大好きな姉と、弟と、離れるのがお互いに寂しくて…
由:私、東京行くんだ。
22時。
いきなり部屋に呼び出され、なにかと思うと
聞きたくない事実が、空間に
心に、響いた。
〇:え、東京…?
由:うん。あっちで暮らすつもり。
群馬からでは遠すぎなくもない距離だが
高3の僕からしたらかなりの距離だった。
そして毎日一緒にいたのに、もうそれが…
由:でも、時々帰ってくるから。
〇:いや…そういうんじゃなくてさ…
由:なに。寂しい?笑
〇: …いや、別に寂しくなんか…
なに意地張ってんだよ…
好きって伝える訳じゃないんだから姉に素直に、寂しいってぐらい、
由:私は寂しいよ?
〇:えっ…?
由:家に帰ってきて〇〇がいる安心感も
由:一緒にゲームしてた心の癒しも
由:ちょっとした喧嘩とかも
由:全部全部、しばらくできないって考えるとほっんとに寂しい。泣きそうなぐらい。
そんなどストレートに…
そりゃあ僕だって…
〇:寂しいに決まってるじゃん…。
由:ほんと?嬉しい。笑
〇:なんも嬉しくないよ…
由:大丈夫。時々会いに来るから。
〇: …いつ東京行くの…?
由:明後日。明日が一旦、一緒にいれる最後。
〇:いきなりすぎでしょ…
頬には、冷たいなにかが流れていた。
瞬きをする度に、溢れてきた。
心の、奥底の、感情が。
由:泣かないでよ…笑
〇:泣かせてきたのそっちだから…。
由:ほら、おいで?
手を広げる由依姉。
ゆっくり近づいて
僕の体が、温かくて、落ち着く、
優しい、大好きな由依姉に、包まれた。
由:ハグするのいつぶり?
〇:小四とかじゃない…?
由:そっか、もう全然してなかったね。
頭を撫でられ、まるで子供の頃に戻ったかのようだった。
涙は、ずっと増える一方。
由:もういつまで泣いてんの〜。
〇:由依姉こそ目赤くなってるよ…
由:もらい泣き。あんたのせい。
〇:うるさっ…笑
由:ふふっ、やっと笑ってくれた。
〇:うん…もう今日は泣かない。
由:そうだね。
もう少しの間ハグをして
僕は部屋に戻った。
ベッドに体を預け、枕に顔をうずめて泣いた。
眠りたくはなかった。
明日になると、由依姉が……そんなの…嫌に…
・
由:ほんと寝顔もかわいいね〜
まだ一緒に…いたい……
由:すやすや寝てるのもかわいい〜
まだ…由依姉と…離れたく……
〇:ないっ!!
由:うわっ…びっくりした…
〇:あれ、由依…姉…?
見渡す限り、ここは僕の部屋。
そしてベッドの上。
そしてそして、由依姉が床に座って……
由:おはよ。
〇:おはよう…
由:起きたなら早く下降りてきてね〜
…
あれは…夢だったのか……!?
今日が一旦、由依姉と一緒にいれる…最後…
って訳では無い……ってこと…!?
一気に心が軽くなり、軽い足取りで下に降りた。
・
由:ふんふーん♪
〇:テンション高いね
由:まぁちょっとね〜
〇:いいことあった?
由:ん?まぁ、ちょっとね〜。笑
いいことあったっぽいな。笑
由:そうだ。〇〇今日暇?
〇:ん、まぁ、暇
由:よし。私に付き合って。
〇:いいけど…なにするの?
由:ちょっと色々ね?笑
不敵な笑みで見つめてこないで…
嫌な予感はするけど、あの夢のせいなのか
一緒にいれるなら今はなんでもいいや!
・
由:よし。まずは、なにをすればいいですか?
〇:えーっと……って、なんで…
僕が料理を教えないといけないんだよ!
私と付き合って。の意味って
料理を教えろ。って意味だったのか…
由:〇〇料理上手いじゃん?だから教えて?
〇:別にいいけどさ…で、なに作りたいの?
由:決めてない。
〇:えぇ…?
由:先生。早く指示。
えーっと…オムライスでいっか。
〇:玉ねぎをみじん切りして?
由:みじん…もっとわかりやすく。
〇:えぇ…?こうやって、
由依姉の後ろに回って、包丁を掴みながら教えた。
なんか…カップル…
いやいや!そういうんじゃ…ない…はず…
由:玉ねぎが目に染みる…
〇:え、耐えて?
由:むり。やって。
〇:え、料理するんじゃ、
由:むり。はい、頑張って?
ってことで料理教室は解散で僕が料理を作るだけになりました。
でもその最中、由依姉は隣でじっと見てきている。
だからなのか…すごい…緊張してます…
・
由:はぁ…お腹いっぱい…
オムライスを美味しそうに綺麗に食べてくれて、
今はソファでのんびりタイム。
それにしても今日は、ずっと気分が良さそう。
由:なに見てるの。
〇:いや、由依姉が上機嫌だなー。って。笑
由:おかしい?
〇:ううん。でも、どうしたのかな?って
由:まぁ、ちょっとね?笑
ほら。めっちゃ笑顔。
こんな上機嫌なのも珍しいよなぁ…
さぁ、可能性があるものを考えよう。
うーん…由依姉が喜びそうなこと…
〇:新しくて高いバッグを買ってもらった!
由:ん?
〇:違うのか…じゃあ高い化粧品とか!
由:あー…ううん、違う。
〇:えぇ…かわいくて高い服を買ってもらった!
由:私をお金の亡者だと思ってるの?
さすがにバカにしすぎたか…笑
さて、真面目に考えましょう。
うん、わかんない。
こういう時は直接聞くべきです。
〇:なにがあったの?
由:うーん…ま、言ってもいっか。
〇:ほっ?
由:私が東京行く話は覚えてるよね?
〇:あぁ…うん…
ま、なんとなく気づいてはいた。
全く夢とかじゃなくて、由依姉は本当に東京に行くんだと。
でも、直接言われちゃうとやっぱり…
心が痛くなっちゃうんだよな…
由:それでさ、ちょっと相談なんだけど
〇:ん…?
由:私と一緒に東京行かない?
…
〇:はて?
由:都心の方じゃなくて東京の中だと田舎の方だし。
〇:え、待って待って、どういうこと?
だめだ、ほんとに理解が追いつかない。
なんで俺も東京に?
由:〇〇って私の事大好きじゃん?
〇:え、うん、まぁ…
由:だから、一緒に住まない?
〇:待って俺がバカすぎるのか…
由:あっ。高校卒業したら、って事ね?
〇:あぁ…そういうこと…笑
びっくりした…
由依姉って時々抜けてることあるからな…
いや、まぁ、それなら…
めちゃくちゃありだな!
由:で、私が上機嫌だった理由は、朝ね
・
由:ねぇ、お母さん
母:ん?
由:来年さ…〇〇と一緒に東京に住んでもいい…?
母:あー、いいんじゃない?
由:え、かるっ…
母:まぁ、〇〇次第だけどね。笑
・
由:ってことがあって。
〇:いや、母さん軽っ
由:ね。全く悲しそうじゃなかったし。
〇:そういうことねぇ…
自然と、悲しさで満ちていた気持ちは明るくなっていた。
もちろん、1年間一緒にいれない寂しさはあるけど
1年経てば会える、と思えば。
でもそれより嬉しいのは、
〇:由依姉一緒に住みたかったんだ?笑
由: …さぁ?
〇:それが俺は1番嬉しいな。笑
由:別にいいでしょ…//
少し恥ずかしがってる由依姉は、やはり可愛い。
次の日
由依姉は本当に東京に行った。
もちろん最初の方は寂しかったけど、自然となくなって
1年後の方を楽しみに考えるようになっていた。
・
〇:ここが東京か…
1年後。
俺はちゃんと東京に来た。
由依姉と同じ大学を志望して無事合格。
そして今は待ち合わせ場所にいる。
田舎の方のはずなのに…めっちゃ人いるやん…
由:お待たせ。
〇:あぁ、って、なんか綺麗になったね
由:ほんと?〇〇こそ大人になっちゃって。笑
〇:うるさいな。笑
由:ふふっ、じゃあ行こっか。
由依姉に連いて行き、着いた場所はとある部屋。
多分、由依姉の家。
そして俺は今、この現状のやばさに気づいた。
〇:え、俺さ由依姉と同棲するってこと!?
由:同棲って…カップルじゃないんだから…
〇:え、いや、でも、ほら!
由:まぁ感覚といえばそうだけど…!
〇:俺はこのやばさに気づいてなかったのか…
由:いいから入るよ!
多分、少し怒っている。
由依姉の部屋の中は、実家の部屋と同じ雰囲気。
〇:あっ、由依姉彼氏いないの?
由:えっ…いるわけないじゃん…
〇:そういうもんかぁ
由:〇〇は?
〇:俺も彼女いないかなー
由:ふーん。あっそ。
冷たっ!?
と声の冷たさを感じてると、
体が人の温かさに包まれた。
いきなりの、唐突な、突拍子もない、ハグ。
由:これからよろしくね。〇〇。
〇:え、うん、まぁ…よろしく。笑
由:これでやっと2人だけになれたね…
〇: …えっ?
由: …あっ。やっぱ今のなし…///
〇: …えぇぇっっ!?
由:うるさい!あ、じゃあもう、いいからシャワー浴びてきて!!
〇:なんでっ!?
由:んー……私もわかんないっ!あぁもう!私がシャワー浴びてくる!!
…初日から忙しすぎません??
その数分後にシャワーの音が聞こえてきました。
こんな感じで、大好きな姉と同棲が始まりました。
これから先はどうなる事なのやら…?
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