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5月2日のお気持ち表明

ジャックジャンヌ1周目プレイしたので所感など諸々。

以下ネタバレ含む





1周目は根地黒門ルートを辿った。

選んだ理由としては簡単、彼のようなトリッキー要素をいかにも含んでいそうなキャラクターに個人的に全く魅力を感じなかった為だ。(これには私の所謂「乙女ゲー」経験の浅さも大きく関連しているかもしれないが。)私はお弁当でも苦手なおかずを初めに食べてしまう人間なのだ。

しかし、結論としてはとても満足感のあるシナリオを追うことができた。初見では進んで道化を演じているピエロのような役回りの彼の背後に、メタ的に想起される暗い過去や精神面での陰影を感じつつ、それらがストーリーを追うにつれて王道を以て踏襲されていくような印象が全体に感じられた。

以上が個人的かつ抽象的な所感となる。以下では実際に彼のルートではその生い立ち、精神について何が語られていったのかをなぞっていこう。

このルートを読み解く上での鍵となるポイントはいくつかある。
①彼は主人公の演劇の才能(その延長線上には主人公自身がいる)に対して特別な好意を抱いている。
②彼は女性を自身から極度に遠ざけている。
③彼は自身の演劇の才能を至上のものとしている。

①についてだが彼との最初のイベントにおいてそれが端的かつ大袈裟な言葉によって示される。

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主人公の”才能”に対する求婚の言葉だ。この時点では才能のみに対する求婚であったのかもしれないが、彼は(あるいは主人公も?)このイベントを契機に主人公の存在に特別な感情を抱くこととなる。
この時点では彼にとっての主人公の性別が男であるからこそ生じた感情であり、この感情と自身の生い立ちから来る女性を遠ざけてしまう感情との対立が彼のルートの大きなテーマとなっていく。

②については『彼の父親が(おそらく)不倫の末に自死を選んでいる』という事実が根本にある。天才演出家として名の売れていた彼の父親は、女優と何らかの関係を持ったことにより演出の才能が枯渇してしまったことが示唆されており、彼は父親に自分の姿を重ね異性との交流、もしくは恋愛感情により自信の才能が消失してしまうのではないかと恐れている。

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彼に主人公の性別が女性であることを悟られてしまうシーンである。役者、演劇人として特別な感情を抱いていた対象が自身の忌避する対象である女性だと知り、彼はこれ以降父と同じく才能の枯渇に苦しむこととなる。

③自身の演劇の才能を至上のものだと捉えていた彼は才能の消失に耐えきれず、父と同じ道を選ぼうとするも、済んでのところに現れた主人公の説得により、もう一度苦しみながらも演劇と向き合うことを決意する。(この周辺から彼のイケメンポイントが過去に比類なき上昇を見せる。)

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ここから彼は最終公演であるユニヴェール公演の台本を書き上げ、さらにはこれまで脇役かつ三枚目での出演が多かった自身を主人公の相手役であるジャックエースに抜擢する。(自身を抜擢する…?)彼の最終公演における活躍はそれまでの舞台上の彼に対する評価を大きく覆すものとなる。

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かくして最終公演は大成功に終わり、才能の消失に打ち勝った彼は主人公を一人の女性として認め、今度こそ才能ではなく彼女という人間自身に求婚するのである。

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以上簡潔ではあるが、根地黒門ルートの概要であった。
『天才の苦悩』、『過去との決別』などのようなワードに反応してしまうオタクには即座のプレイをおすすめする。

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