生きる LIVINGを観ました

黒澤明監督の名作をカズオ・イシグロ氏が脚本でリメイクしたやつ。

あらすじとしては
イギリスロンドンのお役所に新人(補充要員)が一人配属された。彼の上司でありこの物語の主人公であるウィリアムズは初仕事を渡す。課に来たご婦人たちのご要望を叶えるために役所内の案内と付き添いをやってほしい。ベテランの部下はこうおだてる「新人にその仕事を任せるのは正解だ」と
「下水だまりになっている空き地を整備してほしい」婦人たちの要望は公園課、都市計画課などを一日かけて回り最後にウィリアムズの市民課へと戻ってきた。そういうものなのだ。
そんななかウィリアムズは病院でとある宣告を受ける。命に期限がついた。
家族に打ち明けようとも邪険にされ話す時間を作ってもらえずやがて彼は仕事を無断で休み海が見える街へと出掛けた。旅先で出会った劇作家と夜遊びを共にし享楽に没頭するがウィリアムズは一度席を外し物陰で血を吐いていた。死が現実味を帯びていた。
その後、ロンドン市内で帽子を見ているところを部下のマーガレットに出くわす。「転職先への推薦文を書いてほしい。」それならばと共にカフェに入りマーガレットの話を聞く。どうやら飲食店に転職したいらしい。話を聞いてくうちに市役所の同僚の話になる。「私ってば課内のみんなにあだ名をつけてるんですよ」聞いていくとたしかにそのとうりなあだ名をつけていて感心をするウィリアムズ。そして当然の質問がマーガレットに投げかけられる。「私はなんてあだ名をつけられていたんだい?」急にばつが悪くなったのか質問をはぐらかしきりあげられてしまう。
マーガレットが転職をした後になってもウィリアムズは遊びほうけていた。前のカフェでの件をご近所さんに目撃され息子夫婦に告げ口されて立場が悪くなっていたのにも関わらずウィリアムズはマーガレットを映画に誘う。観劇後も語らいたいと誘う。そこでマーガレットは以前したウィリアムズのあだ名について話す。それは「ゾンビ」だったと。ウィリアムズはその「あだ名」を受け止めつつも自分の余命のことを初めて人に打ち明ける。

あらすじとしてはこんな感じ。数か月前に観たものなのでだいぶあやふや。

以下感想(ネタバレあり)

とてもとても、とっても綺麗なお話でした。
素晴らしいと思ったのはまず物語の見せ方。お話の構成の仕方。あらすじで書いた部分、彼の苦悩や過ちなど「ゾンビが蘇る」まではウィリアムズは生存しておりウィリアムズの視点で描かれる。そして彼の功績、「人として蘇った後」は遺された人たちの視点で語られる。この構成のしかたがこの物語の美しさだと思いました。
がっつりネタバレをしながら語ると、直接的にそうは言及されていないが、「ウィリアムズが雪の中で病気にも関わらず行き倒れた。」息子ですらそう勘違いをしていた事実を、最後にウィリアムズを目撃した警官が同じように勘違いをしており、またそこで自分が救えたのではと悔いていた彼の責任を拭うラストには胸を打たれました。「彼は幸せだったんだと思いますよ」

とても心動かされる物語でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?