分かりづらい供試体の本数について

コンクリートの試験で、現場で行われる受入検査の中に、「圧縮強度試験」があります。そのため、圧縮試験用の供試体を生コンから採取する必要があるのですが、その種類や本数がややこしいので整理しました。

まず、圧縮強度試験は「使用するコンクリート用」と「構造体コンクリート用」に分かれている。

使用するコンクリート
→工事現場に供給され、型枠内に打ち込まれる前のコンクリート(生コンのこと)

構造体コンクリート
→型枠内に打ち込まれ、周囲の環境条件や水和熱による温度条件の下で硬化したコンクリート 

JASS5

使用するコンクリートの圧縮試験は、生コン工場から来たコンクリートが呼び強度以上を確認して、工場と施工者で責任の所在をはっきりさせるのが目的。

構造体コンクリートの試験は、打ち込まれたコンクリートが設計基準強度以上であることを確認するのが目的です。

それでは、JASS5に記載の供試体の本数についてみていきましょう。

使用するコンクリート
1回の試験は、打ち込み工区ごと、打ち込みごと、かつ150m3以下にほぼ均等に分割した単位ごとに3個の供試体を用いて行なう。3回の検査で1検査ロットを構成する。判定結果は下記とする。
(a)1回の試験結果は、呼び強度の強度値の85%以上
(b)3回の試験結果の平均値は、呼び強度の強度以上
構造体コンクリート
1回の試験は、コンクリートの打ち込み工区ごと、打ち込みごとに行う。150m3を超える場合には、150m3以下にほぼ均等に分割した単位ごとに1回行う。1回の試験には、適当な間隔をおいた3台の運搬車から1個ずつ採取した合計3個の供試体を使用する。試験結果の判定は、1回ごと行う。

JASS5

構造体コンクリートの方がわかりやすいですね。1回の試験では合計3個の供試体を使用すると書いてありますので、150m3ごとに3本必要になります。

使用するコンクリートは、1回の試験では3個なのですが、判定するには3回の試験の平均値をとらないといけないので、合計9個必要だと読み取れます。ただ、150m3ごとに1回の試験を行うので、150m3で3本、450m3で9本が必要になります。

ここで問題になるのは、450m3も1日に打たない場合です。例えば、300m3しか打たない場合、供試体は6本しかとらないので、規定の9本を満たしていません。

この場合はどうするのでしょうか!?

考えれるケースとして、
①450m3未満の数量の中で、9本の供試体を採取する
②監理者と相談して、判定基準を変更する

私の経験からすると、②が多い気がします。

1回の試験で呼び強度以上を確認すると判定基準を変更して、問題ないとしています。

普通コンクリートの検査ロットの供試体本数についてまとめると、

使用するコンクリート
1検査ロット 450m3
150m3ごとに3本
合計 9本
(450m3未満は要相談)

構造体コンクリート
1検査ロット 150m3
150m3ごとに3本
合計 3本

以上です。

ややこしいので一度自分でも整理することをお勧めします。
JASS5はもちろんですが、下記の本もわかりやすいですよ。

▼JASS5が改訂されました。※今回の内容はJASS52018版を参照しています。


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