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子供のように可愛い彼女との日常

静かで、なにも音がしない朝のリビング。

元々静かな空間の方が好きだからか

やっぱり心は落ち着く。

温かいブラックコーヒーを

息で徐々に冷ましながら、1口飲んで、


ひ:るんちゃんの登場で〜す!


ごほっ、ごほっ、

あぶなっ。コーヒー吹き出すとこだった…


ひ:大丈夫?喉痛いの?

〇:いや、大丈夫…

ひ:あっ、コーヒー!喉乾いてたんだよね〜!


あ、それ、ブラック…

ひかる飲めないんじゃ…


ひ: …にっがっ…

〇:ブラックだからね

ひ:砂糖っ!ミルクっ!


ルンルンな雰囲気で、キッチンに向かっていく。

まだ朝というのに、寝起きとは思えないほど可愛く

未だにひかるが彼女である日常は

夢なのではないか、と

少し疑ってしまっている。


ひ:んーっ!甘くなった!

〇:お、よかった

ひ:〇〇も飲んでいいよ!

〇:じゃあ、お言葉に甘えて



〇:え…甘すぎない…?


喉の辺りに砂糖がくっついてる気がする。

苦味に関しては、全く感じない。


ひ:そう?〇〇は、まだお子ちゃまだね〜

〇:ひかるよりは大人だと思うけどなー?

ひ:あ、その目。バカにしてる!

〇:してないよ。子供扱いしてるだけ

ひ:それをバカにしてるって言うんです〜


ちょっと怒ったのか

目を細めながら、多分、睨まれてる気がする。

でも怖さより可愛さが勝っているのが事実。



ひ:どうせ私は、いつまでも子供ですよー

〇:え?

ひ:彼女より妹の方がふさわしいんですよーだ


ただ甘いコーヒーを飲みながら

独り言のように

ひかるは呟いている。

ちょっと怒らせすぎたようだ。


ひ:あーあ!お腹すいたっ!

〇:あ、なんか食べる?

ひ:んーん。1人でやる。


そういい1人でキッチンに行って、軽く料理を始めた。

さっきまでのような鼻歌はせずに静かに黙々と。

ちょっと落ち込んでるね。

コーヒーを置いて、ひかるの後ろに歩いた。


ひ:なーに。

〇:なんでもないよ

ひ:ふーん。


ほら、落ち込んでる。

普段ならすぐ抱きついてくるのに。

だから今は、俺の方からハグをした。


ひ:ふふっ、珍しいね

〇:たまにはね

ひ:私が落ち込んでるのバレた?

〇:さぁ、なんのことやら

ひ:ふーん。笑


ひかるは食パンにジャムを塗る手を止めて振り向いた。

数秒見つめあって、抱きついてきた。


ひ:子供っぽい私、嫌い?

〇:ううん、好きだよ

ひ:うんっ、知ってたけどね?笑

〇:はいはい


ハグをやめて、飲みかけのコーヒーが待ってるテーブルへ戻った。

ひかるは楽しそうに

るんるんっ!

って感じでついてくる。


〇:なんですかー?

ひ:なんとなくです〜

〇:食パンが待ってるよ

ひ:あっ、そうじゃん!


なにやってんねん。

また、るんるんっ、とキッチンに帰って行った。

こんな朝から忙しいのもいつものこと。

慣れたといえば慣れたけど、

それ以前にこの日常が好きなんだ。



ひ:どっかデート行きたいな〜


時間は進み14:00

ベットでごろーんっタイム。

ひかるの上に、毛布のように覆いかぶさっている。


〇:デートか…

ひ:どこ行きたい?

〇:んー、ひかるは?

ひ:無難に水族館とか!


あー、最近行ってないな。

付き合い始めとかは行ってたけど、同棲してからはあまり。


ひ:あ、そうだ!今からデートの寸劇やろうよ!

〇:むり。

ひ:だめ〜、やるの。ぜっっっったいやる!


こういう時は大体言うことを聞かない。

素直に従いましょう。

機嫌が悪くなる方が嫌なので。

ひかるは、人差し指でなにかを指さしながら寸劇を始めた。


ひ:ねぇ、このお魚かわいい〜

〇:あ、ほんとだー

ひ:ねっ、お魚と私どっちがかわいい?

〇:ひかるって言って欲しいんでしょ?

ひ:わかってるなら言ってよ〜

〇:んー、どっちも好きかな

ひ:やだ!ひかるだけ好きでいて?


…ちょっと待て。

これは寸劇というよりも、


〇:ひかるの罠にハメられてる気がする…

ひ:あっもう!今いいとこだったのに…

〇:あ、そうなの

ひ:はぁ…次!〇〇はどこデートしたい?

〇:んー、食べ歩きとか?


ひかるはまたなにか考えて、両手でなにかを持ってるような仕草をした。


ひ:ん!このたい焼きおいしい!

〇:ほんと?

ひ:うん!たい焼き好き〜

〇:すき焼きになっちゃってるよ


軽くボケたつもりだったのに

ひかるは、たい焼きと見つめ合いながら黙ってしまった。


ひ: …ほんとのデートじゃなくてよかったね…?

〇:え、どういう意味だ…

ひ:あー、デート行きたくなっちゃったな〜

〇:今から行くのはなぁ…

ひ:そうだねぇ…


俺は、ひかるの毛布になるのをやめて

横にごろーんっ、とした。

ひかるはそれを見て、隣からハグしてきた。


ひ:やっぱお家デートが1番いいかもね

〇:言えてる

ひ:どこか行くのはまた今度決めよ!

〇:うんうん、そうしましょう

ひ:じゃあ…お昼寝しよっか!

〇:しょうがないなぁ…笑


俺もひかるの方を向いてハグをした。

お互いの顔を近づけて、おでこをくっつける。

ひかるはこんな近くでも可愛い。

じーっ、と見たからか

ふふっ、と笑った。

間近な笑顔はよりかわいい。


ひ:私に見惚れちゃった?笑

〇:うん、見惚れてた

ひ:恥ずかしいなぁ〜。笑


満更でもない嬉しそうな顔。

ひかるの唇が近づいてきて

俺は、自分の唇に到着するのを待って

そのまま、俺の唇にひかるの唇が到着した。

離れると、ひかるは笑って俺の頭を撫でた。


ひ:おやすみ。寝すぎてたら起こしてね

〇:いいよ、おやすみ

ひ:ふふっ、今も起きても愛してるよっ!


お互いに頭を撫でて眠りについた。

こういう毎日が俺の幸せ。

ゆったりとした、ひかるの日常が俺は好きだ。

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