【レディープレイヤー1】仮想現実でうまい飯を食うために
READY PLAYER ONEを観ました。
ファーストインプレッションを忘れないため、思考の整理のため、考えたことをダーッと書き残します。
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この記事はネタバレを多いに含みます。
未視聴の方は充分にご注意ください。
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先に言っておきますが、私は固有名詞を覚えるのが極端に苦手なので(調べればいいんですが、今は調べるより先に所感をメモしておきたいので)かなり変な指示名詞ばかりになります。ご容赦ください。
で。
観ました、『READY PLAYER ONE』。
↑事前に読んでいた感想(ネタバレ無し)で一番アツかったのはこちら。熱量で殴りつけてくる名批評なのでぜひ読んでみてください。
ふんわりTLを観ていて察していたのは「オタクが報われる」「オタクの夢が詰まってる」みたいな、オタクエクスプロイテーション映画(いい意味で)という感じだったのですが…結論から言うと、良いところはいっぱいあるんですが私は結構フラストレーションが溜まる終わり方をした映画でした。
時系列を追って「ここが良かった」「ここが納得いかねぇ」とコメントアウトしていきたいと思います。
①ディストピア警察
ディストピア描写が大好きなので結構うるさいのですが、割と好きでした。
強いていうなら電気・通信のインフラはどうなってるの?という素朴な疑問はありましたが、まあ2045年だし!きっと想像だにしないテクノロジーとかがあるんだと思います。
インフラといえば、主人公が住んでるあの無名街っぽい荒れた街、あんなに無秩序にコンテナハウスを積み上げる理由って何なの?って疑問でした。もっとこう…もっと…こう…キッチリ並べろよ!ほら!カプセルホテルみたいに!ディストピアってそういうことだろ!ほら!
→多分だけど、デジタル空間のピシッと整列した印象と区別するための「ガチャガチャ感」の演出なのかなあ?
②HUDである必要性
HMDじゃなくてHUDなのは、たぶん役者の目の演技が映したいから?
現実と見紛うような超高画質描写(しかも深度がある)なら、HUDじゃなくてHMDの方がいいんじゃないかなあと思いました。2眼のやつ。
でもこれも2045年パワーで解決してるんだと思います。
③主人公、theオタクって顔で好き
主人公、見るからにオタクっぽい顔で好きです。
④ヤマアラシヘアー
アルテミスの髪の毛がヤマアラシっぽいのがなんかこう…中高生ぐらいのサブカルかぶれの女の子が「ヤマアラシのジレンマ」って言葉を知って、これってアタシのことだ…って思ってLINEのアイコンをヤマアラシの写真にしてるみたいなのと同じ感じがすごくこう…こう…イタい!好き!
⑤レースシーンでBGMが無い
これめちゃくちゃ個人的な感覚なんですけど、あの序盤のレースシーンでBGMが無いのが結構意外でした。
グランツーリスモならまだしも、あんな「めちゃくちゃ写実的にしたマリオカート」みたいなドンチャン系レースゲーム、BGMがある方がゲームっぽくないですかね?? 主催者が音楽を流していなかったとしても、キャラクターが音楽を流すとかして(それこそJohnny B. Goodeとか)演出として音楽をかけてもいいんじゃないかなと思いました。そういえば今回、ラストバトル以外BGMらしいBGMがかかっていなかった印象があります。なにか意図があるのかなあ?
⑥ガンダルフみたいな人のテクスチャ感
ガンダルフみたいな人の着てる服のキラキラした粉っぽいテクスチャ感がすごい好き。
⑦IOI社の統一アバター好き
顔部分にLEDでなにか表示されてるだけで加点しちゃうタイプのオタクなのでIOIの統一アバターはかなり好き。欲を言えば顔面のLEDの内容が変化してほしかった…
⑧ダイトウさん…💗
ダイトウさんも車かバイクを操縦してレースを走ったんだって思ったらめっちゃ萌えませんか。個人的には、あの甲冑+日本刀には、デカい二輪が似合うと思います。完全に私の妄想です。
⑨言い忘れてましたがタイトルの出方が粋っぽい
GotGほどとは言えませんが、タイトルの出方が「なるほど!」と言わせる感じだったので結構好きです。フォントとかにもう少しこだわって、
Ready
Player ONE◀
とかにしたらもっとよかったんじゃない?って1ミリぐらい思うけど。
⑩シャイニングオマージュ
「シャイニングのシーンが面白いよ!」と聞いていたので楽しみにしていました!シャイニングが好きなので、このシーンはかなり好きです。VRChatにシャイニングworldありませんか?おねえさんとRP1ごっこをしよう、な。
⑪痣ぐらいでピーピー言ってんじゃねえ
アバターを介して恋愛をしたとき、
「本当(現実)の私を見たらガッカリするよ」という言葉が意味するのは、顔面に痣があるとかそういう次元の話じゃねえんだよ!!!!
このへんから一抹の「嫌な予感」が私の脳裏によぎり始めます。
案の定、なんかこう…こう…「痣があったって君は綺麗だよ」的な空気になる主人公。当たり前や!!!!めちゃくちゃ美少女やんけ!!!
オタクが「本当の私を見たらガッカリするよ」って言うときはな、お前、デブでニキビ面で瓶底メガネ、眉毛はボサボサで、靴下は両足とも穴が空いてる、光熱費は滞納するけどフィギュアは発売日に絶対買う…みたいな状態のことを言うんだよ!!!2万回生まれ直して、出生時ガシャで容姿Eを引いてから「本当の私を見たらガッカリする」って言ってください。もし本当にあなたみたいな美少女を見てガッカリするような人がガチの限界オタクを見たら多分口から泡を吹いて気絶すると思います。
でもこれは映画なのです。
映画の世界では彼女がオタクの標準的な容姿なのでしょう。南無三。
⑫パスワードガバガバ問題
パスワードガバガバで草
⑬車内型フルトラシステム
操り人形式フルトラッキングシステム!良い!このDIY感!いいぞ!持ち直してきた!突如として座禅を組み始めるダイトウさん!何してるんですか!どのモビルスーツにするか悩んでるんですか!
⑭サマーウォーズ式オタクアッセンブル
オタクがそれぞれの心の一張羅を着て大集結。涙もろいのですぐウルッとしましたが、よくよく考えたらこれ重課金勢大集結ってことですよね。持ちうる装備を強い順にソートして、スロットに入れられるだけ入れて持ってきたと思うんで、通信量ヤバいことになってるんだろうな〜って思ったらちょっと楽しい気持ちになりました。
というか、この世界の通信技術と平均的GPU処理能力ってどんな感じなのでしょう?あれだけの人数を並行処理できるだけのGPUをだいたいみんな持ってるってことですよね。GTX2万ぐらい。
「処理落ちしないように髪の毛の物理切ってから参加しましょう」とか「パーティクル削減してから参加しましょう」とか相談して自治があったのかな〜と思うとなんか面白いです。馬鹿みたいに重いアバターを持ってきた人があとで5chとかRedditで晒し上げられるまでがワンセット。
⑮俺はガンダムで行く
ダイトウさん!何してるんですか!モビルスーツまだ決められないんですか!決まったんですか!早く行ってください!そのガントレットいつ使うの!今でしょ!(デスミーム)
たった2分で描かれる「特攻、そして夢を託しての死」が忙しい人向けの大和魂って感じで、笑っちゃうぐらいカッコいい。
私は初号機で行く。
⑯I'll be back…
レディープレイヤー1は感動した。特にラストシーンで親友が親指を立てながら溶鉱炉に沈んでいくシーンは涙無しには見られなかった。
⑰車内型フルトラ装備、結構優秀じゃない?
主人公が途中で手に入れてたX1ナンチャラという高級なスーツ、触覚が売りっぽかったけど、普通に車内型フルトラ装置でも「蹴られた」主人公は吹き飛んでた。車内型、そこそこ優秀じゃない?
むしろ股間に触覚伝達が無い分、なにげに車内型の方が有利。
⑱最後に君を試したんじゃよ
うるせーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!
でも好きーーーーーーーーッ!!!!!!!
オタクが古くから嗜んできた「最後の優しさが実は最後の試練」タイプの展開、まさにオタクのための演出という感じで、臭いけど好き。
そして主人公は絶対にそのひっかけにひっかからず、ちゃんと正解を選ぶ。このテンプレ。水戸黄門や遠山の金さん的な安心感ですね。
⑲現実でしかうまい飯は食えないのか問題
ここからが本題。そして、ここからが私の最大の「それってどうなの?」ポイントなので、議論を恐れずに自分の意見を述べます。
OASIS創設者ハリデー氏及び主人公は「現実(物質的現実)だけが本当のリアルである」というところに着地しましたが、本当にそうなのでしょうか?本当にそれで納得できましたか?私はできませんでした。
ハリデー氏は言います。現実は生きづらいと感じていた。人とどう向き合えばいいのか分からなかった。これは私もとてもとてもよく分かりますし、現在VRChat的なコミュニティでイキイキしている人の多くも納得する感覚だと思います。そのために生まれたのがOASISであり、OASISはその「生きづらさ」から解放された救いの地だったはずです。
主人公は最終的にそのOASISの運営権を得て、「現実だけが本当のリアルだ、リアルを大切にしよう」と言って火曜・木曜はOASISを全世界的に遮断(休業)します。
……なんてむごいことを。
これは(スピルバーグ氏を主語にしていい問題なのかはちょっと分かりませんが)スピルバーグ氏はまだ現実への絶望感が足りていない感じがします。私の、現実への絶望感は、そんなおべんちゃらで受け流せるようなものではありません。文字通り「生きづらい」し、文字通り「苦しい」んですよ。
想像してみてください、例えば、常に全身が激痛に襲われていて、とある装置をつけたときだけ痛みが和らいで落ち着いて生きることができる人に「痛みはリアル、大切なものだからね、火曜・木曜はその装置をオフにしよう」って言えますか?本当に?
呼吸器をつけないとろくに呼吸も出来ず、窒息死寸前の低酸素状態になってしまう人に「息苦しいのがリアルだからね、火曜・木曜は人工呼吸器を止めよう」って言えます?
しょせん仮想現実を「楽しむ」程度でしかとらえていない人には、仮想現実がいかに私のような「生きづらい」人たちを救ったのかが分からない。現実でしかうまい飯が食えない?ナンセンス!私は「仮想現実でもうまい飯が食える方法」を探す。まだ無いのなら作り出す。その原動力は物理現実への絶望と、仮想現実およびそれが作り出す未来への好奇心です。
"健常な"人々が「これこそがバーチャルではない、リアルな、本物の喜び」と言ってセックスしている間に、私は闇の中で鍋をかきまぜる魔女のように黙々と仮想現実を開拓するでしょう。
なぜなら、仮想現実こそが私の「リアルな、本物の喜び」のありかだから。
追記:
いや、でも本当画面とか超〜〜〜リッチな3DCGだったし、法務部過労死レベルの版権キャラ大集合っぷりとか超ニヤニヤしたし、楽しい映画だと思います!
Twitterで「サマーウォーズとVRChatを足して2で割って何かをまぶした感じ」って書いてたんですけど、あれですね「ナルニア国物語をまぶした感じ」ですね。試練を1つ1つ乗り越えて、最終的に「キミがこれからこの国を統治する王さまだよ^^」って任命してもらえるタイプの試練モノ映画。スッキリした〜!
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