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わんこの尿石症のおはなし 

尿石症とは?

簡単にいうとミネラルが結晶化して石になって詰まってしまうことです

尿石症には複数種ありますが、

ストルバイト尿石症
シュウ酸カルシウム尿石症

これらが代表的です

尿石症は食べ物だけが原因で発症するものではありません
人間もそうですが、水分量が足りないことで血液が濃縮されてしまい、濃縮されるということはそれだけ成分が濃くなってしまうので発症にもつながります


治療のおよび予防目的


治療および予防にあたっては大きく3つあげることができます

①そもそも石を作らないようにする=口に入るものをコントロール
②石を作ってしまう環境を防ぐ=飲水量を増やし排泄させる→水分摂取を促す食事にする
③石の元になる物質が結晶化することを防ぐ=結晶化を防ぐための薬を服用する

石ができやすい子に関しては日常的に予防が必要なことから、①、②を実施し、なおかつ③という取り組みをすることで予防につながります

では、それぞれが具体的にどういったことを指すかを説明します


①石を作らないような食事

そもそも食事に限らず、口に入るもので予防が必要となります
わんこにミネラルウォーターはNGということを聞いたことがあると思います

この理由は、そもそもおおよそのわんこたちは市販の総合栄養食を食べていることから、すでに完成された整った栄養素にあえて過剰な栄養素を摂る必要がない(過剰にとることでのリスクもある)ので、水道水で大丈夫という話です
ミネラルウォーターはその名の通り、”ミネラルが多い水”です。尿石症のもとになるカルシウムやマグネシウムを多く含んでいます。このことからも日常的に飲む水をミネラルウォーターにすると発症リスクが上がることがわかると思います


シュウ酸カルシウム尿石症の食事

制限が必要な栄養素がいくつかありますが、食事に関してはシュウ酸も石のもとになることは知られていると思います

シュウ酸が多い代表的な食材は

  • セロリ:200mg/100g

  • ほうれん草:800mg/100g

  • ブロッコリー:300mg/100g

  • さつまいも:250㎎/100g など

シュウ酸は水溶性なので、ゆでることでお湯に溶け出して最大50%程度減少されることがわかっています
調理の際はゆでてしっかり水を切ることがポイントとなります

他にカルシウムの制限も必要ですが、高カルシウム食材としては乳製品が頭に浮かぶと思います
牛乳やチーズ好きなわんこも多くいると思いますので、摂取を控えるだけでも効果的です


シュウ酸カルシウム尿石症のpH

シュウ酸カルシウム尿石症は尿pHが酸性になると結晶化するため、アルカリにもっていく必要があります。


ストルバイト尿石症の食事

栄養素としてはたんぱく質、リン、マグネシウムの制限が必要であり、たんぱく質は乾燥重量あたり8%以下、リンは0.1%以下、マグネシウムは0.02%以下にする必要があります

ストルバイト尿石症のpH

ストルバイト尿石症は細菌性の尿路感染で引き起こされていますが、尿pHがアルカリになると結晶化されてしまいます


②石を作る環境を防ぐ

水分不足になると尿濃度は濃くなるため、その分結晶化は進みます
できるだけ尿濃度を低くするほか排泄させるようにしますが、わんこ自身で積極的に水を飲むことができないため、物理的に摂らせるようにします

具体的にはフードの味を濃い目にすることでのどの渇きを促し、水分摂取量を増やすということになりますが、フード自体も水分が多い状態にすることは有効的です
なお、塩分は人間は摂取量の制限が厳しいですが、わんこの場合は上限値は今のところありません
だからといって極端に塩気の強いフードはおすすめできません


③結晶化を防ぐための薬を服用する

尿石症の種類によって有効な薬の違いがあります
食事療法だけでは難しいといった場合に治療薬を使用することもありますので、かかりつけの獣医さんの指示に従いながら服用をしましょう


最後に

尿石症になった場合、手作りフードだと計算やら食材のチョイスが大変になることから、療養食を勧められることが多いと思います
細かな配分もされているため、うまく活用して予防を取り組むことは大切です
それでもフードが合わないなど出てくることもあるため、そういった際に悩まずにまずは獣医さん、われわれのような専門家にご相談が間違いないはずです

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