韓国コスメに日本一詳しい男子が、コスメヲタを辞めるまでの「黒歴史」を暴く

韓国コスメに日本一詳しい男子が、コスメヲタを辞めるまでの「黒歴史」を暴く

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先日、某美容系ウェブメディア編集長の話を聞く機会があったのだけど、コスメの話にテンションが上がってしまい「今年の注目コスメはなんですか?」なんて、その日のテーマから全く外れた質問をしてしまった湾岸在住男子、32歳。それもそのはず、大学生の頃から社会人初めにかけて、知る人ぞ知る(!?)コスメヲタだったのだから……。今回は、そんな私の黒歴史を暴露してみようと思う。

初めてのバイト代は「CLINIQUEのメンズコフレに費やす

時計の針を2005年まで戻す。幼い頃からミーハーな性格で、ファッションやカフェ、デジタルガジェットまで、自らのライフスタイルを彩るアイテムなら何でも興味を持っていた私。大学生で東京に出てきてからはクールな都会の生活を強烈に意識し、当時ムーブメントになっていた「メトロセクシャル」という新たな男性像に刺激を受け、「メトロセクシャルこそ自分の目指す生き方かも」なんて浮かれていた。

そして、大学生活も半年を過ぎた頃、初めてのバイトを経験する。確か、文字入力の内職系単発バイトだっただろうか……。思ったほど苦労もせず稼いだお金を手にし、向かった先は池袋にある西武百貨店のコスメコーナー。当時、毎日見ていたメトロセクシャルの情報を発信するブログで「CLINIQUEのポーチ付きメンズコフレが発売になります」という記事を見たからだ。あえて人の少ない平日昼間を狙い、CLINIQUEのカウンターを訪れるとBAさんが優しく案内をしてくれた。

「カミソリでお髭を1回剃るだけで、皮膚の保護層は5枚も剥がれるんです」

このセリフに衝撃を受け、5000円のコフレを即買いした。

もちろん、それまで何もスキンケアをしてこなかったわけではない。中学生の頃からニキビ対策の洗顔・化粧水は使っていたし、無印良品に化粧水を塗るコットンを買いに行くこともあった。韓国に旅行で行ったときは、俳優クォン・サンウがモデルをやっていた「THE FACE SHOP」でオールインワンジェル(化粧水と乳液が一つになったもの)を買い、使っていた。だから、他の男子よりも、スキンケアの知識はあったはずだ。でも、保護層5枚の話をされたら、

(ヤバい。お肌大事にしなきゃ……)

となって当然。コフレ購入がきっかけとなり、積極的にスキンケアに投資をするようになった。

韓国コスメとの出逢いがコスメへの関心をエスカレートさせる

そして、もう一つのきっかけが「THE FACE SHOP」の日本進出。前述のオールインワンジェルが、思いのほか使い心地が良かったこともあり、2005年年末の日本第1号店オープンを狙っていた。

場所は川崎――。東京じゃないことに驚きもしたが、若くて行動力のあった私には「行く」以外の選択肢はない。オープン初日のお昼前、授業の合間を縫って高田馬場から川崎に向かった。

お店に到着し、ぐるりと店内を見て回っていると、店内が少しザワつくのを感じる。19歳の若い好青年(自分で言うな)がコスメ専門店に来たのだから、当然と言えば当然だ。残念ながらお目当ての商品は見つからなかったが、お会計をしているときに店長が話かけてきてくれた。

「うちでバイトしませんか?」

突然の誘いに驚いたが、聞くところによると「韓流好き」が転じてお店を開くことになったそう。私も高校生のときからK-POPやドラマ、映画が大好きで、大学2年生の後期から韓国への交換留学も決まっていた。数日考えた後「韓流好きの人も多いし面白そうかも」ということで、年明けから「コスメ店員」としてバイトをすることに決まった。

しかし、店員としてお客様を対応するとなると、スキンケアだけではなく、メイクの知識も必要となる。コッチでもなければソッチでもないただの男子大学生が、化粧の仕方なんて知る由もなかった。そこで、お客の少ない時間に、同じバイトのお姉さま達に教えてもらうことに。ベースにファンデ、リップ、アイメイク、チーク、そしてメイク落とし……。全ての知識が叩き込まれ、身に付いた。

その後、コスメへの関心はエスカレート。メイクをするわけにもいかないので、当然スキンケアのほうが詳しかったが、バイトの休憩時間にはバックヤードに置いてある『美的』や『MAQUIA』(『VoCE』は無かった……)を読んだり、mixiのコミュニティを活用しながら、ありとあらゆるトレンドをインプットしていった。

韓国コスメに日本一詳しい男子が、留学中に増えたものとは?

そして、2006年9月、念願の韓国留学がスタート。週末になると毎週のように明洞や江南に出向き、新製品をチェックするのが習慣化する。値段も手頃なおかげで購入量も確実に増加し、寮の部屋に備え付けの本棚の1段は化粧水、乳液、クリーム、美容液、マスクシートで溢れ「コスメ棚」と化した。

この頃から、自らの努力が実を結び始める。女子と隔てなくコスメの話題で盛り上がり「オススメの韓国コスメを教えて?」と相談依頼が増加。ショップ店員とも顔馴染みになり、サンプルやプレゼントを沢山貰うようになる。大学の国際祭でソーラン節を披露した時は、男子のメイクを担当し日本チームの優勝に貢献した。多分、このときの私は「韓国コスメに日本で一番詳しい男子」と言っても過言ではなかったはずだ。

ただ、知識の育成に反比例し、自分のお肌は下がり調子だった。異国の地にいるストレスに、過度なスキンケアの使用が重なり、ニキビが大増殖。当時の写真を今見返しても……、酷い!

(なんとかしたいな、このニキビ……)

毎日そう思いながら過ごす日々。留学生活も後半に突入し、異国の地での生活にも慣れ、韓国人に間違えられるほど語学も堪能になり、彼女もできたりした。だが、肌の調子は相変わらずだ。バス停で隣にいた50代くらいのオバサンに、ニキビに効くサプリメントを売っている人の名刺を渡されたこともあった。(怖くて連絡しなかったけど…。)

そんな矢先、急性胃腸炎で大学近くのクリニックに通うことになる。すると、そこの院長がお腹の診察がてら私の肌を見て、

「ここ、皮膚科もやってるしエステもやっているから、1回試してみない?」

と「ケミカルピーリング」を勧めてきた。どうやら、エステの方は院長の奥様が担当しているらしい。値段を確認すると4回で150,000ウォン! 比較的安かったこともあり、試すことにした。

毎週、授業の合間に予約を入れて通うこと1ヶ月……。異国の地で初めて体験する皮膚科スキンケアは効果テキメンで、新しいニキビくんが顔を出さなくなってきた。赤みもだんだん引いていき、思春期前の肌に近づいていく。知人にも肌の変化を褒めてもらうことが多くなり、嬉しかった。

結局、ニキビ跡をよりキレイにする「スケーリング」まで実施。2ヶ月で500,000ウォンほどしたが、成果を考えると合理的な買い物だったと思う。

ちなみに、皮膚科で施術後に塗ってもらっていたのが、ブーム前夜のBBクリームだ。今ではすっかりメイクアップの定番として市民権を得たが、元々は皮膚科でピーリング後に肌を保護するもの。赤みがあっても色が入っているのでカバーしてくれるし、UVカットや保湿、保護までしてくれて、しかもメンズが塗っても自然な仕上がり。当時の韓国では「センオル(すっぴん)メイク」が定番だったこともあり、BBクリームは「HANSKIN」を中心に爆発的人気となった。メンズ向けのBBクリームも沢山発売され、私も即買いして毎日使っていた。

社会人になって揺らぐ「自分の居場所」……。私がコスメ好きを辞めたワケ

帰国後も大学卒業まで「THE FACE SHOP」でアルバイトをし、IKKOの一言で突如日本にも巻き起こったBBクリームブームを体感。肌の調子もまずまずで、キレイになった肌を維持しようとスキンケアに余念がなかった。韓国には数ヶ月に一度行き、お目当てのコスメを大量に買い込み、普段使いのアイテムは「Gmarket」という韓国のオンラインモールから個人輸入をしていたほどだ。

そして大学卒業後、外資系の電機メーカーに就職した。コスメ業界に入る願いは叶わなかったが、大学時代にコスメと同じくらい力を入れていたモバイルガジェットに関するブロガー活動が実を結んだのだ。

しかし、いざ配属されて、デスクにフェイシャルミストやハンドクリームを置いていると、変な視線で見られる。隣の上司に「女子か」と突っ込まれるくらいは想定内だが、自分が参加していない会議のアイスブレイクで、「コスメ好きで内股のあいつはコッチかもしれない」とネタにされたのには衝撃しかない。10年前なのでこれくらいのdisは仕方が無いと言えばそうなのだが……。そのときは、傷ついてしまうのも嫌だったので、自分でも一生懸命ネタにしていた覚えがある。

するとある日、同期の女子が知り合いの「コスメ会みたいなもの」に誘ってくれた。これがヤバかった。正直、あまり思い出したくないが、所謂「ツテが無いと買えない系」のコスメ。職場でのdisもあったせいか、自分の「コスメ好き」を認めてくれる場所を見つけた気持ちになり、とても居心地が良く入り浸ってしまった。しかし、「ツテが無いと買えない系」のことをよく知っている身内から色々と指摘を受け、更に妻と付き合い始めるタイミングも重なり、足を洗った。キレイになるためのコスメが、人生の「汚点」となった瞬間だった。

それ以降、コスメに対して熱狂することは無くなった。身についた知識がそう簡単に消えることはないので、妻とORBISやFANCLに行ってお喋りしながら買うことはザラだし、洗顔と化粧水くらいは家に常備している。ただ、2010年に会社の忘年会でKARAの「ミスター」を女装して踊って以来メイクもしていないし、スキンケアへの投資も抑制。カバンのポーチにメンズBBが入っていることもなければ、妻の化粧ポーチの中身を把握していることもない。一時はキレイになっていたニキビも、ストレスフルで不規則な社会人生活を続ける中で再び絶え間なく出てくるようになった。

私の中の「コスメ好き」が再起動する。

そして、現在――。冒頭の美容系ウェブメディア編集長の話を聞きながら、コスメの話題にときめいている自分がいた。やっぱりまだ自分はコスメ好きなのだ。何年もサボってきたスキンケアにまた力を入れようと、数ヶ月前に知人から貰ったピーリングジェルを試した。化粧水の吸収も肌の感触も全然違う。やはり、スキンケアの努力をすれば、肌は裏切らない。

取り急ぎ、ちゃんと泡立てて洗顔することと、メンズBBなどで顔のUV対策をすることは、気を付けていきたい。また、相変わらずニョキニョキと出てくる吹出物をどうにかしたいので、どこか皮膚科に通おうと思っている。

嘗て私が目指していた「メトロセクシャル」は、ここ数年で死語になった感があるが、それはかつて特異とされていた消費行動が一般化してきたと見てもいいだろう。メンズ向けメイクアップ商品も去年あたりから数多く登場し始めたことからも、時代の変化が読み取れる。もしかすると、今こそ「私、コスメ好き男子ハジめました。」と宣言するにはグッドタイミングなのかもしれない。

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東京・湾岸エリアの「ヒト」「コト」(ときどき「モノ」)に焦点をあて、湾岸での暮らしを満喫する人たち(=wanganista ワンガニスタ)のライフスタイルを発信していきます。このnoteでは、サイトでは語れない「編集長こぼれ話」を書いていきます。