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5ちゃんねるなどの匿名掲示板で誹謗中傷を受けた場合の対応方針

インターネット上には,5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)をはじめとする匿名掲示板が多数存在します。

このような匿名掲示板では,誹謗中傷が問題になることが少なくありません。

このnoteでは,法律事務所としての対応の経験を踏まえ,このような匿名掲示板における誹謗中傷を受けてしまった場合の対応方針について,ご説明します。

5ちゃんねるなどの匿名掲示板で誹謗中傷を受けた場合の4つの対応

匿名掲示板で誹謗中傷を受けた場合,まずは(1)問題となる投稿(書き込み)の削除を実現したいところでしょう。

そして,必要な場合には,(2)誹謗中傷を行っている投稿者を特定するための措置も講じることが考えられます。

また,投稿者を特定できた場合には,(3)その投稿者に対して損害賠償請求を行って民事上の責任を追及していくほか,(4)投稿者に関する刑事告訴を行い,刑事上の責任も追及されるように働きかけることが考えられます。

匿名掲示板における投稿(書き込み)の削除を実現する手段

匿名掲示板における投稿(書き込み)の削除を実現するための手段としては,大きく分けると,(1)メールなどの手段によって匿名掲示板の管理者に対して削除を依頼する方法と(2)仮処分命令を申し立てる方法の2つが挙げられます。

このうち(1)の方法が(2)の方法よりも簡易なものとなりますが,管理者に対する削除依頼の方法は匿名掲示板の種類によって異なるため,(1)の方法を採る場合であっても,匿名掲示板の対応方針等を調査した上で,適切な方法で削除依頼を行う必要があります。

削除依頼の方法によっては,削除依頼を行っていることが公表される可能性があるため,その点には十分に注意が必要です。不安な方は弁護士に相談してみると良いでしょう。

(2)の仮処分命令の申立ては,裁判上の手続であるため,(1)の削除依頼の方法よりも少し複雑かつ労力のかかる手続となります。しかし,(1)の方法では削除されない投稿(書き込み)の削除を実現できる可能性もあります。

 特に5ちゃんねるに関する投稿(書き込み)の削除については,こちらの記事もご参照ください。

​5ちゃんねるなどの匿名掲示板において誹謗中傷を行う者を特定する方法

将来,同一の投稿者によってさらなる誹謗中傷等の投稿(書き込み)が行われてしまう可能性を排除するためには,誹謗中傷を行う者を特定することが重要です。

こちらの記事でもご説明しているとおり,誹謗中傷を行う投稿者を特定するための手続は,次のような流れで行うことになります。

特定の2ステップ

最初に,匿名掲示板の管理者等から投稿者が投稿(書き込み)の際に使用したIPアドレスの開示を受けます。 

 続いて,そのIPアドレスに紐づいている契約者情報(投稿者の氏名や住所等の情報)について,投稿者と契約を締結しているインターネットサービスプロバイダから開示を受けます。 

匿名掲示板において誹謗中傷を受けた場合の投稿者の特定については,こちらの記事もご参照ください。

※ なお,特定のIPアドレスが常時同一の契約者に割り当てられているケースは多くはありません。そのため,厳密には,IPアドレスの情報だけでは契約者情報の開示を受けられず,IPアドレスが使用された日時の情報や,そのIPアドレスを使用して投稿を送信した送信先の情報端末に関する情報が必要になる点には注意が必要です。

誹謗中傷を行う投稿者を特定できる期間

このように,5ちゃんねるなどの匿名掲示板で誹謗中傷を行う投稿者を特定するためには,上記のような2段階のステップが必要になります。 

 注意すべきは,この2段階目のステップとの関係で,誹謗中傷を行う投稿者を特定できる期間は限定されているということです。

 インターネットサービスプロバイダは,IPアドレスと契約者情報を紐付ける記録(誰にどんなIPアドレスを割り当てていたのかという記録)を保有していますが,この記録(アクセスログ)は永久に保存されるものではありません。

アクセスログが削除されてしまうと,1段階目のステップでIPアドレスの特定に成功したとしても,そのIPアドレスの情報をもとに氏名や住所等の契約者情報を特定することはできなくなります。

アクセスログはおおむね3か月から6か月の間に削除されるため,5ちゃんねるなどの匿名掲示板で誹謗中傷を受けた場合には,可能な限り速やかに,IPアドレスを特定するための措置を講じ,できれば3か月以内に,IPアドレスの開示を受けられるように努めるべきです。

アクセスログ

最後に

今回のnoteでは,5ちゃんねるなどの匿名掲示板において誹謗中傷を受けた場合の対応方針についてご説明しました。

匿名掲示板における誹謗中傷を放置しておくと,SNSなどによって拡散されてインターネット上から投稿を削除することが困難になる可能性も否定できません。

また,上記のようにインターネットサービスプロバイダにおいて保存しているアクセスログが削除される可能性にかんがみると,誹謗中傷を放置してしまうことには,誹謗中傷を行う投稿者を特定できなくなるリスクもあるということになります。

5ちゃんねるなどの匿名掲示板において誹謗中傷を受けた場合には,気にしなければいい,仕方がないなどと無理に我慢する必要はありません。

可能な限り早期に,解決に向けた一歩を踏み出すことをおすすめします。

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