可愛い姉と可愛い妹。がとにかく可愛い
リビングに僕と母さんしかいない静かな朝。
朝食も食べ終わり、家を出る時間までゆったりと過ごす。
これがいつもと同じ朝の過ごし方だ。
母:そろそろ2人起こしてきてくれない?
〇:いいよ。行ってくる
僕は三兄弟の真ん中で、社会人の姉と同じ高校に通う妹がいる。
まずは社会人の姉の方からに起こしに行った。
〇:夏鈴おきてー!
夏:、、むり、、
〇:仕事遅刻するよー!
夏:、、もう少し寝る、、!
〇:え、また寝るの!?
夏:、、おやすみ
えぇ、、?
夏鈴はまだ家を出る時間じゃないからいいけど、、
もう一人の寝ている方を起こしに行くことにした。
〇:天ー!おきてー!
天:起きてるよー!
天は夏鈴と違って、早起きだから毎回楽。
〇:準備できたら下降りてきてー!
天:わかったー!
やっぱ妹はかわいい。
でも、本当は姉もとんでもなく可愛い。
真逆な姉と妹は真逆のかわいさを持っている。
_____
母:あれ?二人はまだ寝てるの?
〇:天は起きてるよ。夏鈴はまだ寝てるけど。
母:そう。ちょっと夏鈴の部屋行ってくるわ
、、夏鈴、大丈夫かな、?
母さんと入れ替わりで天が降りてきた。
〇:おはよ
天:おはよ!
朝というのに日中と変わらないテンション。
〇:朝ごはん食べちゃって
天:いただきまーす!
毎回ご飯を目の前にすると目が輝いている。
こういう無邪気なとこが可愛い。
姉にはない部分で、好きだ。
夏:、、まだ寝ていたかったのに、、
寝るって言ってたはずの姉が降りてきていた。
夏:、、ソファで寝よ、、
母:夏鈴なにしてるの??
夏:、、やっぱ起きる、、
母さん姉になにしたんだよ、、
天:夏鈴起きるの遅すぎー
夏:うるさい。罰としてパン一口貰うね
天:あ、ちょっと!他に夏鈴の分もあるから!!
夏:うま。天が飲んでる水も貰うね
え、そのコップ、、
天:それ〇〇が飲んでるのだよ?
夏:はぁ!?先言ってよ!飲んじゃったじゃん!
さっきとは比べ物にならない程に大きな声だった。
、、え、そんなに嫌だったのかな、、
夏:あーもう!やっぱ寝てくる!
母:夏鈴もう一回言ってみな???
夏:あーもう!!顔洗ってくる!!
朝から早々僕の心が少し傷ついた。
母:もう家出る時間じゃない?
天:ほんとじゃん!〇〇行こ!
〇:あ、うん。
天・〇:行ってきます!
母:行ってらっしゃい。ほら夏鈴も
夏:今洗顔して、、あー!いってらっしゃい!!
_____
天:なんでそんなに落ち込んでるの?
〇:んー、、なんかねー、、
天:ふーん、、妹に話せないんだ!!
〇:別にそういうわけじゃないけど、、
口に出してしまうともっと悲しくなってしまう気がした。
天:嫌なことあったら楽しいことで忘れよう!!
〇:え?
天:学校サボってどっか行っちゃう?
〇:あー、、ありかも
天:でしょ!どこ行こっか?
〇:んー、、そうだな
海?いや、失恋してないし。
水族館?なんかデートっぽいな。
〇:映画とか、?
天:いいじゃん!そうしよ!
スマホの時計を見るとHRはもう始まっていた。
天:ほんとにサボっちゃったね笑
天がスマホを覗き込みながら言ったから
目が合った時、顔の近さに恥ずかしくなってしまった。
天:一旦!電車乗ろっか!
〇:うん。そうしよ!
人生で初めて学校をサボった。
しかもその相手が彼女ではなくて妹と。
罪悪感がまだ心にはあるけど、そんなものは1回忘れることにした。
______
電車には通勤ラッシュを過ぎたからか人は余りいない。
でも、周りの視線は全部僕たちに向いている気がする。
そりゃあ、制服姿だもんな、、
天:あ!この映画面白そう
〇:ん?どういう系?
天:恋愛だね。最近見てなかったからなぁ
恋愛映画は嫌いでもないし好きでもない。
ただ恋愛経験がないから見てて不思議な感覚になってしまう。
??:え、?なんでここにいるの、?
声をする方を向くと
〇:え、いや、夏鈴こそなんでいるの?
夏:私は、いつもこの電車で会社に行ってるから。
そうだった。夏鈴の会社は出勤が少し遅い。
夏:で、なんでここにいるの?学校は?
〇:それはその、、
天:サボった!今から2人で映画見に行くとこ。
夏:羨ましい、、私も行きたいよ、、
今朝のこともあってか、夏鈴の目をちゃんと見れない。
夏:私も行こうかなー!
〇:え?
夏:たまには私もサボりたいし、一緒に行ってもいい?
天:私は〇〇がいいならいいよ
えぇ、どうしよ、、
夏:まあ私無しで制服姿の学生が2人でいたら、それはもうデートだよ?
〇:いいよ!夏鈴も行こ!!
夏:ありがと笑 じゃあ会社に連絡してくるね〜
天:別にデートでもいいじゃんか、、!
〇:ん?どうかした?
天:ううん。なんでもなーい!
まあ天がそういうならいっか。
夏:会社に連絡してきた〜
天:じゃあ私たちみんなサボりってこと?
〇:そうなるね
天:じゃあサボり同盟結んじゃお!
ん?なんだそれ。
夏:てか、映画何見るつもり?
天:この恋愛映画!
スマホを夏鈴に渡したようだ。
兄弟で恋愛映画か、、どういう心境で見ればいいんだよ!
______
映画館についた。まずはチケットだな。
天:席どうする?
〇:どこでもいいよ
席は平日ということもあり結構空いていた。
適当に席を選んだ。
天:普通に割り勘でいいよね?
〇:うん。いいよ
夏:ううん。私が払う。
〇:え、いや、いいよ。家族だよ?
夏:いいから。たまには私に姉らしいことさせて?
天と目を合わせ、夏鈴の言葉に甘えることにした。
〇:じゃあお言葉に甘えさせていただきます
天:甘えさせていただきます
夏:はーい
〇・天:ありがとうございます!
夏:はーい
飲み物とポップコーンを買って映画館へ入っていった。
だがある問題があった。
誰がどこの席に座るか問題。
天:私はどこでもいいよ!
〇:僕もどこでも
夏:私もどこでも
、、、このままだと映画が終わるまで立ったまま!
まるで、立ち食い映画じゃないか!!
夏:あ、そうだ。これでいいでしょ
よりによって真ん中になってしまった。
夏鈴によると、長女・長男・次女
の順番らしい。
だからって女性二人に挟まれながら恋愛映画をみる。
なんだ、この状況、、
・・・
映画は進んでいく中、僕の右手になにかが触れた。
暗くてよく見えないが動いている。
虫かと思い、怯えていたら強く手を握られた。
握られた右手の方にいるのは夏鈴だった。
〇:ちょっと、、夏鈴、?
夏:うるさい。映画に集中して。
集中できるわけがない。
だって、、これ恋人繋ぎじゃん、、
夏鈴は時々、甘えてくるような可愛い行動をする。
いきなり肩に頭を置いて眠っていたり
夏鈴のお風呂上りに、髪を乾かせ!と命令されたり
一番覚えているのは
夏:ねむい、、
〇:いいから起きて!
夏:じゃあ私をおんぶして下まで連れてって?
〇:はぁぁ!?無理だから!!
夏:別にいいじゃん、、もういい、おやすみ。
〇:、、おんぶすれば仕事行く、?
夏:、、行く、、
〇:じゃあはい、乗っていいよ、、
夏:〇〇の背中落ち着く、、〇〇好き、、
、、いつまで寝ぼけてんだよ、、
夏:、、このまま寝れそう、、
〇:え、だめ!背中で寝ないで!
的なこともあったり。
この急に来るかわいさにやられそうになる。
夏:朝の時、強く言いすぎたかも、、ごめん、、
、、素直な夏鈴もかわいい、、笑
〇:うるさい。映画に集中して
夏:、、生意気、、!
夏鈴が可愛すぎて映画の内容は、ほとんど入ってきてなかった。
_____
天:映画、面白かったね!
夏:うん。これ好き
〇:好き!?
夏:うん。〇〇は苦手だった?
あ、映画の話か、、
〇:ううん。おもしろかったよ
天:怪しい!!なんか怪しい!!
〇:なにが!?
天:わかんない!でも怪しい!!
〇:意味わかんない!まずなんもないし!
夏:あ、お母さんから連絡来てるよ
「母:学校サボったんだって?早く家帰ってこい」
、、終わった、、
夏:私がサボったのはバレてない、笑
天:こうなったら夏鈴も道連れだ!!
夏:やめて!映画奢ったでしょ!?
天:そうだけど、私達サボり同盟結んでるから!
〇:そうだよ!三人みんなでいけば怖くない!
天:たしかに!お母さんに勝つぞー!
〇・天:おー!!!
夏:なんで私まで、、!!
この日の夜。三人は閻魔様に負けてしまい、こっぴどく怒られたのだった。
〇・天・夏:ごめんなさい、、
二度と学校はサボらない。と心に誓い、
3人とも心の中で「久々に兄弟で遊び楽しかった」と心の底から思っているのであった。
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