先輩。私と両思いになりませんか…?
瞳:〇〇先輩…今日もかっこええなぁ…
数学の授業中。
私は黒板も先生も見えていない。
見てるのは、校庭で体育中の先輩だけ。
顔がすっごく見える!って訳じゃないけど…
なんかもう、そこにいるのが愛おしい…!
瞳:〇〇先輩見れるだけで1日幸せやぁ…
頬杖をつきながら先輩を見る。
眺めるなんかじゃ、もったいない。
目に先輩の一瞬一瞬を焼きつけるように、見る。
"山下、どこ見てんだ?"
瞳:あぁ…〇〇先輩と一緒に体育したいなぁ…
"〇〇先輩…あー、〇〇のクラスは体育中か"
瞳:先輩がいるサッカー部のマネージャーになろうかな…
"今みたいに、やるべき事に集中できないから向いてないんじゃないか?"
瞳:あぁ…やっぱ〇〇先輩好きなんかなぁ…
"よし。山下!"
…ん?
誰か今私の事呼んだような…
クラス中を見渡すと、先生と目が合ったし生徒がみんな私を見ていた。
私の唯一の友達も。
…ってえ、まさか、
"山下。放課後残って教室の掃除な。はい、授業再開するぞー"
瞳:えっ…
"あっそうだ。〇〇への想いクラス中に響き渡ってたからな"
瞳: ……うそっ、
クラス中が私を見てクスクス笑っている。
え、じゃあ…全部…
っ…
瞳:もう嫌やぁぁっ……///
恥ずかしさのあまり机に顔を伏せた。
明日から学校休もうかな…
〇〇先輩見れないから絶対やらんけど…!
・
瞳:はぁ…お弁当も忘れるってついてへんなぁ…
授業が終わってお昼休み。
お弁当を忘れてしまい、購買に向かっている。
購買なんて行ったことないし…
まずこの道で合ってるのかもわかんないし…
〇:ん?あれ君、なにやってるの?
…え。
俯きながら色々考えていると、目の前に〇〇先輩がいた。
し、しかも、わ、私を、見てい、る、?
〇: …?おーい!
瞳:えっ!あっ、お、おはようございます!
〇:あ、うん。おはよう。笑
瞳:えーっと…その…なにを話せば…あっもう……
〇:ん?
瞳:おはようございます!!
頭を勢いよく下げる。
なんかもう私もわかんない。
絶対、変な人って思われて引かれる…
〇:あははっ、どういうこと?笑
先輩はパンを右手で持っていて、
左手でお腹を抱えて笑っている。
やばい、かわいい。
笑顔が眩しい…!
〇:君、面白いね。笑
瞳:えっ…えぇっ…!?
〇:君の名前教えてよ
瞳:えっあっ…山下瞳月です…
〇:瞳月さん。いや、瞳月ちゃん、って呼ぶね?
あぁもう…夢みたいやぁ…
溶けちゃいそう…
目を大きく見開いて、ときめいてると
先輩が近づいてきた。
私の1歩前で膝を曲げ、私の目と先輩の目が同じ高さになる。
唇の距離、約20cm。
〇:で、瞳月ちゃんはどうしたの?
瞳:えっ…
〇:なんか迷ってるんでしょ?
瞳:あっそうだ…購買に行きたくて…
〇:あー、もう売れ切れじゃないかな?
瞳:そう…なんですね…
じゃあ今日はお昼ご飯なし…
まぁでも先輩と話せちゃったし、充分すぎるほどお腹いっぱいやけど…笑
〇:んー、じゃあこれあげる
瞳:えっ…?
先輩は一瞬教室に行って、帰ってくると、
焼きそばパンを渡してくれた。
さっきとは違く私は少し見上げて。
〇:あっ、焼きそばパン嫌い…?
瞳:えっ、いや!大好きです!
先輩がくれたのなら更に、何倍も、大好きです。
〇:よかった。笑 じゃあ、はいどうぞ
瞳:あっでもお金…
〇:あーじゃあお金の代わりに、1つお願い聞いてもらっていい?
瞳:もちろん…です…
先輩は綺麗で眩しい笑顔で少し笑い、
また私に近づいてきた。
先輩との目の距離、約15cm。
〇:瞳月ちゃん。俺と連絡先交換しない?
瞳: ……へっ?
出た言葉が、へっ?なの恥ずかしいんやけど…
でも、これが私の心を表していた。
ほっんとに、へっ?って私の心がなってる。
〇:ナンパみたいだけどさ、
瞳:ナンパ…
〇:俺、瞳月ちゃんともっと話したくなった。笑
瞳:あっ…//
ほんとにあるんだ…
恋愛漫画みたいな、目の前から風が吹く感覚。
窓から暑い太陽が差していて、先輩の顔も
笑った時に、くしゃっ、ってなるのも。
全部が、より眩しい。
眩しくて、すっごく可愛くて、大好き。
〇:あれ、瞳月ちゃーん!おーい!
瞳:あっ、えっ、な、なんですか?
〇:だから。笑 連絡先交換しない?
瞳: …私で良ければ…
〇:よかった。笑 これが俺の…LINEね
先輩はスマホでQRコードを出している。
私もおぼつかない手で急いでLINEを開いて、読み込む。
普通の1連の動作なのに、全く違う。
先輩は私のこと…どう思ってるのかな…?
〇:よし。じゃまた連絡するね
瞳:は、はい!じゃあ…焼きそばパンありがとうございました…!
〇:うん。じゃあ、
"またね。瞳月ちゃん"
瞳:また…ね…は、はっ、ひゃいっ!
〇:あははっ、ほんと面白いね。笑
瞳:お恥ずかしいです…
先輩はまた優しく笑いながら手を振って、教室に戻っていった。
でも私の心には、まだ先輩からの声が残っている。
香りも、笑顔も、声も。
初めてくれたプレゼントも。
瞳:もしかして私の恋…実っちゃうんかな…?
まだ心がうるさい中、スマホが震えた。
確認するとさっき交換した先輩からの通知。
"瞳月ちゃん、これからよろしく。瞳月ちゃん見かけたら話に行くね。"
あっ、やばい、なんて返そう…
えーっと…あまり傷つけないように…
気持ちがバレないように…
"ぜひ!私も…話しかけに行ってもいいですか…?"
あっ…ちょっと踏み込みすぎたんかな…
"うん。俺は沢山、瞳月ちゃんと話したいよ。だから、いつでも待ってます。"
私と話したい…
いつでも待ってる…
やっ、やばっ…!
左手で口元を抑えて、溢れてくる笑みを隠す。
何度も見返しちゃう。
先輩からのLINEの文字を。
普通の文字のはずなのに、特別で、なんかもう文字すら愛おしくて…
瞳:やっぱ私、先輩のこと…
続きを言いそうになると先輩からのLINE。
" いつまでそこにいるの。笑
焼きそばパン食べる時間なくなっちゃうよ?笑"
あっ、あぶなっ…!
ここであの言葉の続き言ってたら先輩に…
ほんと私の口、心の言葉出てきすぎっ…!
"すいません!すぐ帰ります、焼きそばパン美味しくいただきます!"
"はーい。午後も一緒に頑張ろうね"
先輩とのLINEを脳内で何度も読み返して、笑顔が溢れそうになった。
教室に帰ってから食べる焼きそばパンの味は、
美味しくて、心にある先輩の想いをより強くさせていった。
・
すっごく幸せな1日のはずだったのに…
なんでこんな日に限って…
瞳:放課後に1人で掃除しないといけんのっ…!!
まぁでも先輩と話せたし…今日は先生を許してあげんこともない…かなっ…?笑