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久々に再会した幼なじみに、想いを素直のままに

〇:久々に帰ってくると、落ち着くなぁ…



約3年ぶりに地元に帰ってきた。

家族には何も言わず、ドッキリがてらの帰省。

なんとなく、勢いで、ノリで、帰ってきた。

この空気感だけで若干泣きそう。


色々考えながら、駅からタクシーで家に向かった。



〇:ただいまー

母: …え?

〇:あっ、久しぶり。母さん。笑

母: …夢?

すごい驚いてる。

ドッキリ大成功!ってことでいいかな?


??:ちょっとお母さーん!


母:あっもう…

〇:あれ、天もいるの?

母:うん、もちろん。ちょっと天!

急ぎ足でリビングに帰っていった母さん。

妹の天も元気にしてたかなぁ…

今は高三になってるはず。

天:私が会って、喜ぶ人ってそういないよ?って…


天:えっ…お兄ちゃん…?


目を大きく見開いて、驚きの言葉をそのまま表現したかのような表情。

ドッキリ大成功すぎるな。笑


〇:久しぶり。笑

天: …お兄ちゃんだ……お兄ちゃんだ!

〇:あれ、もう飛びつかないの?

天:私も高三になったんです〜!

〇:大人に成長したんだ。笑

天:あっ!今シチュー作ってるから、食べよ!


また天も急ぎ足でリビングに帰っていった。

たしかに見た目は大人びてたけど

性格の無邪気さや子供っぽさは変わらないまま。

そんな家族が好きなんですけど!


懐かしさを感じながら、3年ぶりの実家に足を踏み入れた。



〇:んー!うまっ。

天:でしょ。私も料理上手になったんだ〜

〇:こりゃモテるな

天:まぁ…お兄ちゃんよりは?

〇:うるさいな。笑

母:ほんと仲良い兄妹ね。笑

たしかに。

久々だけどそんな感じがしない。

じゃあ今日は、なにしようかな?


母:あっ、理佐ちゃんには帰省のこと伝えたの?



スプーンを持っていた手が止まる。

何度も聞いて、何度も口にしたことがある名前。

天:あっ!理佐さん!お兄ちゃん仲良かったよね〜

母:幼なじみだし、一緒に登下校したりとかね?
 
〇:理佐には…まぁ、うん…笑


上京する時、理佐には会っていない。

なんと言えばいいかわかんなかったから、LINEだけで終わらせた。

それきりほぼ連絡は取っていない。

今更会うってなってもな…

俺だけが少し心の重さを感じながら、ご飯を終えた。



〇:あれ、ここにコンビニあったっけ?


まずは地元を感じようと散歩中。

16:00近くだから少し涼しいぐらい。

でも心の中には、

"少し散歩してたらあの人に会えないかなぁ…"

という乙女のような気持ちもある。


〇:って、そんなことあるわけないか!



??:えっ…〇〇だよね…?



うっそーん。

え、ほんとに言ってる?

少し抱いていた気持ちが現実になった。

〇:理佐…だよね…?

理:うん…やっぱ〇〇なんだ…笑



嬉しいような気持ちもあるけど

申し訳なさや気まずさも強くある。

でもやっぱ、嬉しいかもな。



理:もう3年ぶりだね

〇:時が流れるの早いなー

理:ほんとにね…


高校生の頃に通っていた公園に来た。

同じベンチに座って、

同じような距離感で、

同じ遊具を眺めながら、

懐かしい空気感を味わっている。

でも、今の俺達の空気感は高校生の頃のような甘酸っぱい色じゃなかった。

少し暗いような、もどかしい色合い。


理:ねぇ、なんで上京する時会いに来てくれなかったの?

〇:あー…そんなこともあったねぇ…

理:なにそれ…私寂しかったんだよ?

〇:ごめん。でも寂しかったんだ?笑

理:っ…うるさい…!


理佐はそんなに変わっていなかった。

やっぱり少し怒ってるけど、いつものこと。

徐々に空気感も戻ってきた。


〇:理佐は、なんか変わったことある?

理:別に。ずっとのんびり。

〇:ふーん、彼氏は?

理: …さぁ?どちらでしょうか。

〇:理佐の事だし彼氏ぐらい、いるでしょ。


冗談半分だけど、本当にいそう。

高校の頃からずっとモテてたし、いてもおかしくない。

仮にいたら、もう俺にはなにも、できない。


理:あーあ!〇〇は変わってないね。

〇:え、なにそれ。

理:ど・ん・か・ん。ってこと。

〇:バカにしてんな?

理:私が人生で〇〇を褒めたことある?


ないね。

全くいい事じゃないけど、なんでだろう。

この刺さる言葉すら嬉しく思っている自分がいる。

もう、充分すぎるほど帰省してきて良かったと思っている。


理:彼氏なんているわけないじゃん。


理佐はベンチを立ちブランコに乗った。

ゆったり漕ぎながら質問に答えてくれた。

ちょっと予想外の答えを。


〇:へぇー、最近別れたとかってこと?

理:私、彼氏できたことないよ?

〇:あれ、そうだっけ!?

理:うん、〇〇がずっと傍にいたからね…


そっか…悪いことしちゃってたな…

俺も隣のブランコを漕ぎ始めた。


理:〇〇も彼女できたことないもんね〜

〇:うるさいな、俺も理佐がいたからだよ。

理:いい意味で?

〇:いい意味がわかんないけど、多分?


理:そっ。


理佐は、ブランコを高く漕いだタイミングで勢いよく飛んだ。

危なげながらしっかり着地して。



理:〇〇もここまで来れる?

〇:やってやるよ。


勢い良く飛ぶと、理佐よりも少し遠くに着地。

まぁ俺の方が運動神経よかったし。


理:はぁ、負けちゃった。

〇:俺の勝ちか。笑

理:ねぇ〇〇。

〇:ん?

理:勝ったら言うつもりだったんだけど…




理:やっぱ私、〇〇が好き。大好き。もう、〇〇がいない生活が嫌いになりそうなぐらい、


" ほんとに、心から、ずっと好きなんだよ…? "



目に涙を浮かばせ、唇が震えながら、告白された。

驚きもあるけど、それより

ずっと想いを我慢させて、振り回して、悲しませてたことを後悔した。

なら、もっと早くに気づくべきだったな…


〇:うん、俺もずっっと理佐が好きだよ。

理: …ふふっ、知ってる。笑

〇:素直じゃないな。笑

理:あーあっ!なんで私から告白しちゃったかなー!

〇:それはごめん。でも、これは俺から言わせて。


理佐の目の前に立って、ゆっくり目を見つめながら



〇:俺は、ずっと理佐が好き。だから俺と、付き合ってください。



差し出す右手。



理:うん、もう乙女を悲しませないでください。



右手に強く、温もりと恋の温かさを感じた。


実家に帰省した1番の思い出はこれ。

やっと想いを伝えれて、そして、

2人の思い出を

今度はカップルとして沢山作ろうと心から思った少し肌寒い夕方の、思い出。



理:こっちにはいつまでいるの?

〇:んー、そんな決めてないかなー


カップルになった帰り道。

理佐の家まで送っている。


理:そっ。でも数日経てば、また会えなくなるんだね…

〇:大丈夫。電話もしたい時にするし、大学終わったらすぐ帰ってくるよ。


理:そうだね…もう少し我慢する…

〇:うん。我慢できるの偉いっ!

理:うるさっ…ばーか。

〇:はいはい。笑


理佐がなにかを求めてるように、右手をブラブラさせている。

鈍感だと言われたけど、これぐらいわかる。

綺麗な右手を俺の左手で捕まえて、優しく指を絡ませた。


理:ふーん、気づいたんだ。

〇:理佐の彼氏だからね。笑

理:うるさいって…!///


でも、理佐の顔は赤くなっていたんだけど。

やっぱ俺の初恋で、

幼なじみで、

ずっと片想いをしていた、

大切な彼女は、

やっぱり可愛くて、大好きだな、と強く思った肌寒いけど温かい幸せな帰り道でした。



(家につくと理佐から、初めてのハグとキスをされたのはここだけの話。)

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