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幼なじみからの急なプロポーズに心を振り回された日

由:私、結婚することにした。


…はい?

リビングで朝食を食べてると由依が…

幼なじみの由依は毎朝、俺の家でご飯を食べる。

俺を起こすついでに。


〇:んーっと、バカになった?

由:とてつもなく殴りたい。〇〇の方がバカだし。

〇:いやまず、年齢的にさ、

由:だから、結婚を予約するの。


だめだ。理解できない。

これは朝だからですか?

それとも俺がバカだから?

または由依がバ…

やめよう、これを思わず声に出したら由依に殴られてしまう。


由:お母さん、今日の朝ご飯も美味しいです。

母:ほんと?よかったわ。笑

〇:おい、話そらすな

由:なに、結婚が嫌なの?

〇:いや、え、本気?

由:さぁ…?笑


なんだその不敵な笑み。

ほんとなに考えてんだか…

朝食を食べながら、由依をいつも以上に見るけど変わったとこはない。

やっぱまじで病院連れてこうかな…



由:病院なんて行くわけないでしょ。


クラスに入るけど由依は席が隣。

だからいつも話している。

そして俺は病院に誘ってみた。


〇:いや、まじでやばいって

由:なにが。〇〇こそ病院行ったら?

〇:わかった、一緒に行こう

由:それは嫌。別に私、妊娠してないし。

〇: …なぁ、ほんとに由依か?

由:この世に私に似てる美人なんている?


うん、これは由依だ。

結婚が本気…?

あぁ…頭と心がパンクしそうだわ…



由:そういえば言い忘れてた。私が結婚するの〇〇だからね?


もっと頭がパンクしたお昼休み。

紙パックのミルクティーを飲んでると、由依に唐突に言われた。

手の力が抜けてミルクティーを落とした。

俺の心には爆弾が落ちた。


〇:はぁ…?

由:大事なこと言い忘れてた。

〇:いや、大事すぎんでしょ。まず、まず!意味がわからない。どういうこと?

由:〇〇と結婚予約した。

〇:まって、ゆっくり

由:〇、〇、と、けっ、こん、よ、や、く、した。


1時間でする瞬きの回数ぐらいを、この2.3分でしている。

由依の目は本気なのか確認したくても

由依は外を見ている。

そしてこれは恥ずかしい時にする行動。

ってことは、そういう事だ。


〇:え、じゃあ由依。俺のこと好きなの?

由:まぁ、そうなるんじゃない…?

〇:そうじゃなくて、ちゃんと言って

由:なんで…伝わるでしょ…

〇:いーや、伝わんないね!俺バカだから。ほら朝、由依も言ったでしょ?俺、バカだから。


生まれて初めて俺がバカなことに感謝した。

いや俺、由依よりは全然頭いいんだけどな。


由:とにかく!〇〇に拒否権ないから。


そう言い残し由依は教室を出ていった。

朝からトントン拍子で話が進みすぎて意味がわからない。

由依に振り回されまくってる。

そして由依は多分本気だ。


まぁ…由依からのプロポーズって思えば…ね?



由:私と結婚する気になった?


午後の授業も終わり、帰り道。

一緒に帰ってると由依はまた言った。

大っ嫌いなジェットコースターを1日で15回近く乗った後ぐらい脳がフラフラしてる。


〇:えーっとね…由依…?

由:なに。

〇:ほっっんとに結婚するつもり?

由:うん。

〇:俺と?

由:うん。

〇:なんで?

由:好きだから。

〇:結婚したいぐらい?

由:そうかも。


会話が端的すぎる…

普段はツンな由依が、こう思ってて

しかもこんな積極的だったとは…

幼なじみでも知らないことはあるもんだなぁ…


由:なに、わかったような顔してんの。

〇:んあ?

由:で、結婚するの。しないの。どっち。

〇:えぇ…1回考えてもいい?

由: …そっ。じゃ、また。


気づけば由依の家の前まで来ていた。

由依は振り向かずそのまま家に入っていった。

なんというか…忙しい1日でしたな…

俺も自分の家に帰ろうとすると、スマホから通知音。

由依からのLINEだった。


"振ったらもう話さないし関わらないから。"


おいおい…脅しやんけ…


"それ断れないじゃん"

"私と話してたいんだ。それが答えじゃない?"

"俺も好きだよ、って言って欲しいんだ?"

"別にそうは言ってないじゃん"


なるほどねぇ…

由依はわかりやすい。

典型的なツンデレ。

典型的な照れ隠し。


少し笑みがこぼれちゃった。

振り返って勢いよく由依の家に走ってドアを開けた。

階段も勢いよく駆け上がって。



由: …なにやってんの?


由依の部屋のドアを開けると、不思議そうな顔で見つめてきた。

ベッドの上で熊のぬいぐるみを抱きながら。 


〇:あれ、そのぬいぐるみってさ、

由:えっ、あぁ…そう。小6の頃に〇〇が買ってくれたのだけど。

〇:へぇー。まだ持ってたんだ?

由:別に、捨てたら熊が可哀想だから…ってだけ。


また目線を逸らした。

ほら、恥ずかしがってるテンプレ。


〇:で、結婚のことだけど、

由:考えるんじゃなかったの?

〇:考えたところでバカだからわかんないし

由:たしかにね。笑


やっぱ否定しないよな。笑

由依が寝っ転がってるベッドの、空いてるスペースに腰をかけた。

由依はゆっくり俺と目線を合わせてくれた。


〇:まぁ、由依が結婚したいなら結婚しよっか

由:えっ…えぇっ…!?

〇:由依から言ったくせに驚きすぎ。笑

由:えっでもだって…

〇:10秒考えて思ったんだけど、


〇:色々とめんどくさい由依の全てを理解してるの俺だけだし、ってことは幸せにできるのも俺だけじゃん?


由: …嬉しいけどちょっとうるさい…

〇:で、由依はどうすんの?


由依は少し下の方を見つめてから、寝っ転がるのをやめた。

そして俺にハグしてきた。

幼なじみでもしたことがない、初めてのハグだった。


由:〇〇がそう言うなら…結婚しよっか…

〇:だから、由依から言ったんでしょ?笑

由:いちいち言わないでっ…!


おぉ、抱きしめる力が強くなった。

こういう甘えん坊なところを見るのも、小学生以来だな…


由:じゃあ…〇〇との結婚予約した、ってことで…

〇:いいよ。プロポーズは本当に結婚する時ね

由:〇〇からしてよ…

〇:え、それは由依からでしょ!

由:むり。〇〇から。

〇:えぇ…?笑


俺が笑い始めると、由依も笑い始めた。

2人で笑いあって、由依と見つめあった。

そして俺は初めて知った。

顔が真っ赤な由依は、いつもの何倍もかわいい。


〇:じゃあ、これからは彼女ね

由:ううん、奥さんだよ…?

〇: …まって。それは気が早くないか?

由:いや、奥さん。

〇:高校生なんだってば…笑

由:じゃあ…



由:結婚初夜ってことで…今までしてない初めてのことしちゃう……?///



…やっばい、めっちゃかわいい。

結婚予約をして、幼なじみが奥さんになった日。

ハグやキスやら…そして…色々としちゃいました。

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