着物と私

着物の思い出

お祭りや盆踊りには浴衣、お正月にはウールのアンサンブル、子供の頃は、季節の行事と着物がセットでした。

教室に通って着付けを覚えた母も、着物で出掛けたり、授業参観に着てきたり、ご近所の方の着付けを請け負ったりしていたので、着物を身近に感じながら育ちます。

成人式には興味がなく、ホテルで振袖をレンタルし、スタジオと庭園で写真撮影だけ。「振袖、要らなーい」と思っていたけれど、沢山ある中に赤い総絞りの振袖を見つけ、嬉しかったことはよく覚えています。

着付け教室に通う

時が経ち、仕事から解放される休日に思い切りリフレッシュしたいと考えた私は、母の着物に目を留めました。着物を着たら時間もゆったり流れ、心も豊かになるはず。習う行為も楽しみたかったので、母に教わるのではなく、月2回のペースでカルチャースクールで着付けを学び始めます。

指定の用具一式の購入とタオルで補正用ベルトを作るところからお稽古が始まりました。言われるがままだったあの頃を思い出すと今では微笑ましくもありますが、補正ベストの上に手作りベルトを巻くという補正ありきの着付けが私のスタートでした。

ひと通り着られるようになると、行きは洋服、帰りは着物がお稽古のマイルールになりました。ところが、あるとき、電車の扉に移った自分の着姿に愕然とします。衝撃の「つんつるてん」でした。着物の身丈が足りないのではなく、着丈の合わせ方を知らなかったのです。教室では、鏡を見ないで着られるようにというご指導でしたが、この出来事をきっかけに、美しく着たいと思うようになりました。

そんなときに出会った一冊の本から石田節子流着付け教室の門をたたきます。着付けはもちろん、着物のおしゃれが楽しくて、寝ても覚めても着物のことを考えるようになり、最終的には着付け講師の資格、フランチャイズの看板も取得しました。

着付け教室を開く

仕事を辞め、自宅で着付け教室を開きました。私自身がそうであったように、よく分からない着付けや着物というものを知ることで、ネガティブな先入観が「楽しい」に変わる可能性を感じました。一人で何ができるか分からないけれど、できることをやってみようと思ったのです。

それから8年半。友人、知人、ご近所の方、HPやブログを見てお越しくださった方、いろいろな出会いがあり、着物に対する思いや願いを知る度、着物が持っている見えない力を感じました。

着付けを軸に、染めや織、和裁、伝統工芸や伝統芸能などに興味・関心が広がったのも大きな収穫でした。

一ユーザーに戻る

その教室を今月末で閉め、一ユーザーに戻りますが、着物との関わり方が変わっても、着物に対する想いは変わりません。

短いながらも着物業界の隅っこに身を置いたことで課題も沢山見えました。着付け教室とは別の形になると思いますが、またいつか、着物と関わる活動ができたらと願っています。

そして、この機会に、これまでjugem(ブログ)とpetit(日記)で投稿してきた記事を再編集し、このnoteにまとめようと思い立ちました。いつか、どなたかのお役に立つことがあれば嬉しく思います。

整理しながら、少しずつ投稿しますので、どうぞご覧ください。

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