲良しです。

おしまい

サポートしていただきましたら、きっといいことがあるでしょう!少なくとも私から多大なる感謝を持って、心より敬意を表します。ありがとうございます!!