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車いすからベッドへの旅

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毎日、天井を見つめている。ベッドで横になっていると、ぼくの六畳の部屋半分と、ヘルパーさんが仮眠する隣の四畳半三分の一ほどしか視界には入らない。 かぎりなく狭い世界の中で、なにを考…
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#沖ちづる

とどまる、ながれる

 いつものように、枕もとのスピーカーから唄が聞こえている。 こうして一行がはじまったので…

二十時三十分のいまむかし

 パソコン入力の得意なヘルパーさんの泊まりのとき、夕食を早めに済ませスタンバイをする。 …

ヘルパーさんごめんなさい

 みなさん、気がついておられますか?梅雨に入る半月ほど前に、すごくさわやかで天候が安定す…

ひとりの時間①

 一九九六年、夏、ぼくは山にかこまれた静かな障害者施設から、大阪のターミナルの一つ梅田ま…

ひとりの時間②

 ぼくの頭の中には、いつもテンビンバカリが用意されている。  毎日の買いものから人生の分…

ひとつの柱

 たまたま友部正人さんのYouTubeを検索していたら、素人弾き語りのタイトルで、ある男性の胸…

牛すじの行方

 ただいま、午後十時二十分。オシッコをガマンしながら、この原稿を書きはじめる。ベッドの上で、タブレットを前にして三時間近く経った。  コロナについて、メインになるような自分の社会に対する思考にめぐり合って、さっそく、泊まりのヘルパーさんにスタンバイしてもらった。  ところが、ぼくの生活スタイルを百八十度インドア派に追いこんだ相手(コロナ自体だけではなく、アレもコレもふくめて)は、思いのほか手ごわくて、何度も白紙に戻した挙句に土曜日にまわすことにした。  きっと、これからの話

背負いつづけてきた記憶①

 なにも書きはじめていないモニターを、ぼくはしばらく見つめていた。 ぼくの生きてきた長い…