見出し画像

加古未来堂

道を歩くと
その前にはいつもその看板が見える。
加古未来堂と書かれた看板。
このお店はどのくらい前からあるだろか?
僕がここに引っ越してきて、10年
その頃からあるのは記憶にある。
けど、今までなかなか入ることができずに僕はただ見ることしかできなかった。  

あとはなかなか入るタイミングというか、人がいる気配がなくて入れなかったのもある。
不気味だし。  

しかし、今回は僕はついにその中に入ろうと思った
なぜそう思ったのかは未だにわからないけど、ボーナスあとでお金もあるし、謎の勇気があったんだ。
そして、僕は中に入ったんだ。
四階に上り、僕は加古未来堂と書かれた
ドアを開けた。  

入ったのはよかった。
けど、中が薄暗く電気もついていないような感じだった。
人はいるのかわからない。
とりあえず僕はこういった。  

「すいませんすいません」  

僕の声だけが反響しているだけだった。
返事は聞こえない。
いないねかもと僕はそう思い店を出ようとする。
しかし、入り口にはオープンと言う看板が書いてあった。  

僕はもう一度勇気を振り絞って
さっきの声の2倍位の大きさで声を出した。  

「すいません誰かいらっしゃいませんか」  

声が反響するだけでその奥から誰も出てくる事は無い。
僕はもう諦めようとしたその時だった。
薄暗い奥から小さい声で遅くなりましたと言う声が聞こえてきた。
奥から出てきたのは僕より2歳歳ぐらい年下の人だろうか?  

「すいませんでしたちょっとあの今来たばかりで、、」  

スタッフの女性は申し訳なさそうにしている。  

「気にしないでください私も急に来たので、」  

「今日はどういったご用件で来られたんですか」  

「えーとですねいつも気になってたんですけどここって時間を買えるって本当ですか?」  

こいつ何言ってんだろう読者の皆そう思うかもしれない。
しかしだいつも見る看板には時間を買えるお店加古未来堂としか書いていない。
だから僕は気になりつつも怪しくて今まで入ることができなかった。
今までお店に入ってるのお客なんて見たこともなかった。
ましてや勝手なイメージ老人がやってるんじゃないかと思ったら若い女の子が出てきた
摩訶不思議である。  

「時間が買えるんですが高いですよ」  

店員さんはにこやかにそう言うとポケットから何かを出してきた。
案内のようである。それを見せながら説明してくれた。  

「金額は過去未来どちらを選ぶによって金額が変わってきます後は1時間ごとに単価がプラスされていくと言う感じです」  

店員さんはそういうと料金表みたいなのを出してくれた。
説明の感じだと
過去は200,000円の手数料。
未来は出来高払い。
1時間ごとに追加料金が500円ずつかかると
言うものだ。
過去に行くとすると200,000円は行くまでの手数料になる。
結局は1日いるとなれば500円に時間を
かけるわけ金額になる。  

「ありがとうございますこれでこれでお願いした場合いつからいけるんですか?」  

嘘っぽいのは承知の上である。
好奇心とお金があるから、進めてみる。  

「今人気がありまして、今は私しかこういった仕事をしておりませんので早くても1ヵ月後のご予約になりますね」  

「1ヵ月後ですか予約ってできます?」  

昨日ボーナスが入った使い道も考えてなかったからちょうどよかったような気がした。
手数料が高いような気もするけど1日だけ過去に行くっていうのもアリかなと思った。
だから僕は手続きをすることにした  

「ありがとうございます。ではこちらの申し込み用紙にご記入お願いしていいですか?」  

そう言うと、机の奥から1枚のペラ紙の用紙を出してきた。  

そこには住所氏名年齢といったところから
今までの経歴を書く欄。
どこに戻りたいかと言う具体的なものが書かなければならなかった。  

うーん特にどこに帰りたいとか過去をやり直したいとかそういうのはなかった。
ただ単なる好奇心しかない
だから僕は住所氏名年齢今までの経歴まではきちんとかけたんだけど、どこに戻りたいどこに戻りたいと言うのはなかった。
書けない僕を見て店員さんが声をかけてくれた。  

「戻りたいって言うところがないんですか?」

「そうですね具体的にどこっていうのがなくてどうしたらいいですかね?」  

「それはそれでいいと思います。
過去ってそれがあるから今の自分があるかもしれませんし、そこを変えてしまうと今のあなたはいないかもしれないです」  

「えっとどういうことですかね?」  

「だって過去に干渉をすると言う事はそういうことですよ」  

「と言うと過去をかえてしまうと今の自分が変わってしまうってことですか?」  

「はい。生きてきた道っていうのは1つしか
ありません。訂正したらその訂正された道になります。だから過去に戻って訂正してここに戻ってくるそれができるかどうかはわからないです」  

「そういう理屈で言うと僕が10年前に1日だけ戻ったとする。そこで何かしらの訂正をする。そこから僕が今に戻ろうとすると今に戻れない可能性もあると言うことですか?」  

「はい。訂正すると言う事は過去の道を変えたと言うことになります。
その今いる道に戻ってくることができないです。今は存在はしているので戻ることはできますが、訂正した過去の時点から、今に戻ってきた間にどんな道を歩んで来たかはお客様は知ることはできません。過去にもどり、そのまま道を歩むなら大丈夫ですが、戻ってきた場合はわからなくなります」  

「過去を訂正した場合、僕はどこに戻ることになるんですか?」  

「10年前に訂正した後の道その10年後に戻ります」  

「となるとその訂正した後に戻ってきたと僕は10年間を知らないことになるから難しいよね」  

「はい。そうなります。だから時間単位で過去販売してます。」  

「なるほど訂正した過去から今までを全てがわかる道がわかると言うことですか?」  

「はいそうなります」  

「そうなんですか。さすがに10年前から今までと言うお金は僕は持ち合わせてないから、難しいかな。いや待って10年前にこだわりは無いから昨日でもいいのか未来でもいいのかな」  

「未来の場合は出来高払いになりますから、料金的には過去より数倍高いものとなりますし、未来は見たことない道になりますので博打要素が高いですよ」  

「そうですよね。どうするかなぁ」  

僕はここで止めておけばよかった。  

「じゃあ、12年前に戻るでお願いします。
12年前だから僕が高校生の時かな」  

「わかりました。具体的にはいつってありますか?」  

唐突に僕は店員さんに質問した。  

「ちなみにそこに書いてますけど僕は田辺治郎といいます。店員さんの名前と後年齢は?」  

そう聞くとショートカットの店員さんは少し戸惑いながらも答えてくれた  

「黒木といいます今年で28です」  

これを聞いて、僕はどうしたかったのだろう。  

「ありがとうございます。
黒木さんが12年前になると高校1年生か」  

「はいそうですね。それがどうかされましたか?」  

「今決めた12年前の黒木さんに会いに行くよ」  

話をするうちに加古未来堂の店員黒木さんの過去が気になりはじめた。
何故こんな怪しい店で働いているのか?そして、今は1人しかいないみたい。
このお店の過去も含めて知りたくなった。  

「えっとそれはやめてください。それはやめてください」  

「遠くから見てみるだけだから、何も干渉しません。特に戻ってやりたいこともないし」  

「はい。それなら大丈夫です」  

そう言うと僕は記入をして、手数料200,000円を払った。  

「ありがとうございますでは過去に行くのは1ヵ月後になりますのでまた1ヵ月後にご来店ください」  

「分りましたありがとうございます」  

そう言うと僕は店を出る
1ヵ月後に僕は過去に行けるのか?
怪しさ満載であるが、過去に行けるなら
楽しいかもはされない。  

終わり  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?